★★★★☆
感想
こういう類の本はたくさんあるが、この本はモデルのようなキラキラとした生活をしたいとか、ナチュラル系の雑誌のような季節を感じる手間ひまかけた生活を楽しみたいとか、そういうのではなく、そんなのどうでもいいから最低限のことはなんとかやりたい、という人に向けた本。
料理、掃除、洗濯、収納といったものから、家計、ファッションの回し方まで網羅して、著者が徹底的にロジカルに考えた方法が紹介されている。そしてそのどれにも常にコスパを考慮していて好感が持てる。家事が楽になってもコストが嵩んでしまってはどうしようもない。それから、家政婦を雇っても解決にはならないという話も興味深かった。
読んでいて思うのは結局、ロジカル、合理的に生活をしようと思うとミニマリスト的生活に行き着くのかな、ということ。そして、ミニマリスト的な生活の利点は、センスは必要ない、というか、センスの無さが露見しにくいということか。センスのある人とない人の差が少なくなる。
逆に言うと、世の人々はセンスのある暮らしを目指してしまっているということか。雑誌で紹介されるようなモデルや芸能人のセンスの良い生活を見習って、同じようなものを買い求めたりして真似をしようとする。だけど、多くの人はそれらをバランスよく取り入れるセンスの無さや、中途半端さのために残念な状況に陥ってしまうということなのかもしれない。
本書では、そもそもそんな生活は無理だと気づいた人や元から興味が無い人が、それなりにやっているように見せられるような家事が紹介されている。そのそれなりを底上げするという感じ。それで大半のセンスの良い生活を目指している人より、快適な生活を送ることができる。
ただミニマリスト的生活というのは、つまらなさそうというか味気なさそうに感じる部分がある。服は無地の三系統の色でまわすとか、ファッションセンスがないと自覚している人には、それでそれなりに見えるのなら無駄な努力をしなくて良くて楽に感じるのかもしれないが、でもたまにはカラフルな柄物を着たいとか、流行のものを身に着けたいと言う人もいるだろう。だから本書をベースにしながら、自分なりに気持ちが納得するやり方に変えていくのがいいのかもしれない。
個人的にはもっと料理の所を詳しく知りたかったが、調べたら著者のブログに詳しく書かれていた。スマートクッキングのカテゴリー。
料理の写真をアップしたら、美味しくなさそうと言われて、コメントのアドバイスに素直に従って、器を変えたり、撮る角度を変えて試行錯誤していたのが面白かった。
それにしてもダイエットや断捨離など、著者が様々なことに興味を持って挑戦し、その結果を次々と本に残していっている事に感心する。そういう環境を自分で築き上げたということだから。料理についてもすでに本が出ていた。
そして、「インスタ映えするセンスの良い写真の撮り方」という本も、いつか出しそうだ。
著者
勝間和代
登場する作品
エキストラバージンの嘘と真実 スキャンダルにまみれたオリーブオイルの世界
らくしておいしい塩味レシピ―素材を生かす浜内マジック ノンオイル&ノンシュガー
「シュガーブルース」