★★★☆☆
内容
流行現象は緩やかに広まっていくのではなく、ある時点で爆発的に一気に広まる。そのメカニズについての考察と解説。
感想
このタイトルを見るとマーケティング的なことが延々と記述されていそうだが、実際には伝染病の広まりや犯罪の減少等、幅広く物事が広まっていく現象について書かれている。
流行現象が起きる背景には、それを広める役割の人達の存在や、それ自体が持つ人々の記憶に残る印象の強さ、そしてこれらをとりまく環境が相互に作用しあっている。今から20年ほど前の本なので、現在のようなインターネットを使った事例は書かれていないのだが、今だったらどのように解説されるのか興味がある。
クチコミで物事が広まっていく過程では、皆がそれぞれ同程度の役割を担っているわけではなく、多くの人に広めることができるいわゆる顔の広い人が大きな役割を果たしていると言う。今ならフォロワーが何人いるとか、影響力を数値化できてしまっているので、それを目安に何かを流行らせたい人はコンタクトを取ったりしているのだろう。なので簡単にフォロワーを集められる有名人は、昔よりもさらに力を持つのかもしれない。
ただ昔も今も「顔が広い人」は、努力の結果でなるのではなく、元々の天性の素質によってなるらしいので、無駄な努力はしないでおこうと決めている。
最後はブランド「エアウォーク」がどのように流行していったのかを、それまで解説してきた法則を元に説明している。個人的にエアウォークがクールだった時代を知らないのだが、最後はどのように凋落していったのかまで記載されているのが良かった。
著者
マルコム・グラッドウェル
登場する作品
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