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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ダブリナーズ」 1914

ダブリナーズ (新潮文庫)

★★★☆☆

 

あらすじ

 アイルランド・ダブリンで暮らす人々の姿を描いた短編集。別邦題に「ダブリン市民」「ダブリン市井事」「ダブリンの人々」 「ダブリン人」「ダブリンの市民」「ダブリンの人びと」など。

 

感想

  理解できるがなんとも言えないような気分になるものや、分かるような分からないような内容だったりの、うーん、となってしまうような短編が続く。巻末の解説によると、音楽的に書かれているそうなので、原文で読まないとその良さが十分に理解できないのかもしれない。またパロディや引用も多いということで、そのあたりの知識も必要になってくるのだろう。

 

 短編集のタイトルからも分かるように、ダブリンという場所に焦点が当てられている。自分の中では、ダブリンはヨーロッパの辺境の田舎町というイメージなのだが、読んでいる最中はダブリンの話だと意識する事はあまりなかった。気づいていないだけで、いかにもダブリンらしい描写が出てきたりしていたのだろうか。

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 なんとなくぼんやりとした感じで読み進めていたのだが、最後の2つの短編は良かった。この2つは短編というよりも中篇といった方がいいような文章量だが。少し長くなったからか、登場人物たちの理解が深まって楽しむことができた。もしかしたら、ようやくこの本の世界に馴染んできたということなのかもしれない。

 

 特に最後の「死者たち」は、生と死が鮮やかに描かれていてグッと来た。我々は束の間の生を生きているに過ぎないのだなと、しみじみとしてしまった。何事にも終わりがやって来て、やがて思い出となる。そしてそれを思い出す人すらもいなくなり、すべてが無へと帰っていく。

 

 

 

著者

ジェイムズ・ジョイス

 

ダブリン市民 - Wikipedia

 

 

登場する作品

少年少女世界文学全集 第24巻―国際版 アボット」所収 「アボット(僧院長)」

「Devout Communnicant(信心深き聖餐拝受者)」

Memoirs of Vidocq(ヴィドックの回想録)」

「come-all-you(みんな来い)」

「士官候補生ルーセル」

Silent, O Moyle(静まれ、おおモイル)」

The Bohemian Girl / Act 2: 夢のボヘミア娘(歌劇《ボヘミアの娘》から)(夢に見しわれは)」

「Maynooth Catechism(メイヌース教理問答)」

「Michael Kramer(マイケル・クラマー)」 ハウプトマン

ツァラトゥストラはかく語りき

ニーチェ全集〈8〉悦ばしき知識 (ちくま学芸文庫)(楽しき知識)」

トマス・ムーア編「アイルランド歌曲集」

シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)

「兵士のごとく斃れん」

Dinorah Ou Le Pardon De Ploermel [DVD] [Import](ディノラ)」

ドニゼッティ:歌劇「ルクレツィア・ボルジア」(Donizetti: Lucrezia Borgia)[2CDs]  

The Lass of Aughrim(オーグリムの乙女)」

「婚礼のために装いて」 ベッリーニ

 

 

関連する作品

映画化作品 

ザ・デッド/「ダブリン市民」より [DVD]

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  • アンジェリカ・ヒューストン
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この作品が登場する作品

「死者たち」 

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