★★★★☆
あらすじ
驚異的なスピードを誇るスーパーヒーロー、フラッシュは、自身に過去を遡れる能力があることに気付き、幼い頃に殺された母親を助けようとする。
「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」の第13作目。144分。
感想
シリーズの過去作に登場した時のヒーロー、フラッシュのイメージは、空回り気味のどこかズレた男、というものだった。だから彼がメインのこの映画は、痛々しいものになるのではと危惧していたのだが、それをいい意味で裏切ってくれた。
序盤は彼のイメージ通りの活躍が描かれる、ここで彼がどんなキャラで、どんな能力があるのか、一般的な説明をしておいて、その後は彼が過去に戻って母親を救おうとする程よいテンションの物語になる。軽すぎず重すぎず、笑いあり感動ありでバランスが良い。
それから主人公が過去にさかのぼる時の演出が巧かった。言葉で説明されると混乱してしまいそうなものを、映像だけで表現してしまっている。しかも、もう少しで訳が分からなくなりそうな一歩手前で抑えているのが見事だ。なんとなく理解できたような気になってしまう。主人公の驚異的なスピードを表現する映像も、疾走感のある気持ちの良いものに仕上がっていて、随所で優れた映像感覚が光っている。
過去を変えたことで別の時間軸になるマルチバース展開のストーリーも面白い。主人公はバットマンやスーパーマンがいると影が薄くなってしまうので、彼らのいない時間軸にすれば目立つことが出来ていいかも、と思っていたのだが、実際はそれを上回るワクワクするような展開が待っていた。
時間軸がズレて、これまでのシリーズとは違うバットマンやスーパーマンが現れる。しかもそれを演じるのは、歴代のDC映画を見てきた人にはグッとくる役者たちだ。「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を見た時と同じような高揚感があった。
それからこれは新キャラだが、スーパーガールがクールでなかなか良いキャラだった。彼女の単体の作品を見たくなった。
メインの主人公の影が薄くなってしまった部分はあるかもしれないが、このシリーズでの彼の立ち位置をちゃんとキープすることができたとも言える。最後はしっかりと彼の物語として締め括られて、満足感のある余韻に浸れる。
スタッフ/キャスト
監督 アンディ・ムスキエティ
脚本 クリスティーナ・ホドソン
出演 エズラ・ミラー/サッシャ・カジェ/マイケル・シャノン/ロン・リビングストン/マリベル・ベルドゥ/キアシー・クレモンズ/アンチュ・トラウェ/ベン・アフレック/マイケル・キートン/ジェレミー・アイアンズ/テムエラ・モリソン/ガル・ガドット*/ジェイソン・モモア*/ジョージ・リーヴス*/クリストファー・リーブ*/ヘレン・スレイター*/アダム・ウェスト*/ニコラス・ケイジ*/アンディ・ムスキエティ*
*
*クレジットなし
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ
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