★★★☆☆
内容
各テーマに沿って著者がいくつか本を挙げて話をし、それを編集者がまとめたもの。
感想
最近、読む本のパターンが決まってきてしまって多少マンネリを感じていたので、視野を拡げるためにこの本を手に取ってみた。
そして、読み終わって思うのは結局、最終的に読書家は古典や原典に行き着くのだなという事だ。挙げられた本は聞いたことがあるが、読んだことのない本が多い。有名なのでいつかは読みたいなと思いながらも、どこか敬遠してしまっていた本ばかりだ。
おそらくは、ある分野の本を何冊も読み続けていたら、何度も挙がる本の名前なので、それなら読んでみるか、となるのだろう。そして、そのうちどうせこの古典や原典は多くの本で言及されているだろうから読んでおくか、となって、古典や原典から読むようになる。自分はまだそのレベルまで行っていないということだ。
そもそも古典や原典はそれだけの価値があるから現在まで生き残っているわけで、読まない手はないのだが、昔の本は読みにくいしなとなかなか手が出ない。読み応えがあるという意味では良いのだが、上下巻だったり、それ以上の冊数があったりすると、ますます躊躇してしまう自分がいる。
とはいえ、挙げられている本は古典や原典だけではなく、割と最近の本も挙げられていて、何冊かの小説などは読んでみようかと思っている。しかし、視野を広げたいと思って読み始めたのに、結局好きなジャンルにしか興味を示していない自分に呆れてしまう。まぁ何かのきっかけで今後、違う分野にも興味を持つようになるかもしれないので、その時までは好きなジャンルを深く掘りつつ少しずつ広げていけば良いのかもしれない。
様々な本を挙げながら繰り広げられる話には、興味深いものがいくつもある。
とはいえ、フランス人はやはり「理性」で考える人々の集まりで、今の政体を「第五共和制」と呼んでいます。フランス風に考えれば、日本では第一立憲制が明治憲法、第二立憲制が今の憲法ということになるはずですが、日本で日本の政体についてそう考える人はまずいません。
p121
読んでいて確かに、と思ってしまった。どこかで日本はひとつづきで続いて来たと思ってしまっている人が多いような気がする。なので今更、第一立憲制を必死に弁護しようとする人がいるのかもしれない。今は第二立憲制なのに。こういう認識がちゃんと出来ていれば、もう少し冷静に物を考えられるようになりそうだ。
本当はもっと読みやすそうな本がたくさん挙がっていて欲しかったと思う部分もあるのだが、でもやっぱり長い間読み継がれてきた古典は読んでおくべきだよなと再認識させられて、納得の内容でもある。
著者
出口治明
登場する作品
ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)
「2050年への構想 グローバル長期予測と日本の3つの未来~経済一流国堅持の条件~」 日本経済研究センター
迷宮に死者は住む―クレタの秘密と西欧の目覚め (1975年)
物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)
近代世界システム?―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立―
クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
黒いアテナ―古典文明のアフロ・アジア的ルーツ〈2〉考古学と文書にみる証拠〈下巻〉
ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)
定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)
社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 (筑摩選書)
グレートジャーニー 人類5万キロの旅 1 嵐の大地パタゴニアからチチカカ湖へ (角川文庫)
スペイン旅行記―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)