★★★☆☆
あらすじ
反りの合わない上司への復讐のために、その妻に手を出した男。
感想
他人の言葉に過剰に反応してしまう、考え過ぎの思い込みが激しい男。見当違いの行いで溜飲を下げようとする。圧倒的な才能を持つものに憧れ嫉妬し、自分にはその才能がないことに落ち込み悲嘆にくれる。だけど実際は「そんなことないよ、才能あるよ」と言ってくれる誰かを求めているだけだったりする。そんなみっともない心の中をあけすけに吐き出している。
結婚式のくだりとかちょっとしたひねりが加えられており面白かったのだが、別れた奥さんとのオカルト的な話がミステリー仕立てになっていたのがなぜか興ざめに感じた。思い込みの激しい男だから有り得る話だとは思うが、別に謎にする必要はなかった。何かの引用なのかもしれないが。
聞こえてくる陰口や噂話なんて気にしない、自分が見たものだけを信じる姿勢は潔い。相手のことを100%知ることなんて出来ないし、そうする必要もない。
著者
登場する作品
ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)
「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号))