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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「やり抜く力」 2016

★★★☆☆ 内容 才能よりも、成功のために重要な能力として注目されるようになったGRIT(やり抜く力)について紹介する。 感想 最近注目されるようになった「やり抜く力」について解説した本。コツコツと努力して勤勉だと言われる日本人には得意な能力かと思った…

「これがニーチェだ」 1998

★★★☆☆ 内容 ニーチェの思想の変遷を順を追って紹介する。 感想 久々に手を出してしまった哲学の本。文章がなかなか頭に入って来ず、他の分野の本と比べて読み進めるスピードがグッと落ちてしまった。まず文章自体を把握するのに時間がかかり、今度はその前後…

「赤い魚の夫婦」 2013

★★★★☆ あらすじ 赤い魚のペアを飼い始めた出産間近の夫婦を描いた表題作など、5つの作品を収めた短編集。メキシコ文学。 感想 表題作をはじめ、すべての短編で魚や猫、蛇といった生き物が登場し、登場人物たちと生き物の姿がどこか重なるように描かれていく…

「黄金の服」 1989

★★★★☆ 内容 芥川賞候補作の2作品「黄金の服」「オーバー・フェンス」に、「撃つ夏」を加えた短編集。 感想 3つの短編集だが、職業安定所や入院病棟、そして夏休み中と、どの作品も一般的な社会生活を送る人々とは隔絶した場所を舞台に、一時的にモラトリア…

「「男らしさ」はつらいよ」 2017

★★★★☆ 内容 英国でコメディアンとして活躍する著者の半生記。 That Mitchell & Webb Sound: The Complete Fourth Series 作者:Mitchell, David,Webb, Robert Bbc Audiobooks Amazon 感想 英国で人気のコメディアンが半生を語る伝記。早くからコメディアンに…

「好き嫌い 行動科学最大の謎」 2016

★★★☆☆ 内容 人間の好き嫌いはどのような仕組みで決まるのかなど、「好き嫌い」について様々な角度から考察していく。 感想 誰もが日常的に話題にしているものだが、よく考えると「好き嫌い」というのはよく分からないものだ。急に好きになるものもあれば、次…

「ポップ1280」 1964

★★★☆☆ あらすじ ポッツ郡で保安官を務める男は、自身の女性問題に苦慮している。 感想 序盤は主人公のキャラクターがつかめず混乱した。ものすごく優秀な保安官かと思っていたら、自分のことを優秀と思い込んでいるだけの無能にも見えてきて、やがては敢えて…

「フーガはユーガ」 2018

★★★☆☆ あらすじ 誕生日のある時間だけ互いのいる場所に瞬間移動する双子の物語。 感想 幼い頃から両親に虐待を受けて育った双子。なかなかしんどい状況だが、それでもあっけらからんとその事実を受け入れている主人公たちの態度には、何とも言えない切なさが…

「監督 小津安二郎」 1983

★★★★☆ 内容 数々の名作を撮った小津安二郎監督に対する評論。 感想 著者が指摘するように、小津作品は否定的な言辞を用いて賞賛されることが多いというのは確かにそうだ。「無駄がない」「カメラが動かない」「描かれる題材が変わらない」など言われる。だが…

「虚人たち」 1981

★★★☆☆ あらすじ 妻と娘がまったく別の案件で拉致されてしまった男。 感想 自分は小説の中の主人公だという事を自覚している人物が主人公。最初はその設定が分からないので、妙に回りくどい記述が多いなと不審に思っていたのだが、その仕組みが分かるとそうし…

「ギケイキ2 奈落への飛翔」 2018

★★★★☆ あらすじ 兄の頼朝と合流し、目覚ましい活躍で平家を滅ぼすも、兄に恐れられ疎まれるようになってしまった源義経。 感想 3年前に読んだ前作はほぼ内容を忘れてしまっていたが、今作では源義経が兄・頼朝と合流してから、兄に疎まれ都落ちするまでが描…

「動物農場」 1945

★★★★☆ あらすじ 農場主を追い出し、動物による動物のための生活を始めた農場の動物たち。 感想 自分たちから搾取する農場主を追い出し、動物のための自由で平等な社会を始めたはずが、結局は新たな独裁者が現れただけで、暮らしはより苦しくなってしまったと…

「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」 2020

★★★☆☆ 内容 コロナ対策で世界的な注目を集めた台湾の若き天才IT相、オードリー・タンの様々な顔を紹介する。 唐鳳 - Wikipedia 感想 オードリー・タン、彼女については台湾のIT担当大臣としてマスクマップを始め、ITを活用して臨機応変にコロナ対応した天才…

「ある男」 2018

★★★★☆ あらすじ 不慮の事故で亡くなった夫が別人に成りすましていたことが判明し困惑する女性から相談を受け、その男の素性を探ることになった弁護士。 感想 自分の結婚相手が名前や素性を偽っていたと知ったら間違いなく驚く。しかも偽名ではなく実在する赤…

「花筐」 2017

★★★☆☆ あらすじ 映画化された「花筐」を含む短編集。 感想 映画の「花筐/HANAGATAMI」を観てこの本を手に取ったのだが、映画は大体この原作に沿ったものだったのだなという印象だ。ただ映画では濃厚に感じられた戦争の気配はない。だが1937年に書かれた小説…

「「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方」 2018

★★★★☆ 内容 「ほめちぎる教習所」としてリニューアルして話題となった自動車学校の取り組みと、そこで実践されている「ほめ方」について紹介する。 www.itmedia.co.jp 感想 教習所にあまりいい思い出がない自分にとっては「ほめちぎる教習所」なんて羨ましい…

「こうしてお前は彼女にフラれる」 2012

★★★★☆ あらすじ 浮気しては何度もフラれる男の話。短編集。 感想 9つの短編が収められている。そのほとんどは、一人のドミニカ出身の男がメインで描かれ、兄は死期が迫る病身の身、母親は働きづくめという設定となっている。ただ最初はそれに全く気付かず、3…

「永田鉄山と昭和陸軍」 2019

★★★★☆ あらすじ 昭和陸軍の逸材と言われながら「相沢事件」で斬殺された永田鉄山。なぜ彼が暗殺されたのか、そしてもし彼が殺されなければその後の戦争はどうなっていたのかを検証する。 永田鉄山 - Wikipedia 感想 永田鉄山という人物のことは最近知った。…

「虐殺器官」 2007

★★★★☆ あらすじ 世界中で頻発する虐殺行為の首謀者を暗殺するのが目的の米国部隊に所属する主人公らは、必ずどの現場にも姿を現すある男を殺せないでいた。 感想 核爆弾が使用され、世界中で戦争やテロが頻発する近未来が舞台となっており、主人公は平和のた…

「THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術」 2021

★★★★☆ 内容 力ずくではなく、自らが触媒(カタリスト)となることで相手の心に変化をもたらす方法を紹介する。 感想 説得されていると感じると、人は自然と反発したくなるものだ。このような人間の特性は、人の心を変えよう、説得しようとする働きかけを困難…

「聴くシネマ×観るロック」 2012

★★★★☆ 内容 映画とその映画で使われた音楽の紹介。 感想 ある映画を中心にそれに関連する映画や音楽が各章で紹介されていく。取り上げられる映画はアカデミー賞などの賞レースで名前が挙がるような作品ではなく、コメディやティーンムービーなどの娯楽作品が…

「映画と本の意外な関係!」 2017

★★★★☆ 内容 あの映画の中に登場した本は何を意味していたかなど、映画と本の様々な結びつきについて紹介する。 感想 映画の中で登場した本が気になって読んだり、その逆に本の中で挙げられていた映画を観たりと、数珠つなぎに作品に接していくのは個人的に好…

「今夜も映画で眠れない」 1989

★★★☆☆ 内容 映画評論家による評論集。 感想 1989年に出版された映画評論集なので、当然この頃に公開された数々の映画について書かれている。それぞれの映画の内容をかなり詳細に取り上げて言及している部分があるので、たとえ昔観た映画でも、その内容をしっ…

「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 2007

★★★★☆ あらすじ ドミニカ系アメリカ人男性の短い人生とその家族の歴史。 感想 漫画やSF、テーブルトークRPGなどが大好きなオタクのドミニカ系アメリカ人男性の生涯が描かれる。小説の中には膨大な数の本や漫画、テレビ番組、映画やゲームなどが登場し、…

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 1969

★★★★☆ あらすじ 大学受験を控えた男子高校生のとある一日。四部作の第一作。芥川賞受賞作。 感想 「ケーコート-」や「学校群」など、それが何を意味するのかよく分からない用語が出てきて時代を感じるが、その内容自体はじゅうぶん現代にも通じる、いつの時…

「危険な関係」 1782

★★★★☆ あらすじ 自分を裏切り若い女と婚約した男に復讐するため、その婚約者を手籠めにするよう遊び人で友人の男爵に依頼した侯爵夫人。書簡体小説。フランス文学。 感想 手紙だけで進行する書簡体小説だ。手紙の文章が妙に回りくどく、気を抜くと何を言って…

「チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学」 2019

★★★★☆ 内容 香港・チョンキンマンションで怪しい商売をして暮らす東アフリカのタンザニア人たち。彼らの生活に密着し、そこから見えてきた独特の考え方や独自のシステムを紹介する。 感想 天然石や中古車等の輸出入業から売春などの裏稼業まで、様々な商売を…

「東京自叙伝」 2014

★★★★☆ あらすじ 明治維新から現代にいたる各時代に、東京の地霊が憑依した人物たちの物語。 感想 明治維新から現代にいたるまでの東京・日本の歴史が、時代ごとに6人の人物の目を通して描かれていく。東京の地霊が彼らに順に乗り移っているという設定で、彼…

「大人のための昭和史入門」 2015

★★★☆☆ 内容 昭和史の主な出来事を、最新の研究に基づいて読み解いていく。 感想 タイトルには「大人のための」とあるが、大人なら常識的に持ってるはずの知識を前提に、という意味なら、その前提となる歴史知識が深すぎるような気がする。単純に自分が大人の…

「侍女の物語」 1985

★★★★☆ あらすじ 宗教国家となった近未来のアメリカで、支配者層の子どもを産む道具として生きる事になってしまった女性。 感想 タイトルからどことなく中世ヨーロッパの貴族社会を描いた物語なのかと想像していたが、近未来のディストピア社会を描いたSF小説…