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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「市民ケーン」 1941

市民ケーン HDマスター [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 死んだ大富豪が残した最期の言葉の謎を探るため、関係者たちに取材を行う記者。アカデミー賞脚本賞。

 

感想

 名作との呼び声高い作品だけに、事前にハードルを上げすぎてしまった。おそらくここで取り入れられている斬新な手法は、その後にそれをオマージュしたりパクったりした作品を見過ぎたせいで、新鮮味を感じることはなかった。

 

 やはりリアルタイムで見ることは大事だ。もしかしたら数年後、自分はこの内容を忘れてしまっているかもしれないが、きっとリアルタイムで見た人達はその時の衝撃とともに忘れないのだろう。とは言え、70年以上前の作品なので、リアルタイムでみた人達が今どれだけいるのかは分からないが。ちなみに日本公開は1966年、55年ほど前だ。

 

 

 主人公の両親はふとしたきっかけで大金持ちになるわけだが、そんな幸運に恵まれたのに子供と離れて暮らすことを選択するなんて、ちょっと理解しがたい部分がある。それほど都会で暮らすことや、良い教育を受けることの重要性を身にしみて感じていたということか。

 

 傍から見れば、裕福で華やかな生活を送っているようにみえる人物でも、人知れず心に葛藤や寂しさを抱えていて、誰の人生でも他人が簡単に評せるほど単純じゃないということなのだろう。

 

 見ている人間の遠近感を狂わせるほどの大豪邸の様子や、ラストの生前主人公が収集した異常な量の彫刻等の山とか、セットや小道具がすごかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/出演 オーソン・ウェルズ

 

脚本 ハーマン・J・マンキーウィッツ

 

出演 ジョゼフ・コットン/ドロシー・カミンゴア/レイ・コリンズ/アグネス・ムーアヘッド/ウィリアム・アランド/アラン・ラッド/アーサー・オコンネル

 

音楽 バーナード・ハーマン

 

編集 ロバート・ワイズ

 

市民ケーン(字幕版)

市民ケーン(字幕版)

  • オ-ソン・ウエルス
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市民ケーン - Wikipedia

 

 

この作品が登場する作品

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「ライトスタッフ」 1983

ライトスタッフ (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 飛行速度を競っていたテストパイロット達のもとに、宇宙飛行士募集の知らせが来る。

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 アカデミー賞作曲賞、編集賞。193分。

 

感想

 とりあえず長すぎる。途中で3時間近くあることに気づいて、心が折れそうになった。長い割には色々と描かれていないような気もする。宇宙飛行士同士の関係だったり、彼らの家族との関係だったりは時折垣間見せるが、基本的にはただ時間軸を追っているような展開だ。

 

 何かが狂えば、すぐ死に直結するテストパイロットや宇宙飛行士。そんな仕事に情熱を燃やす彼らの動機は、家族や国のためなんかではなく、ただの子供っぽい無邪気な冒険心だ。自分が死ぬなんて想像もしていないから、それに付き合わされる家族はたまったものじゃない。でも、こういう人間じゃないと英雄的な人間にはなれないのだろう。

 

 

 しかし、何度も失敗を繰り返しながらも、それでもプロジェクトを進めるアメリカは凄い。どれだけ予算つぎ込んだのだろう。ソ連との宇宙開発競争をしていたから、止めることはできなかったのだろうが。

 

 誰も行ったこともない宇宙へ、みたいな人類全てが夢見られるような出来事というのはなかなかないから、この時代はある意味ではいい時代だったのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 フィリップ・カウフマン

 

原作 ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士 (中公文庫)

 

製作 アーウィン・ウィンクラー/ロバート・チャートフ

 

出演 サム・シェパード/スコット・グレン/エド・ハリス/デニス・クエイド/ジェフ・ゴールドブラム/フレッド・ウォード/ランス・ヘンリクセン/チャールズ・フランク/パメラ・リード/ヴェロニカ・カートライト/バーバラ・ハーシー/リヴォン・ヘルム/ドナルド・モファット/ハリー・シェアラー/ジェーン・ドーナッカー


音楽 ビル・コンティ

 

ライトスタッフ (字幕版)

ライトスタッフ (字幕版)

  • サム・シェパード
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ライトスタッフ - Wikipedia

 

 

登場する人物

チャック・イェーガー/アラン・シェパード/ガス・グリソム/ジョン・グレン/ゴードン・クーパー/ウォルター・シラー/スコット・カーペンター/ディーク・スレイトン/リンドン・ジョンソン

 

 

この作品が登場する作品

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「LUCY/ルーシー」 2014

LUCY/ルーシー (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 運び屋にされた女の、腹部に埋め込まれた麻薬の袋が破れ、女の脳が覚醒する。

 

感想

 通常の人間の脳は10%しか活用されていないとされているが、フル活用されるとそんな風になるの?とちょっと疑問な気もするが、まぁ映画自体は面白かった。

 

 スカーレット・ヨハンソンの脳が覚醒してスーパーになってしまって、ヒーロー物的な面白さがあるのだが、なにぶん人間を超越してしまって向かう所敵なしなので、ハラハラ・ドキドキ感はない。敵対する誰かがもう一人覚醒するともっと面白い展開になったのかもしれない。でも、多分そこは目指してない感じではあるが。

 

 

 覚醒したスカーレット・ヨハンソンが2台のパソコンを使って、あり得ない速さで様々な情報を吸収していくシーンがあるが、そんな彼女の速さに対応できるそのパソコンが欲しいわ、と思ってしまった。多分、そういう性能のパソコンが有るわけじゃなくて、彼女の力によってそういう性能になっている設定なのだろうが。

 

スタッフ/キャスト 

監督/脚本 リュック・ベッソン

 

出演 スカーレット・ヨハンソン 

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アムール・ワケド/チェ・ミンシク/ジュリアン・リンド=タット/アナリー・ティプトン

 

音楽 エリック・セラ

 

LUCY/ルーシー (字幕版)

LUCY/ルーシー (字幕版)

 

LUCY/ルーシー - Wikipedia

 

 

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「トゥー・フォー・ザ・マネー」 2005

トゥー・フォー・ザ・マネー (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 怪我のためNFL選手への夢を絶たれた男は、スポーツ勝敗予想の才能を買われて、スポーツ情報会社にスカウトされる。

 

感想

 主人公は元々プロも目指せるほどの選手だったので、勝敗予想はそれなりにできるというのはなんとなく分かるのだが、的中率がそこまで高い理由はよくわからない。だから、スランプに陥られても、観ている方としてはどういう感情を持っていいのか、よくわからない。

 

 そして、彼を寵愛するアル・パチーノ演じる元ギャンブル依存症の情報会社の社長。彼の心の奥底にある破滅願望。ギャンブルですべてを失う事にゾクゾクするというのも正直良くわからないが、依存症の人とかいるのだからそういう感覚はそれなりによくあるものなのだろう。中盤のギャンブル依存症の集会で語るシーンで、ちゃんと自分の深層心理を説明しているのが面白い。

 

 

 結局、社長が人生をギャンブルにして、すべてを失ってゾクゾクしようとしていたのに、主人公がそれを食い止めた、という話。ギャンブルに興味がない自分としては、あまり良くわからない世界だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 D・J・カルーソー

 

脚本/製作総指揮 ダン・ギルロイ

 

製作総指揮/出演 レネ・ルッソ

 

出演 マシュー・マコノヒー

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アーマンド・アサンテ/ジェレミー・ピヴェン/ジェイミー・キング

 

トゥー・フォー・ザ・マネー - Wikipedia

 

 

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「キング・オブ・コメディ」 1983

キング・オブ・コメディ 特別編集版 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 人気コメディアンとのコネをきっかけに、なんとかスターになろうとする男。

 

感想

 タイトル的に長い下積みの末、才能が開花してスターになる、みたいな成功物語を予想していたのだが全然違った。斜め上の展開だった。

 

 人気コメディアンに憧れ、その姿を真似る主演のロバート・デ・ニーロの偏執的な演技が相変わらずヤバさを醸し出している。そしてその独りよがりのヤバさが、うまくコメディの方に転んでいて面白い。

 

 

 コメディアン役が主役だと、コメディアン自体の能力で笑わそうとしてきそうなものだが、彼自体でなく、彼が取る行動や状況で笑かしてくるのがうまく出来てるなと感心する。

 

 全然下積みのために舞台に立とうとしなかったくせに、主人公はちゃんと大舞台で笑いを取り、しかも結果的に成功を手にする。すごいハッピーエンドなはずなのだが、その状況がどこか社会の闇のような、皮肉なものを感じて後味の悪さが残る。だけど、逆にそれが良い。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演 マーティン・スコセッシ

 

出演 

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ジェリー・ルイス/ダイアン・アボット/サンドラ・バーンハード/シェリー・ハック/トニー・ランドール/エド・ハーリヒー

 

キング・オブ・コメディ - Wikipedia

 

 

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「スリー・キングス」 1999

スリー・キングス (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 湾岸戦争の終結直後、米軍の兵士が投降したイラク兵から謎の地図を入手する。

 

感想

 勝利の高揚感の中、アメリカ万歳的な陽気な雰囲気で始まり、そのままちょっとしたアドベンチャー感覚の金塊探しがスタートする。しかし、次第に能天気さは影を潜め、シリアスな気分に支配され始める。

 

 戦争の目的はクウェートからイラクを追い出すことだから、たしかにそれ以上のことをすると干渉になってしまう。しかし、現実を見てしまって、それでも関係ないからと見過ごすことはなかなか難しい。だからそれを伝えるマスコミが重要なのだろう。そんなマスコミも、鮮度もインパクトもない情報には見向きもしないわけだが。

 

 

 結局アメリカ人は原油にしか興味が無いんでしょ?とか、アメリカ映画でそんなに耳の痛いことばかり言ってて大丈夫なのかと心配になるくらい、皮肉が散りばめられている。

 

 紆余曲折あって最後はめでたしめでたしで終わるのだが、色んな人達の思惑が交錯しているだけに爽快感はなく、結局こうやって世界は回っているのだな、と無常感につつまれる。

 

 とはいえ、こういった話をダークになり過ぎず、コメディを混じえつつ描けるのはすごい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 デヴィッド・O・ラッセル

 

原案 ジョン・リドリー

 

出演 

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マーク・ウォールバーグ/アイス・キューブ/スパイク・ジョーンズ/クリフ・カーティス/ジェイミー・ケネディ/サイード・タグマウイ/ノーラ・ダン/ミケルティ・ウィリアムソン/ジュディ・グリア

 

スリー・キングス (字幕版)

スリー・キングス (字幕版)

  • ジョージ・クルーニー
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「サンセット大通り」 1950

サンセット大通り (字幕版) 

★★★☆☆

 

あらすじ

 金に困った売れない脚本家が、今は世間に忘れられたかつてのスター女優と出会う。

 

感想

 忘れ去られた大女優と言っても、まだ50歳で結構若い。無声映画からトーキーへの切り替わりで消えていった女優ということなのだろうか。しかしいつの時代も昔は良かったと言う人は必ずいるものだ。

 

 かつての名声時代で時が止まったままのような、朽ち果てていく大豪邸に、異様なオーラを放つ執事と共に住む大女優。どこか現実感の乏しい、幻のような世界だ。同様に過去の人となってしまったスターたちと興じるカードゲームが印象的。あとで知ったが、実際に無声映画のスターだったバスター・キートンらが演じている。

 

 

 未だにスターだと思い込んでいる彼女には物悲しさを感じるが、ひょんなことから映画スタジオを訪れた際には、かつてのスタッフらを中心に彼女の周りに大勢が群がる。彼女も生き生きとした表情を見せ、その色褪せない片鱗もうかがわせている。

 

 ラストの呆然と立ち尽くす記者や警察たちの間を、ゆっくり、ゆっくりと階段を降りていく最後の大演技は、喜びや狂気といった様々な感情を含んで鬼気迫るものがあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ビリー・ワイルダー

 

出演 

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グロリア・スワンソン/エリッヒ・フォン・シュトロハイム/ナンシー・オルソン/ナンシー・オルソン/セシル・B・デミル/バスター・キートン/アンナ・Q・ニルソン/ヘッダ・ホッパー/ジェイ・リビングストン/レイ・エバンズ

 

サンセット大通り (字幕版)

サンセット大通り (字幕版)

  • グロリア スワンソン
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「ソナチネ」 1993

ソナチネ [DVD]

 

★★★★☆

 

あらすじ

 組織で疎まれていた組長が、組員たちとともに沖縄の抗争の応援に駆り出される。

 

感想

 久しぶりに見たら、大杉漣や寺島進といったパイプレーヤーたちが若い。もう25年も前の作品だから当然か。

 

 無邪気に花火をやったり海辺で戯れたりと、ヤクザのおじさんたちの夏休み、と言った感じなのだが、どこか死の匂いが漂っている。悲劇の前の束の間の幸福な時間、と言ったところだろうか。

 

 

 激しく感情を昂ぶらせて暴れるのではなく、静かに無表情に、そして時に唐突に訪れるバイオレンスが狂気を感じさせる。時々挟まれる乾いた笑いも、いいアクセントだ。

 

 べらべら喋るような状況説明的なセリフはあまりないのだが、「体調悪いんですか?」「火貸してください」のわずかなセリフで、ちゃんと前ふりしているのは凄かった。体調悪いんですか?で変な匂いがしていることを表して、火を貸してください、でその後に起きることを示している。うまい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/編集/*出演 北野武

*ビートたけし名義

 

製作 奥山和由

 

出演 国舞亜矢/渡辺哲/勝村政信/寺島進/大杉漣/矢島健一/南方英二/津田寛治/木下ほうか/森下能幸

 

音楽 久石譲

 

ソナチネ [DVD]

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  • ビートたけし
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「影武者」 1980

影武者

★★★☆☆

 

あらすじ

 武田信玄の死を秘すため、影武者が置かれる。

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 カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。

 

感想

 エンターテイメント要素は薄いが、合戦の映像は迫力がある。一人ひとりの戦いというよりは集団のぶつかり合いだ。鎧で馬に乗り、幟をはためかせる武者の集団は格好いい。ジョージ・ルーカスがスターウォーズで真似するのも分かる。

 

 しかし黒澤明は武田信玄に思い入れがあったのだろうか。それとも偉大すぎた信玄が死後も影響を与え続け、やがては武田家を滅ぼしてしまったことに関心があったのか。

 

 

 信玄が追放した父親の信虎が、その後も武田家とそれなりのつながりがあったのが意外だった。

 

 大将を守るために命を投げ出す部下や、合戦で儚く死んでいくものたちへの眼差しも忘れない所が黒澤明らしかった。そしてやっぱり勝新太郎が演じていたら、どうなっていたのだろうと考えてしまう。 

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/編集

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脚本 井手雅人

 

外国版プロデューサー フランシス・フォード・コッポラ/ジョージ・ルーカス

 

監督部チーフ 本多猪四郎

 

出演 仲代達矢/山崎努/萩原健一/根津甚八/大滝秀治/隆大介/桃井かおり/倍賞美津子/室田日出男/阿藤海/志村喬/藤原釜足

 

影武者

影武者

  • 仲代達矢
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登場する人物

武田信玄/武田信廉/諏訪勝頼/山縣昌景/織田信長/徳川家康/於ゆうの方/馬場信春/内藤昌豊/跡部大炊助/原昌胤/小山田信茂/高坂弾正/武田竹丸/森蘭丸/丹羽長秀/酒井忠次/石川数正/本多平八郎/上杉謙信

 

 

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「晩春」 1949

晩春

★★★★★

 

あらすじ

 年頃を過ぎても嫁に行かない一人娘を気にかける父親。

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 キネマ旬報ベスト・ワン作品。

 

感想

 原節子がいつもニコニコ、というよりニヤニヤしているだけに、怒るとめちゃくちゃ怖く見える。ただ怒っているだけではなくて、それ以上の尋常じゃない何かがあるような凄みがある。

 

 この時代の男は、25歳ぐらいでおじさんになっているイメージがあるが、逆に女は少女のままだ。それだけ女を閉じ込め、世間知らずにさせておいたということなのかもしれない。そんないい歳した娘に、自分の再婚の話を汚らわしいと思われる父親も辛い。

 

 

 父親にそんな汚らわしい事をさせないためにも、嫁に行かず父親の世話を続けようと考える娘と、寂しくなるが娘のためには嫁に行かせなければならないと考える父親。本当はこのままの暮らしを続けたい父娘の思いは一緒なのに、娘が嫁いで離ればなれになるのが正解という所に、この父娘の話の悲哀がある。

 

 登場する鎌倉や京都の風景、昔ながらの日本家屋を眺めながら、日本は美しい良い所だなとしみじみとしてしまった。育てた娘を嫁に出す虚しさを父親が友人に語るシーンで挿入される、竜安寺の庭園の映像だけでなぜだか泣きそうになってしまった。

竜安寺石庭―七つの謎を解く (1970年)

竜安寺石庭―七つの謎を解く (1970年)

 

 

 父と娘の複雑な心情を淡々と描きながらも、それだけじゃなく、ちゃんと笑いも織り交ぜられていて凄い。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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脚本 野田高梧

 

原作 「父と娘」 廣津和郎

 

出演

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原節子/月丘夢路/杉村春子/青木放屁/三宅邦子

 

撮影 厚田雄春

 

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「武士の献立」 2013

武士の献立

★★☆☆☆

 

あらすじ

 料理の得意な女中が、包丁侍の嫁となる。

 

感想

 タイトルとは裏腹に、さほど料理に重きを置いている感じはなく、加賀騒動におけるある武士とその嫁の話といった感じ。とはいえ、そちらも中途半端感が残る。プロが手際よく料理しているシーンは結構好きなのだが、それだけでは映画が持たないと思ったのだろう。

 

 侍なのに包丁を握らされて、料理をしなければならないというジレンマは理解できるが、いつその未練を断ち切ったのかよくわからないし、そもそも未練を断ち切れたのかすらも分からない。終盤の女が取った行動も独りよがりで、見ていてイライラした。

 

 

 それぞれのシーンを個別に見ればいいシーンなのかもしれないが、通して見るとキャラクターの心情の変化などが何も見えなくて、全然伝わってこない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 朝原雄三

 

脚本 柏田道夫/山室有紀子

 

出演 上戸彩/高良健吾/余貴美子/中村雅俊(声)/成海璃子/柄本佑/夏川結衣/緒形直人/鹿賀丈史/ふせえり/宮川一朗太/浜野謙太/笹野高史

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音楽 岩代太郎

 

武士の献立

武士の献立

 

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「her/世界でひとつの彼女」 2013

her/世界でひとつの彼女(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ 

 妻と別れ、虚ろな日々を過ごす男が、人工知能を持ったOSと恋に落ちる。

 

感想

 近未来の話。その世界観が夢のような未来ではなく、ありそうなくらいの未来という設定で面白い。人は皆スマホのようなものを持っていて、画面タッチではなく音声でメールを送っている。監督のスパイク・ジョーンズの考える未来には、ディスプレイは存在するがキーボードはなく、ロボットもいない。人々は独り言のようにつぶやきながら街を歩いている。一人くらい馬鹿みたいに大声で喋る人がいそうなものだが。

 

 人工知能を持ったOSというのも面白いが、鬱陶しそうだ。勝手に話しかけてきたりもする。だけどやがて恋に落ちてデートして、世間もそれを認めるようになり、しまいにはOSの言いなりになる人まで出てきたりして。

 

 

 そんな恋愛までできる人工知能まであるのに、主人公の職業が代筆屋だというのもよく考えると不思議な感じ。

 

 主演のホアキン・フェニックスがいい表情を見せていた。OS役のスカーレット・ヨハンソンも、声だけというもったいない使い方ではあるが良かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 スパイク・ジョーンズ


出演 ホアキン・フェニックス/エイミー・アダムス/ルーニー・マーラ/オリヴィア・ワイルド/クリス・プラット/ポーシャ・ダブルデイ/(声)スカーレット・ヨハンソン/(声)クリステン・ウィグ/(声)ブライアン・コックス/(声)アダム・スピーゲル

 

音楽 アーケイド・ファイア

 

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「最強のふたり」 2011

最強のふたり (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 身体麻痺の障害を持つ富豪を介護する職の採用面接に、求職実績にして失業保険をもらおうとしただけの黒人男性がやって来る。事実を基にした作品。

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感想

 黒人と白人、金持ちと貧乏、健常者と身障者など様々な対比があり、あまり交わることのなかったそれらが交わることで面白いドラマが生まれている。だが何よりも介護人である黒人男性のキャラクターが魅力的なのが大きい。相手が金持ちでも、身障者でも特別扱いではなく、自分らしく接しようとする。身障者対応の車に乗せるのは、馬を扱っているみたいで嫌だと拒否するのが印象的だった。

 

 障害を抱えた最初の頃は、本人にとってもそれが特別なことであったかもしれないが、時間が経てばそれは普通のことになり、いちいちそれについて気を使われたり、同情されたりするのはうんざりすることなのだろう。だが、初めてその人と接する人は、なかなか普通には接することができず、勝手に気を使ったり、同情したりしてしまう。全然悪気はなく、良心的な気持ちでなのだが。

 

 

 次第に絆を深めていく二人の掛け合いが面白かった。ただ物語的にあの卵の扱いが雑だったような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ

 

出演 フランソワ・クリュゼ/オマール・シー/アンヌ・ル・ニ/オドレイ・フルーロ

 

最強のふたり (字幕版)

最強のふたり (字幕版)

  • フランソワ・クリュゼ
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「ワルキューレ」 2008

ワルキューレ Blu-ray

★★★☆☆

 

あらすじ

 第2次大戦で敗色濃厚の母国ドイツを救うために、大佐がヒトラー暗殺計画をたてる。

 

感想

 大戦中にドイツでこんな事件があったとは知らなかった。独裁政権下なので盤石だと思っていたのに、意外と際どい状況だったのか。それまでにも何度かあったようで、それが失敗に終わるたびに、粛清が行われて独裁色がますます強まるという悪循環。それでも、それなりの地位にいた人の中にも、自国の状況をなんとかしようとしていた人がいたということに救いのようなものを感じる。

 

 しかしこういう思い切ったことをやってのけるには、決断力が重要なのだと思い知らされる。多少の不確定要素があったとしても、実行した以上はやりきるしかない。ヒトラーの死を確信できずに、部隊の動員を遅らせてしまった将軍の気持ちは十分わかるのだが。

 

 

 当時のドイツ事情がよくわかってないので、登場人物たちの立場や関係性を理解するのに苦労した。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 ブライアン・シンガー

 

脚本/製作 クリストファー・マッカリー

 

製作総指揮/出演

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出演 ケネス・ブラナー/カリス・ファン・ハウテン/ビル・ナイ/クリスチャン・ベルケル/テレンス・スタンプ/ケヴィン・マクナリー/エディー・イザード/トム・ウィルキンソン/トーマス・クレッチマン/トム・ホランダー/ケネス・クラナム

 

音楽/編集 ジョン・オットマン

 

ワルキューレ Blu-ray

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登場する人物

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クラウス・フォン・シュタウフェンベルク/オットー・エルンスト・レーマー/ハインリヒ・ヒムラー /ヨーゼフ・ゲッベルス

 

 

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「運命じゃない人」 2005

運命じゃない人 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 恋人との別れを引きずる男が、幼馴染にレストランに呼び出される。

 

感想

 時系列を入れ替えて展開していく。結構面白かったのだが、昼から翌朝にかけての短い期間の話なので、最後三回目の時間を巻き戻しての展開はちょっと飽きた。

 

 でもなかなか話がよく出来ていて、特に電話番号を女の子に聞くタイミングについての探偵の説教からの流れは見事だった。

 

 

 恋愛映画のようなタイトルだが、最初と最後だけ恋愛映画といった感じ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 内田けんじ

 

出演 中村靖日/霧島れいか/山中聡/山下規介/板谷由夏/眞島秀和

 

運命じゃない人 [DVD]

運命じゃない人 [DVD]

  • 発売日: 2006/01/27
  • メディア: DVD
 

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