「君に友だちはいらない」　2013

★★★★☆

感想

　もっと若い時に読みたかったと思わせる本。大学生でも遅いくらいかもしれない。若ければ若いほど、効果を発揮しそう。

　大企業がバタバタと倒れていく昨今、終身雇用とか、もはや言っていられなくなってきた。今後はITの進化で今している仕事が将来も存在しているかどうかすらも怪しい。そんなこれからをどうやって生き延びていくかを本書では説いている。

　本書とは関係ないが、終身雇用というシステムというのは、よく考えると一世代くらいしか保たなかったのか。江戸時代の商家とかを計算にいれると違ってくるが。それで日本は成功してしまったものだから、いつまでもそれに引きずられている。会社には役に立たない人間が平然とのさばり、雇用年数を盾に偉そうな顔をしている。それが日本の標準。そして日本は次々と他の国に追い抜かれていく。

　そんな古いシステムの中でいつのまにか安住してしまい、会社が危機に陥った時は一緒に心中することしか出来ない人間にならないために、自身のネットワークを築き、自分たちの力で未来を切り開いていくことが重要だ。

　そのためにはただの仲良しグループをつくるのではなく、目的のために集まれるチームが必要で、それはツイッターのフォロワー数や集めた名刺の数といった、いざという時に何の役に立たないものではない。

　そう考えると今いる自分の環境も大事になってくる。いい環境にいれば自然と周りには良いネットワークができるし、悪い環境にいればただ愚痴や悪口をいうだけの何の生産性もない負のスパイラルの中で漂うだけになってしまう。なので今の自分の環境を見つめてみて、良い環境へ自分を置くことを考えなければならない。

　こういう本を読んでいると、それはエリートの話で自分には関係のない話だ、なんて思ってしまう人もいそうだが、本の最後にそんな人達も鼓舞するような煽りがあって、うまいなと思った。

ナショナリズムに固執する人は、貧しい人が少なくなく、ほとんど社会のなかでは底辺に存する。これは世界各国に見られる傾向だ。なぜ貧しいとナショナリズムに走るのかといえば、自分に自信を与えてくれるものが、「国家」以外にないからだ。

p310

　最近は世界的に保守の傾向が強まっていて、日本にもそれは言えるが、やっぱり日本は全体的に貧しくなっているのかも。それを利用してご飯を食べている人はいいが、それに利用されている事も知らないで、大きな力を持った気分になって得意気になってしまっているのだったら悲しい。自分に自信が持てる生き方をしたいものだ。