★★★☆☆
あらすじ
国際的な麻薬取引の捜査のためにフランスにやって来た中国人刑事は、共同捜査するはずだった地元警察官にハメられ、殺人事件の犯人に仕立てられてしまう。
感想
訪れたフランスで殺人の濡れ衣を着せられてしまった中国人刑事が、たまたま知り合った組織のフランス人娼婦と協力して窮地を脱しようとする物語だ。二人は共に主人公が騙された現場にいて、後に別の場所で再会する。
だが全くお互いに気付く様子がなく、それを不審に思っていたのだが、よく考えると主人公が現場に乗り込んで来たところを彼女は見ておらず、直接顔を合わせていなかったから当然だった。だが、二人が同じ現場にいたことに気付くまではなんだかもどかしかった。
中国から来た主人公を受け入れたフランス警察は、最初からかなり怪しかった。ボスに会うのに無駄に複雑で慎重な手続きが必要で、ようやく会えたと思えば主人公のパスポートや拳銃を取り上げてしまう。清廉潔白な中国人を腐敗しきったフランス人が騙すという面白い構図だ。
別に中国は腐敗しきっているわけではなく、間違った方向に真面目にやっているだけだが、それでもフランスがこんな風に自国を描けるのは自由な国家ならではだろう。痛烈な風刺にも感じた。とはいえ、我が国はそんな国じゃない、貶めるようなことをするなんて非国民だ、などと現実と虚構をごっちゃにして頓珍漢なことを言ってしまう人はどこの国にもいるのだろう。
ジェット・リーを中心としたアクションは、特に目を見張るようなシーンがあるわけではないが、いつもの安定感のある見ごたえのあるものとなっている。あまり本筋とは関係なく、主人公が警察署内の空手道場に迷い込んでしまい、稽古中の大勢の警察官を相手に戦う羽目になってしまうシーンは笑えた。強引な展開だったが、嫌いじゃない。
ブリジット・フォンダ演じる娼婦がなぜ主人公に関心を示して何度も話しかけたのか、そして仕事に忠実で冷静な主人公がなぜ彼女に関わるようになったのかがよく分からなかったりと、ストーリーとしては雑で大したことがなかったが、気楽に楽しむには悪くないアクション映画となっている。
東洋の神秘なのかなんなのか、なぜか主人公が鍼の達人という設定になっていて、なにかと鍼を使い、最後は北斗の拳みたいになっていたのは面白かった。そんなことができるならわざわざがっつり戦わず、こっそり鍼を使いながら倒していけばよかったのに、と野暮なことを考えてしまった。
スタッフ/キャスト
監督 クリス・ナオン
脚本/製作 リュック・ベッソン
原案/製作/出演 ジェット・リー
出演 ブリジット・フォンダ/チェッキー・カリョ/リック・ヤン/バート・クウォーク/シリル・ラファエリ
音楽 クレイグ・アームストロング