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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「リズム&ブルースの死」 1988

リズム&ブルースの死

★★★★☆

 

内容

 ブラックミュージックの歴史を紐解く。

 

感想

 20世紀の黒人音楽の変遷が語られる。出版されたのは88年なので80年代終盤のマイケル・ジャクソンやプリンスがスターとなり、ラップが出てきたあたりで終わる。

 

ポップ・ミュージックとして受け入れられるかどうかに、意味づけがいかに重要な役割を果たすかを、このことはあきらかにしてくれた。ロックンロールが白人音楽をさすようになったと同様、ディスコは黒人とゲイの音楽の、何か醜い混合物をあらわす言葉になった。

p331

 

 読んでいて思うのは、黒人音楽を語るにはアメリカの黒人社会の歴史を抜きにすることは出来ないという事だ。差別されマイノリティ扱いされていた彼らが、どのように白人中心のアメリカ社会と関わって来たかという歴史でもある。

 

 初期の黒人音楽は黒人社会で流行ったものを、白人が真似をすることで社会に広がっていった。白人のエルヴィス・プレスリーがロックを広めたのが代表的。やがては次第に黒人歌手が受け入れられるようになって、白人が経営するレコード会社から人気の黒人歌手は音楽を出すようになっていく。これはアメリカ社会が黒人を受け入れていく過程とよく似ている。

 

 

 こうやって白人や黒人、様々な人種が融合して共に暮らす社会は、個人的にはそんなに悪い事ではないと思うのだが、黒人である著者はそれには否定的な意見を述べている。多くの黒人歌手が白人が経営するメジャーなレコード会社に所属することで、それまで築かれていた黒人社会内の音楽産業のネットワークが壊滅したり、白人も含めたマーケットを気にするために純粋な黒人音楽といえないものが出回っている、という問題が指摘される。

 

 これはそれぞれの捉え方なのだろう、と思う。日本でも日本古来の文化は西洋文化にかなり浸食されている。畳の部屋が無くなっているとか、着物を着なくなった、と嘆くようなものか。それはそれで一つの考え方として尊重すべきで、他人がとやかく言えることではない。

 

 その他、印象的だったのは、黒人たちは次から次と新しい音楽を求めて、古くなった音楽の事を気にとめない、という指摘。特に初期のころの話ではあるが、ロックは白人のもの、みたいになったのは、このことも関係しているといえそうだ。今は昔の曲をサンプリングして使ったりしているので最早そうとは言えないので、歴史を振り返るというのは、成熟した文化や社会がする行為なのだな、と思った。

 

 本書は年代順に語られていくので流れは分かりやすいが、かなり多くの人物が登場するので把握するのは難しい。一通り読んで流れをつかみ、気になる年代や人物が出てきたときにその部分だけを読む、みたいな辞書的な使い方をするのが良さそうだ。

 

 この本が出てから30年が経ち、ヒップホップを中心とする黒人音楽は世界を制覇してしまっているような感触がある。音楽業界を見ても利益を白人が独占しているとは言えない状況になっているように感じるが、この著者はこの現状をどう捉えているのか、聞いてみたい気がする。

 

著者

ネルソン・ジョージ

 

リズム&ブルースの死

リズム&ブルースの死

 

 

 

登場する作品

黒人のたましい (岩波文庫)

ラグタイム(1981)

The Clansman: An Historical Romance of the Ku Klux Klan (The Novel As American Social History) by Thomas Dixon(1970-12-31)(クランズマン)」

國民の創生[HDニューマスター版](字幕版)(国民の創生)」

奴隷より立ち上がりて (1969年)

「The Birth of a Race(民族の創生)」

Stomping the Blues (English Edition)(スタンピング・ザ・ブルース)」

Native Son (English Edition)(アメリカの息子)」

野郎どもと女たち (アルティメット・エディション) [DVD]

Lost Highway: Journeys and Arrivals of American Musicians (English Edition)(ロスト・ハイウェイ)」

「Annie Allen(アニー・アレン)」 Gwendolyn Brooks(グウエンドリン・ブルックス)

見えない人間 (1)

裸者と死者 (新潮文庫)

鹿の園 (新潮文庫)

White Negro(ホワイト・二グロ)」

ポーギーとベス*歌劇 [DVD]

Baby that was rock & roll: The legendary Leiber & Stoller (A Harvest/HBJ book)(ベイビー、ザット・ウォズ・ロック&ロール)」

「American Hot Wax(アメリカン・ホット・ワックス)」 監督 フロイド・マトラックス

Ma Rainey's Black Bottom (English Edition)(マ・レイニーズ・ブラック・ボトム)」

スウィート・ソウル・ミュージック―リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢

The Rolling stone illustrated history of rock & roll(ローリング・ストーン・イラストレイテッド・ヒストリー)」

強き性、お前の名は (女たちの同時代)

The Age of Rock, Sounds of the American Cultural Revolution: A Reader (Music & current events)(エイジ・オヴ・ロック)」

夜の大捜査線 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

いつも心に太陽を [DVD]

招かれざる客 (字幕版)

特攻大作戦 (字幕版)

スウィート・スウィートバック [DVD](スウィート・スウィートバックス・バッドアス・ソング)」

Watermelon Man(ウォーターメロン・マン)」

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スーパーフライ(字幕版)

スパークル [Blu-ray]

シドニー・ポワチエ/一発大逆転 [DVD]

「愛しのクローデイン(愛しのクローディン)」 監督 ジョン・ベリー

Short Eyes [DVD] [Import](ショート・アイズ)」

「The Mack(マック)」 監督 マイケル・キャンパス

「野獣戦争」 監督 アイヴァン・ディクソン

黒いジャガー / アフリカ作戦 [DVD]

Bloods: Black Veterans of the Vietnam War: An Oral History (English Edition)(ブラッズ)」

「キングダム・セオリー」 ジェシ・ジャクソン師

110番街交差点 [DVD]

サタデー・ナイト・フィーバ (字幕版)

ウィズ (字幕版)

パープル・レイン (字幕版)

シーズ・ガッタ・ハヴ・イット [VHS]

「ハリウッド夢工場/オスカーを狙え!!(ハリウッド・シャッフル)」 監督 ロバート・タウンゼント

プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ HDニューマスター版 [DVD]

アンダー・ザ・チェリー・ムーン(字幕版)

カラーパープル(字幕版)

ブルースの魂―白いアメリカの黒い音楽 (1965年)

 

 

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