★★★★☆
あらすじ
とある大学のホームズとワトソンを気取る二人の大学生は、謎解きを行なう女子大生に不吉な予告が届いたサークルの合宿に参加することを依頼される。
感想
シャーロック・ホームズを気取る先輩にワトソン扱いされている大学生が主人公だ。序盤はこの先輩後輩コンビを中心に話が進むのだが、無駄に織り込まれる小ネタがつまらなくて辛かった。しかも中村倫也演じる先輩のキャラクターがウザい。とりあえず鬱陶しい髪型が駄目だし、作り過ぎのキャラもわざとらしかった。
映画の行く末がとてつもなく不安になってしまったが、舞台がペンションに移って先輩がフェードアウトし、主人公と探偵役の女子大生のコンビになってからはだいぶ平常心で見られるようになった。ただし全然面白くない小ネタは相変わらず無駄に多い。
しかし、古い洋館で起きた殺人事件の謎解きをするミステリーだと思っていので、ゾンビが出てきた時には驚いた。でもよく考えればタイトルに「屍人」があるのだから察しておくべきだったのだろう。ミステリーぽいタイトルだから推理ものだろうなとしか読み取れていなかった。ゾンビが外でうごめく中、屋敷で連続殺人が起きる。
ゾンビが外にいることで建物をクローズド・サークル化し、ゾンビが建物内に侵入することでその境界が狭まっていくアイデアは面白かった。次第に登場人物が一ヶ所に集まり、物語がシンプルになった。しかし「ゾンビ」はもはや映画のジャンルを超えて、要素と化していると言ってもいいかもしれない。そのうち、この映画は恋愛要素はないけどゾンビ要素はあった、などと普通に語られるようになるのかもしれない。
ミスリードを誘うような描写がほとんどなく、観客が犯人探しを楽しむ余地はなかったが、女子大生と主人公のコンビによる推理の進展を興味深く見守れた。時おりつまらないギャグですっと冷静にさせられてしまうのだけが残念だった。それでも序盤に抱いた危惧が嘘のように純粋にミステリーを満喫できて、案外悪くない映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 木村ひさし
出演 神木隆之介/浜辺美波/中村倫也/葉山奨之/矢本悠馬/佐久間由衣/山田杏奈/大関れいか/福本莉子/塚地武雅(ドランクドラゴン)/ふせえり/池田鉄洋/古川雄輝/柄本時生/永田裕志