BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「きことわ」 2011

★★★☆☆ 幼いころ、毎年のように同じ時間を過ごしていた女性二人が、25年ぶりに再会する。 人間の記憶は不確かなもので、大事なことを忘れていたり、どうでもいいことを覚えていたりする。そして同じ時を過ごしたとしても、それぞれが覚えていることが違った…

「服従」 2015

★★★★☆ イスラーム党が政権を握ったフランスで、大学教授の男が職を解かれる。 こういう話にリアリティを感じるほど欧州は切実なのかと、改めて認識させられた。確かに最近の欧州のニュースはきな臭いものが多い。自分たちは衰退の道を歩んでいると薄々感じて…

「宇喜多の捨て嫁」 2012

★★★★☆ それぞれの視点から見た宇喜多直家。 最初に裏切り、毒殺、暗殺を繰り返し、梟雄として知られる直家のイメージ通りの姿を描いておいて、そのイメージを揺らがせていく展開が秀逸。 戦いではなく、暗殺や謀殺で領地を拡大していく方法は、たしかにダー…

「橋」 2010

★★★☆☆ ある雨の日、同じ川の違う橋の上にいた二人の小学生女児の物語。 二人の女の人生を描いているようで、戦後の日本の地方を描いている。東京オリンピックや公共工事によって、中央から地方に豊かさが波及し、バブルの終焉とともに、右肩上がりを続けてき…

「火花」 2015

★★★★☆ 駆け出しの漫才師の男が、営業先で出会った先輩芸人に弟子入りする。 書き出しから気合の入った文章。やっぱり芥川賞はちゃんとした賞なんだなって安心した。初小説とは思えないクオリティの高さ。 先輩にどこか自分と似ていると感じてシンパシーを感…

「俺俺」 2010

★★★☆☆ ふとしたきっかけで手に入れた携帯電話で、オレオレ詐欺をしてしまった男に次々と不思議な出来事が起きる。 これはある意味で自分探しの話なんだろうな。人と接したりしている時に、これは本当の自分じゃないんだけどなぁ、みたいなことを思うことがあ…

「翼」 2011

★★★★☆ 大事な契約を前に体調を崩した女は、訪れた病院で疎遠になっていた友人の夫と再開する。 仕事をそつなくこなし、社内の揉め事にも感情的になり過ぎずに大人の対応をし、旧友との会話にも、反芻してその状況や背後にあるものを読み取ろうとする、隙のな…

「光秀の定理」 2013

★★★★☆ まだ無名時代の明智光秀と、ひょんなことから交流するようになった破戒僧と武芸者。 歴史小説に数学を持ち込んでいて面白い。そのうちの一つ、4つのお椀の問題は、以前何かで読んでなんとなく知っていたが、信長とやり取りしながら、その問題を解説し…

「江利子と絶対 本谷有希子文学大全集」 2003

★★★☆☆ 表題作のひこもりの妹を引き取った姉の話を含む三作品が収録されている。 目次も余り見ずに読み始めたので、短編が2作品続いた後に、結構長めの長編というか中編にあれ、なかなか終わらないなと戸惑ってしまった。どうでもいい話だが。 p11 引きこもり…

「首折り男のための協奏曲」 2014

★★★☆☆ 各所で発表された短編をまとめた作品。だけどただの短編集ではなく、それぞれの短編が互いにつながっているような、つながっていないような感じに仕上げてくれているのが伊坂幸太郎らしい。この内の幾つかは、既に読んだことがあったが他の短編とのつ…

「X'mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日」 2016

★★★☆☆ 6人の作家によるアンソロジー。ちなみに朝井リョウ、伊坂幸太郎の短編はそれぞれ「何様」「ジャイロスコープ」にも収録されている。 クリスマスということで甘ったるい話ばかり並んでいるかと思ったら、それぞれ様々な角度からバリエーション豊富な感…

「聖なる怠け者の冒険」 2013

★★★☆☆ 週末は怠けて暮らすことを日課としている男が、正義の味方として活躍する謎の男に2代目を継ぐようつきまとわれる。 怠けることは非難されがちだが、こうやって開き直ってそれを正当化しようとするのは面白い。意識高い系の怠け者というか。非難するの…

「何者」 2012

★★★★☆ 就活対策のために集まった男女がそれぞれ思いを抱えながら、内定を得るために奮闘する。 なかなか心に痛い小説だった。内定を得るよりも断られることの方が多いという、人生でほとんど経験することのない経験をしながらも、それでもそう簡単に止めるこ…

「春琴抄」 1933

★★★★☆ 盲目の三味線の女師匠に仕える弟子の男。 プライドの高い女。元々の性格や育った環境にその原因はあるのだろうが、一番の原因は男だろう。もともと気位が高くても、人生が進むにつれ人は性格が丸くなっていくものだが、男がそれをさせなかった。彼女が…

「バイ貝」 2012

★★★★☆ 私は激怒した。馬鹿か。少しは自分の脳を使え。なにを弛緩しきって、考えたことを思いついたことをそのまま外界に垂れ流しているのだ。 p193 カネを稼ぐ事で蓄積された欝を発散させるため、鎌を買いに出かける。 景気の悪いお金の話を延々とされると、…

「百年の孤独」 1967

★★★★☆ 著者 G・ガルシア・マルケス ある村を創設した一族の百年に及ぶ物語。 百年もあれば子供が生まれて、さらにその子供が生まれてってあるんだけど、その子どもたちの名前がほとんど同じ名前の使い回しでそこが最初戸惑った。でも、それを乗り切れば一気…

「死神の浮力」 2013

★★★★☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com 娘を殺された夫婦が、犯人への復讐を企てる。 「死神の精度」の続編。死神がいる時点で主人公がほぼ死ぬということが分かっていて、それでいて死ぬ日が決まっているのでそれまでは死なないということも分かっている、…

「甘い復讐」 2014

★★★☆☆ 短編集。 表題作は、思い込みが激しく、過剰に反応して、勝手に怒り狂い、残酷な仕打ちをして一人で笑っている、ひとりよがりの復讐。仇討みたいに皆が共感できるものではなく、どちらかというとなんでそこまで怒ってるのって思うような。実際はそれな…

「佐渡の三人」 2012

★★★☆☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com 祖父や親類の納骨に佐渡に向かう三人。身内の死に悲しむでもなく、佐渡への小旅行に浮き浮きするわけでもなくフラットな主人公たち。淡々としながらも突っ込みどころのある面白いシーンは逃さず、だけど盛り上がるわけ…

「エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死」 1972

★★★☆☆ 帯で伊坂幸太郎・西加奈子が絶賛していたので思わず購入した。文庫本だけど500頁以上あり、1,500円と結構な値段。ページに文字がほぼ余白なくびっしりと詰め込まれていて、単純に文字数だけでその価値はある。 国は違えど読んでいると自分の子供時…

「真実真正日記」 2006

★★★☆☆ ちょっと表紙に引いてしまうんですが、日記の体で書かれた小説。日記という形をとっているためにいつもの町田節とはちょっと違っている。いつもよりは随分シンプル。 その中で、組んだバンドについても記述されているのだけど、それを読んでいるとバン…

「ガソリン生活」 2013

★★★☆☆ 車が主人公の物語。人間が車内にいる時の出来事や会話は情報として入ってくるが、車を降りて別の場所に行ってしまうと何が起きているかわからない。その代わり他の車との会話で別の情報が入ってくる。人間が主人公の場合とは違った形で話が展開してい…

「ある島の可能性」 2005

★★★☆☆ 最初は話のつながりがよくわからなかったが、分かり始めると面白かった。 著者 ミシェル・ウエルベック ある島の可能性 (河出文庫) 作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,中村佳子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/01/07 メディ…

「ふる」 2012

★★★☆☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com ふる (河出文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/11/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る // bookcites.hatenadiary.com bookcites.hatenadiary.com

「残り全部バケーション」 2012

★★★★☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com 残り全部バケーション (集英社文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/12/17 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (11件) を見る // bookcites.hatenadiary.com bookcites.hatenadiary.com

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 2013

★★★★☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/12/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼…

「ふくわらい」 2012

★★★★☆ 著者 bookcites.hatenadiary.com ふくわらい (朝日文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2015/09/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る // bookcites.hatenadiary.com bookcites.hatenadiary.com

「Happy Box」 2012

★★★☆☆ それぞれの短編、それなりにクォリティーは高かった。 著者 bookcites.hatenadiary.com 小路幸也/山本幸久/真梨幸子/中山智 Happy Box (PHP文芸文庫) 作者: 伊坂幸太郎,山本幸久,中山智幸,真梨幸子,小路幸也 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 20…

「プラットフォーム」 2001

著者 ミシェル・ウエルベック プラットフォーム (河出文庫) 作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,中村佳子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/10/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (9件) を見る // bookcites.hatenadiary.com b…

「蒲団」 1907

★★★★☆ 若い娘にはしゃぎながらも、抑えていい大人を演じるのが時代を感じるな。そう演じる自分に嫌気が差したり、人間味にあふれている。 著者 田山花袋 蒲団 作者: 田山花袋 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 蒲団 (小説)…