★★★★☆
あらすじ
欧米列強に侵略を許した清朝末期。海外勢力と手を組んだ地元組織の謀略により、苦境に陥る高名な武術家。実在の武術家、黄飛鴻(ウォン・フェイホン)がモデル。
感想
前半はまとまりのない展開だ。敵一味の謀略、外国勢力の横暴、全然言うことを聞かない弟子たち、次第に包囲網が狭められ窮地に陥る主人公など、話があちこちに飛びながら描かれる。そこに主人公と血のつながりのない叔母とのちょっとした恋愛もどき、ユン・ピョウ演じる劇団員やのちに彼の師匠になる武術の達人のエピソード、コメディなども交えられて落ち着かない。
中盤には不遇の武術の達人が、名を上げるために主人公に勝負を挑むシーンがあって、正直、話の流れを分断するような展開で、空気を読めない行動だなと思ったのだが、二人が雨の中で戦うシーンはカッコ良かった。苦労人と天才、異なる境遇の二人によるどちらが強いかを決めるためだけの純粋な戦い。痺れる。これをきっかけに男は敵の一味に加わるので物語上必要なシーンだったわけだが、それだけにその後の男のはしゃぎようは切なく悲しかった。
物語は、各所からの圧力にひたすら耐えて我慢する主人公が延々と描かれる。それがいつか堪忍袋の緒が切れ、ついに爆発するのだろうなという展開だ。果たしてその通りになったのだが、え、そこで?みたいな意外なところで反撃が開始されたので驚いた。ただここから面白くなる。
特に敵地に乗り込んで武術の達人と対決するシーンは見ごたえがある。梯子を多用したアイデア満載のアクションで、カーアクションやガンアクションみたいに、もはやひとつのジャンルにしてもいいんじゃないかというぐらいの充実した内容だ。クライマックスのジェット・リーはカッコ良すぎた。
そして、それでも主人公がひとり奮闘するのではなく、各登場人物たちがそれぞれに活躍し、海外勢力を同胞たちが一致団結して倒す、という構図にしてみせたのは見事だった。前半のグダグダを帳消しにして余りある終盤の盛り上がりだった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ツイ・ハーク
出演 ジェット・リー/ユン・ピョウ/ロザムンド・クワン/ジャッキー・チュン/ケント・チェン/ウー・マ
音楽 ジェームズ・ウォン/ジョージ・ラム
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ - Wikipedia
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