★★☆☆☆
あらすじ
全国から集めた真田十勇士を率いて、徳川家康を倒そうとする真田幸村。148分。
感想
真田幸村と言えば大阪冬の陣、夏の陣なので、それを中心に描かれるのかと思っていたら、そこに至るまでの前振りが長かった。真田十勇士を紹介する必要もあるので仕方がない部分もあるのだが、それにしても長い。そして真面目だ。霧隠才蔵ら架空のキャラクターが登場するのだからもっと荒唐無稽に面白く描いてくれればいいのに、歴史的事実を踏まえて大坂冬の陣までの経緯をキッチリと描いていく。
この前半がつまらなくてかなり辛かったのだが、これは当時と今とでは真田十勇士に対する人々の思い入れが全然違うのも関係しているとは思う。当時の多くの人たちは各キャラクターを大体知っていただろうから、雑に端折られてしまったら満足できなかったはずだ。
逆に現在の人々は彼らのことをほとんど知らないので、それが冗長に感じてしまう。時代の違いと言えるが、彼らを題材にしたアニメやドラマでも作られてヒットでもすれば、簡単に状況は一変しそうではある。
ちなみに真田十勇士で一番メジャーな猿飛佐助はあおい輝彦が演じているのだが、メイクや衣装がなんかカッコ悪かった。
後半ようやく始まった大坂冬の陣における真田丸での合戦シーンは、多くのエキストラが使われ、衣装やセットもお金がかかっていることがよく分かる大規模なもので、かなりの迫力があった。このあたりからようやく面白くなってきた。
ラストの攻防も良かったが、そのままの勢いで家康を討ってほしかったのに、一旦見失ってしまって停滞し、気勢をそがれてしまった。クライマックスをじっくりたっぷり描こうとしたのだろうが、いかにもオールドスクールな時代劇といった感じがした。
2時間半近くあるにもかかわらず、登場人物たちの描写はかなりおざなりなもので、ただ多くの人間が登場するだけといった印象だ。結局、真田十勇士の各キャラクターはもちろん、顔と名前すら覚えられなかった。後藤又兵衛ら西軍の武将たちに関しても同様で、こんな事なら最初の一時間半ほどは端折ってしまって、後半部分だけをもっと荒唐無稽に面白く描いて欲しかった。想像していたよりも悪い意味で真面目な映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 中島貞夫
出演 松方弘樹/あおい輝彦/片岡千恵蔵/萬屋錦之介/森田健作/秋野暢子/寺田農/火野正平/ガッツ石松/真田広之/梅宮辰夫/萩尾みどり/浜村純/金子信雄/小林昭二/志賀勝/小倉一郎/高峰三枝子/梅津栄/成田三樹夫/(声)小松方正
登場する人物
真田幸村/真田昌幸/真田信幸/徳川家康/徳川秀忠/林羅山/本多正純/板倉勝重/阿茶局/服部半蔵/豊臣秀頼/淀の方(淀君)/大野治長/片桐且元/織田有楽斎/木村重成/後藤又兵衛/塙団右衛門/長宗我部盛親/毛利勝永/明石全登/加藤清正