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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ソウル・キッチン」 2009

ソウル・キッチン (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 恋人が中国に駐在することになり、ドイツに一人残った大衆食堂のオーナー。ドイツ映画。

 

感想

 厨房にも立っていた食堂オーナーである主人公が、ある日腰を痛めたことから店が回らなくなってしまう。そこに店の買収を目論む不動産屋の保健所への密告や、税金滞納による差し押さえなどのトラブルに立て続けに見舞われ、存続の窮地に陥ってしまった大衆食堂。

 

 そんな大衆食堂にクセの強いメンバーが集まって店を再建していく話。ではあるのだが、そんなにそこはメインではない感じ。店がヤバいから何とかしなければといった焦燥感や、こうすればいいんじゃないかみたいな試行錯誤も描かれず、ただ状況に流されていたら繁盛した、みたいな流れ。

 

 

 「王様のレストラン」的な展開を期待していたので、あまりに締まりのない物語に物足りなさを感じてしまった。基本的にコメディなので、その行き当たりばったりのへらへらした感じを楽しむべきだったのだろう。レストランの話だと思っていたのに、最終的には主人公個人の話に収斂してしまっていたのも何か違うな、と思ってしまった。

王様のレストラン DVD-BOX La Belle Equipe

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  • 発売日: 2003/09/03
  • メディア: DVD
 

 

 わざわざ「ソウル・キッチン」という食堂にするくらいのドイツ映画なので、音楽にはこだわりを感じる。クール・アンド・ザ・ギャングの曲が流れて始まる、まるでブラックスプロイテーション映画のような幕開けからラストまで、劇中で使われる曲はどれも良い。それだけに選曲はいいのに、と思ってしまう自分がいた。ただ、とりあえず隙あらば音楽関連の機材は盗む、という設定には笑ってしまった。

 

 勝手にハードルを上げてしまった感はあるが、気軽に見るには悪くない映画ではある。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ファティ・アキン

 

脚本/出演 アダム・ボウスドウコス

 

出演 モーリッツ・ブライブトロイ/ビロル・ユーネル/ヴォータン・ヴィルケ・メーリング/モニカ・ブライプトロイ/セム・アキン/ウド・キア

  

ソウル・キッチン (字幕版)

ソウル・キッチン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

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「渇き」 2009

渇き(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ヴァンパイア化してしまった神父。韓国映画。

 

感想

  人のためになりたいと願いながらヴァンパイアになってしまった神父の物語。顔や体に酷い水疱が出来たり、手首を何度も切ったり、血が噴き出したりと結構激しい描写が多く、この手の映像が苦手な自分にとっては直視するのがきつい部分もあった。

 

 神父でありながら吸血鬼となってしまったために、自身の湧き上がる欲望に苦悩する男、という割と清く正しい吸血鬼映画と言えるのかもしれない。ただ、そこにコミカルさやメルヘンチックな表現なども加わって、自由にのびやかに描いているという印象。

 

 

 この自由自在な空気感が面白かったのだが、途中で少し物語を見失ってしまっていた時間帯があった。恋人の夫を殺したあたりからしばらくは、ちょっとわかりづらかった。ただ、その後は体勢を立て直し上手く進行している。

 

 最後はひとしきりドタバタした後の美しいエンディング。うまくまとまっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 パク・チャヌク
 

出演  ソン・ガンホ/キム・オクビン/シン・ハギュン/キム・ヘスク/オ・ダルス

 

渇き(字幕版)

渇き(字幕版)

  • ソン・ガンホ
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関連する作品

インスパイア元の作品

 

 

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「イン・ザ・ベッドルーム」 2001

イン・ザ・ベッドルーム [ユニバーサル・セレクション] (初回生産限定) [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 大学の休暇で戻ってきた息子が、子連れの年上の女性と付き合うようになり心配する両親。

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感想

  最初は話がどこに向かうのか、なんなら主役が誰かすら分からないような展開だったが、次第に流れが見えてくる。夏休みに戻ってきた息子が、子連れの年上の女性と付き合い始め、心配する夫婦。しかもその女性は夫と正式には離婚していない。その夫が登場しただけで不穏な空気になり、トラブルメイカー的な存在だということが分かる演出は上手かった。

 

 そしてそんな夫婦の不安は、想定よりも最悪の形で的中してしまう。悲しみに暮れる夫婦。事件は、それまで仲睦まじかった夫婦の間にも隙間風を吹かすことになる。悲しい出来事に対する対処の方法は人それぞれで、立ち直り方も人それぞれだ。悲しみが去るまでじっとただ待つ人間もいれば、敢えて別の事に取り組んで気を紛らわせようとする人間もいる。夫婦でそのやり方が違えば、互いに不信感を募らせることになってしまう。

 

 

 悲しみを紛れさせようと活発に動く夫。居ても立っても居られなくなり突発的な行動をしてしまったり、息子の面影を見つけてしみじみとしてしまったり、そんな中でも些細な事でふと笑ってしまったりと、非常にリアリティを感じる悲しみの日々が描かれている。そんな彼をサポートする周りの友人たちの温かさも心に沁みる。

 

 そして冷え切った夫婦間に溜まった互いへのフラストレーションがついに爆発する。互いに気持ちをぶちまけ、言いたいことを言いあう。そして和解。良くある話ではあるのだが、やはり口に出さないと気持ちは伝わらない。こういう激しい感じではなく普段から穏健な形で気持ちを伝えられたらいいのだが、それが難しい。

 

 そんな悲しみに暮れる夫婦の姿を描いていくのかと思ったら、最後は意外な展開が待ち受けていた。結局そっちへ行くのかと。でも感情で突っ走った結果ではなく、じっくりと色々噛みしめた上でのそれなので、余韻は深い。

 

 ところでこの「イン・ザ・ベッドルーム」という意味深なタイトルは、序盤のロブスターのくだりから来ていると思うのだが、ちゃんと日本語字幕で「ベッドルーム」という言葉を入れておいた方が良かったような気がする。ロブスターの捕獲網(ベッドルーム)に第三者がやってくると面倒な事が起こってしまう、という分かりやすい例えではあったが。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 トッド・フィールド

 

原作 「Killings」 「Finding a Girl in America」所収

 

出演 トム・ウィルキンソン/シシー・スペイセク/ニック・スタール/マリサ・トメイ/ウィリアム・メイポーザー/カレン・アレン/ヴェロニカ・カートライト

 

音楽 トーマス・ニューマン

 

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「野菊の如き君なりき」 1955

野菊の如き君なりき

★★★★☆

 

あらすじ

 農家の青年とそこに手伝いに来ていた年上の女性の叶わぬ恋。

 

感想

 最初はいまいち人間関係が分かりづらかったが、主人公は農家の次男で、彼が恋する少女は母親の弟の娘で従妹にあたる。ただこの少女が奉公人のような扱いなので混乱してしまった。なんだか変な感じがしてしまうが、家中心の考え方だと、嫁入りしてきた女の実家の人間、他家の人間だから、ということらしい。ややこしい。

 

 幼い頃から一緒に育った主人公と少女。大きくなっても子供がじゃれ合うように仲が良い。しかし年頃の男女ということで心配する兄の嫁や、それを快く思わない奉公人の女、噂話をする近所の者たちの存在によって、二人の関係はギクシャクしたものになっていく。わざと聞こえるように嫌味を言ったりして、いかにも村社会の嫌な部分といった感じだった。

 

 

 ただ、あまりにも無邪気にじゃれ合っている二人の様子を見ていると、心配になる気持ちも分からなくもない。二人が結婚してもいいと思っているのなら放っておけばいいが、その気はないのなら何らかの対処はするべきだった気はする。

 

 一家を取り仕切っている母親は、口では困ると言いながらも、実の息子と姪なのでどうしても甘やかしてしまう。適切な距離を取れと忠告するくせに、二人きりになるよう仕向けたりもする。この本音と建前をうまく使いこなせない感じ、厳しい事を言いながらも可哀そうになって泣いてしまいそうになる感じを、杉村春子が流石の演技で魅せてくれる。

 

 恋愛は反対されると燃える、とよく言われるように、結果的にはこの周囲の反応が二人を離れ難くしてしまった。適切に対処していれば、二人が「そんなこともあったな、若かった」と青春の思い出として軽く笑える未来があったような気もする。

 

 周囲の余計な配慮のおかげで、どんどんとこじれていってしまう二人の思い。そんな中で少女を思いやる祖母の言葉が刺さる。しかし、年寄りというのはずけずけと本音を言うが、あれは何故なのだろう。家を守らなければいけない責任を感じている当主の世代とは違い、すでにその責務から解き放たれた自由さや無責任さがそうさせるのだろうか。もしかしたら、かつて同じような事をした後悔があるせいなのかもしれない。

 

 なんとなく予想できる展開だったにも関わらず、やっぱり二人の悲恋に涙が出そうになってしまった。仲が良かった二人が引き離されていく過程の描き方がうまい。純粋で素朴な二人だっただけに悲しみが深くなる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 木下惠介

 

原作 野菊の墓

 

出演 田中晋二/有田紀子/田村高廣/小林トシ子/杉村春子/雪代敬子/浦辺粂子/谷よしの

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音楽 木下忠司
 

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この作品が登場する作品

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「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」 2016

インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 前回の戦いで勝利してから20年。再び宇宙人に侵攻された地球。

 

感想

 前作で主演のウィル・スミス以外の登場人物たちは、ほとんど今回も出演しているようだが、観ているこっちがいかんせんほとんど覚えていない。前作の内容をしっかりと覚えていたらもっと楽しめた内容のようだったので、これを観る前にちゃんと復習をしておいた方が良かった。

 

 しかし、20年も前の作品の続編となると、前回のあらすじみたいなものをどの程度やるかを決めるのは難しいのかもしれない。前作を皆が十分知っている前提でやるのは傲慢すぎる気もするし、かといって丁寧にやり過ぎると無駄に長くなってしまう。

 

 

 それでこの映画はというと、傲慢なタイプ。歴史上の英雄としてウィル・スミスの肖像が飾られていたり、前回から引き続き登場する人物たちの会話の中で触れられる程度の前回のあらすじ説明だった。映画の設定や前提の知識はすでに共有しているものとして、すでに物語中盤のような雰囲気で映画はスタートする。

 

 そして、タイトル的にも独立記念日を強調したいがために、ほぼこの一日のみを描いた内容となっている。そのために色々と詰め込み過ぎている感が半端ない。もうちょっと緩急をつけてくれると良かったのだが、あちこちで何やかやが起きるので見ているだけでかなり疲れてしまう。

 

 さらには、前回のウィル・スミスのように中心人物のキャラが強くないので、群像劇ではあるのだが中心がなく、どことなく散漫な印象がある。ルーク・スカイウォーカーのいないスターウォーズみたいな。登場人物たちや乗り物など、全体的な雰囲気もどこかスターウォーズぽさが感じられた。

 

 しかし、英雄の息子や元大統領の娘がメインキャラになっているというのは、まるで世襲制の特権階級がいる現実を再確認、そして追認させられているようで、ちょっと気分が暗くなってしまう。こういう神話的な物語には血統も重要な要素だということなのかもしれないが。

 

 元大統領だったりパイロットの母親だったりが、無駄死をさせられているのも気になった。ただ映画を盛り上げるためにこういう雑な扱いをするのは冷める。それから、大西洋を覆うような巨大な宇宙船をつくれる宇宙人が、リーダーを失ったぐらいで撤退するというのはさすがにリアリティがない。

 

 大作感はあるのだが、物足りなさが残る映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案/製作 ローランド・エメリッヒ

 

脚本/原案/製作 ディーン・デヴリン

 

脚本/原案 ジェームズ・A・ウッズ

 

脚本/原案/出演 ニコラス・ライト

 

出演 リアム・ヘムズワース/ジェフ・ゴールドブラム/ジェシー・T・ユーシャー/ビル・プルマン/マイカ・モンロー/セーラ・ウォード/ウィリアム・フィクナー/ジャド・ハーシュ/ブレント・スパイナー/ヴィヴィカ・A・フォックス/アンジェラベイビー/シャルロット・ゲンズブール/チン・ハン/ベンガ・アキナベ/ロバート・ロッジア/ジョーイ・キング/ライアン・カートライト

 

インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (字幕版)

インデペンデンス・デイ:リサージェンス (字幕版)

  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: Prime Video
 

インデペンデンス・デイ: リサージェンス - Wikipedia

 

 

関連する作品

 前作

インデペンデンス・デイ (字幕版)

インデペンデンス・デイ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

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「王様とボク」 2012

王様とボク

★☆☆☆☆

 

あらすじ

  6歳の時に事故で眠ったままになった友人の意識が戻った事を知った、18歳の誕生日を迎えた青年。

 

感想

 無駄にエロいキスシーン以外は、特に何も面白い事は起きずに物語は進行する。つまらない前振りを終えて、早く面白くなっていかないかな、と思っていたら、そのまま終わってしまう映画。

 

 おそらく問題は松坂桃李演じる主人公に一切共感できない事だろう。幼い頃に一緒に遊んでいた友達が事故で植物状態になってトラウマになるのは分かるが、さすがに12年もの間ずっと強く気にかけているというのは嘘っぽい。さらには意識が戻ったからと、その友達とできるだけ一緒に過ごすために、大学やバイトを辞めてしまう、というのはもっと嘘っぽい。

 

 

 どんどんと意味不明な行動をとるようになる主人公に、見る者が距離を感じてしまうのは当然だろう。そして無駄に純粋で、感受性が豊かで騒々しい二階堂ふみ演じる主人公の彼女も、見ているだけでめんどくさい。そんな二人を見続けなければいけないという苦痛。一時間半もない映画なのにとてつもなく長く感じてしまった。

 

 分かりづらい内容だが、あー大人になりたくない、しかしいいな、アイツは6歳のままで、と主人公の身勝手な想いをピュアに表現していて、なかなか鬼畜だな、と思った。相手のご両親が聞いたら、はらわた煮えくり返りそうだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 前田哲


脚本 やまだないと 

 

原作 王様とボク

 

出演 松坂桃李/菅田将暉/二階堂ふみ/相葉裕樹

 

王様とボク

王様とボク

  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: Prime Video
 

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「マンハッタン殺人ミステリー」 1993

マンハッタン殺人ミステリー (字幕版) 

★★★★☆

 

あらすじ

  妻を亡くしたばかりの隣人の行動に不審を抱き、探偵まがいの事を始める主人公の妻。

 

感想

  いつものウディ・アレン映画の調子でミステリー。妻を亡くしたばかりの隣人に不審を感じ、真相を追う夫婦の姿が描かれる。妻の前のめりすぎる行動に若干引いてしまわないでもないが、夢中になればこうなってしまうのも仕方がない。

 

 そしてこのミステリーに、妻と意気投合する友人、主人公に好意を見せる女流作家などを登場させて、コミカルにそして物語に深みを与える展開で、いつもの事だが心憎い演出だ。そしてドタバタ感を醸し出してはいるが、ちゃんとシリアスに描けば立派な本格ミステリーになりそうなしっかりとしたストーリーで、ある意味で贅沢な事をしているのかもしれない。

 

 

 妻のただの勘違いだった、というオチを期待してしまう自分がいたが、れっきとした殺人事件だった。あんなに事件に夢中だった主人公の妻が、皆が女流作家の推理を夢中になって聞いているのを見て、急にテンションがだだ下がりになっていたのが面白かった。人は自分より過剰な反応をしている人を見ると冷静になってしまうものだ。

 

 終盤は割とクラシックなミステリーのクライマックスっぽい仕上がりになっている。このシーンは映画上映中の劇場が舞台なので、この映画にオマージュをささげているということなのだろう。(「上海から来た女」?)

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 最後は互いに浮気を疑っていた主人公夫婦が、全然仲良しだということを再確認するというほのぼのとしたエンディング。それだけでこちらまでなんだか幸せな気分になってしまうから不思議だ。

 

 それからニューヨークという都会への愛を歌ってスタートする映画だが、毎晩、舞台鑑賞やスポーツ観戦に出かけたり、深夜に友人とレストランで語り合ったり、何でも手に入るのでプレゼントの品に困ることがなかったりと、都会の魅力も十分伝わってくる内容となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演

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出演

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アラン・アルダ/アンジェリカ・ヒューストン/ジョイ・ベハー/ロン・リフキン/ザック・ブラフ

 

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明」 1991

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

  欧米列強に侵略を許した清朝末期。海外勢力と手を組んだ地元組織の謀略により、苦境に陥る高名な武術家。実在の武術家、黄飛鴻(ウォン・フェイホン)がモデル。

拳侠 黄飛鴻 満州篇 (C・NOVELS)

拳侠 黄飛鴻 満州篇 (C・NOVELS)

  • 作者:東 城太郎
  • 発売日: 2001/02/01
  • メディア: 新書
 

 

感想

 前半はまとまりのない展開だ。敵一味の謀略、外国勢力の横暴、全然言うことを聞かない弟子たち、次第に包囲網が狭められ窮地に陥る主人公など、話があちこちに飛びながら描かれる。そこに主人公と血のつながりのない叔母とのちょっとした恋愛もどき、ユン・ピョウ演じる劇団員やのちに彼の師匠になる武術の達人のエピソード、コメディなども交えられて落ち着かない。

 

 中盤には不遇の武術の達人が、名を上げるために主人公に勝負を挑むシーンがあって、正直、話の流れを分断するような展開で、空気を読めない行動だなと思ったのだが、二人が雨の中で戦うシーンはカッコ良かった。苦労人と天才、異なる境遇の二人によるどちらが強いかを決めるためだけの純粋な戦い。痺れる。これをきっかけに男は敵の一味に加わるので物語上必要なシーンだったわけだが、それだけにその後の男のはしゃぎようは切なく悲しかった。

 

 

 物語は、各所からの圧力にひたすら耐えて我慢する主人公が延々と描かれる。それがいつか堪忍袋の緒が切れ、ついに爆発するのだろうなという展開だ。果たしてその通りになったのだが、え、そこで?みたいな意外なところで反撃が開始されたので驚いた。ただここから面白くなる。

 

 特に敵地に乗り込んで武術の達人と対決するシーンは見ごたえがある。梯子を多用したアイデア満載のアクションで、カーアクションやガンアクションみたいに、もはやひとつのジャンルにしてもいいんじゃないかというぐらいの充実した内容だ。クライマックスのジェット・リーはカッコ良すぎた。

 

 そして、それでも主人公がひとり奮闘するのではなく、各登場人物たちがそれぞれに活躍し、海外勢力を同胞たちが一致団結して倒す、という構図にしてみせたのは見事だった。前半のグダグダを帳消しにして余りある終盤の盛り上がりだった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ツイ・ハーク

 

出演 ジェット・リー/ユン・ピョウ/ロザムンド・クワン/ジャッキー・チュン/ケント・チェン/ウー・マ


音楽 ジェームズ・ウォン/ジョージ・ラム

 

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次作 シリーズ2作目

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「ブラック・ハッカー」 2014

ブラック・ハッカー (字幕版) 

★★☆☆☆

 

あらすじ

 映画イベントに招待されたある女優のファンサイトを運営する男。滞在先のホテルで何者かが彼のPCに侵入し、脅迫して次々と指示を出すようになる。スペイン映画。

 

感想

 冒頭の一時停止を繰り返す映像にイラっとさせられる。これから始まる映画に没入しようとするのを妨げられているような気になった。そして状況も良く分からず、そのまま事件に突入していく。主人公と同じ気分を味わせようという映画だ。

 

 この物語はすべてPC上の画面で進行される。犯人からPCを通して連絡が来て、彼が送るURLを開くと、女優のスマホや監視カメラからの映像が映し出され、主人公の様子は自撮り映像だ。 PC上に開いたそれらウィンドウを行ったり来たりすることで、すべてが表現される。

 

 

 このすべてがPCの画面上で進むというのが、どうも窮屈な感じがして仕方がなかった。スポーツの試合をテレビで観ているのではなくて、スポーツ中継しているテレビを撮影したものを見ているような。ただの平面の画像を見ているだけというか、結局普通の映画も平面を見ているだけなのだが、間に余計なものが挟まっているという興醒め感のようなものがずっとある。

 

 さらに細かいことを言うと、画面上にそれぞれが重なる感じで雑にウィンドウを並べているのも少しイラっとした。ちゃんと整列させろよと。PCの画面だけで進行する、というのは面白い試みだとは思うが、終盤までこの状態が続くので、何とも言えない息苦しさがあった。冒頭のイライラから、ずっともやもやしたものを抱えたままで、没入できずじまい。

 

 ストーリーも主人公がなぜ謎の男の指示にそこまで従うのか分からないし、謎の男は何をしたいのかいまいちよく分からないし、最後のどんでん返しもまあそんなところでしょうね、みたいな展開だ。あまり楽しめる部分が見つからなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演 ナチョ・ビガロンド

 

製作総指揮/出演 イライジャ・ウッド

 

出演 サーシャ・グレイ/ニール・マスケル/アダム・キンテーロ

 

ブラック・ハッカー (字幕版)

ブラック・ハッカー (字幕版)

  • イライジャ・ウッド
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「ゴンドラ」 1987

ゴンドラ

★★★☆☆

 

あらすじ

 母親と高層マンションで暮らす少女は、ある日飼っていた小鳥が怪我をして困っていたところを、たまたまマンションの外窓の清掃をしていた青年に助けられる。

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感想

  少ないセリフで展開する物語だ。そんな中で愛想も愛嬌もない可愛げのない主人公の少女がいい。子どもってそんな低い声出たっけ?と思うようなぶっきらぼうな受け答えをする。両親は離婚し、母親にはかまってもらえず、子供らしさを失ってしまっている。甘えることを知らず、早く自立しなければと自身を急き立てている。

 

 一方の青年は、田舎から出てきて都会で高層マンションの外窓の窓ふきの仕事をしている。いつも外から眺める窓の中の人々とは関わることはなく、孤独に暮らしている。そんな二人がふとしたきっかけで出会う。

 

 

 青年と少女、年齢も違えば性別も違うが、どちらも居場所がなく、ある意味では似た者同士だ。なんとなく交流が始まる。そして、二人で青年の故郷青森へと出かける。ただこの展開は、少女が親に黙って出てきたのは置いておくとして、純粋な目でみればなんともないのだが、荒んだ心で見るとどうしても犯罪の匂いを感じてしまって困った。

 

 実際にそういう事件が起きてきたからだが、世間の見る目は相当変わったのだなと実感する。当時ぐらいから変わったのか。それから、少子化で子供を見る機会がめっきり減ったことも大きいかもしれない。

 

 昔は大きい兄が小さな妹の面倒を見ていることも割と普通だったのかもしれないが、今は子供を連れた母親ぐらいしか見ることがなく、それ以外の組み合わせだと一瞬訝しく思ってしまうところはある。

 

 青年の両親に可愛がられ、少女に子供らしさが見られるようになっていく。そして青年も、一度距離を取ったことで反発を覚えていた父親に対する気持ちが変化していく。

 

 そんな二人の再生、というか成長を、エンディングの一つのシーンで表現してしまうのは見事だった。言葉少なながらも少女と青年の心の動きがしっかりと読み取れる映像が積み重ねられて、しみじみとした気持ちになる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 伊藤智生


出演 上村佳子/界健太/木内みどり/出門英/佐々木すみ江/佐藤英夫/鈴木正幸/長谷川初範/奥西純子/木村吉邦

 

ゴンドラ

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「セブン・シスターズ」 2017

セブン・シスターズ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 人口爆発により一人っ子政策が行われる世界。祖父に匿われていた7つ子の姉妹は、交代で外出することで、ひとりの人格として生活を送っていた。原題は「What Happened to Monday」。

 

感想

 人口爆発により一人っ子政策が取られ、過剰な子供たちは問題が解消するまで冷凍保存される社会。 そんな中、祖父に匿われて冷凍保存されることなく育った7つ子の姉妹。7人で一人の人格を演じて外の世界を生きていて、それぞれが各曜日を担当して外出し、その曜日名で呼び合っている。この設定は面白い。

 

 ある日、月曜日を担当する「月曜」が帰ってこなかったことから物語は動き出す。翌日、今度は「火曜」が外出して「月曜」に何が起きたのか探ろうとするが、次々と問題が発生して…というストーリー。

 

 

 面白くないことはないのだが、やはりこの設定には無理がある。それが気になって、いまいち物語に入り込めない自分がいた。人口が多いのは問題だが、過剰な子供を冷凍保存しても、その維持管理は同じくらい大変で問題なのでは?とか、7つ子たちは、外出した人物がその日起きた事を皆に説明することで整合性を取っているのだが、全部を説明するのは無理だから結局、齟齬をきたすのでは?とか、明確な答えは得られないまま物語は進む。

 

 さらに、その後の展開にも不可思議な点が出てくる。結局、「月曜」は7つ子ということが何者かに密告されて当局に追われている事が分かるのだが、なぜかこの7人姉妹が強い。屈強な男たち相手に対等に戦ってしまうし、当局も警戒している。この辺りの説明もない。

 

 そして、途中から突然存在感を増し、中心的な存在になる当局の男。姉妹の一人と付き合っていた事から、彼女たちに協力することを決意するのだが、結構な決断をあっさりするなと呆れてしまった。そんな簡単に体制に背いて、その後はどうやって生きるつもりだったのか。愛の力、では簡単に片づけられない重い判断のはずなのに。

 

 最終的には意外な結末で、それなりに楽しめたのだが、冷凍保存の件は案の定で、最後までもやもやした気持ちは残ったまま。スッキリはしなかった。ただ、一人七役を演じるノオミ・ラパスは見事だったし、同じ顔の主人公が何人もいるのだから別にいいだろうということで、途中で主人公を簡単に殺してしまうのも斬新で面白かった。単純に駄目だった、とも言いたくないような、意欲作ではあった。

 

スタッフ/キャスト

監督 トミー・ウィルコラ


出演 ノオミ・ラパス/グレン・クローズ/ウィレム・デフォー/マーワン・ケンザリ/サンティアゴ・カブレラ/ロバート・ワグナー

 

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「童貞放浪記」 2009

童貞放浪記 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 30歳で女性経験のない大学講師の男は、大学院時代の後輩女性に好意を持つ。

 

感想

 タイトルから、女性と関係を持ちたいと願いながらもその機会がなく悶々とする男、みたいなのを想像していたが、そんな感じではなかった。たまたま恋愛に縁遠く、その歳になってしまったという男の物語。なので、年齢を抜きにしたら普通に青少年の恋愛とそんなに変わらない。

 

 主人公は悶々としているにもかかわらず行動しないでじっと待つ男ではなく、意中の女性が出来たら、積極的に電話したり、会おうとしたり、告白したりする。至って普通の男の行動だ。

 

 ただ下手に社会経験があるものだから、それがかえって仇になっている部分はある。若者なら初々しさが出てしまうところを、世慣れた態度でカバーしてしまい、それがこじれた感になり、逆に気持ち悪さになってしまう。そんな感じを主演の山本浩司がリアルに演じている。

 

 

 それから、主人公が想いを寄せる女性が、掴みどころがない感じなのが、ちょっとイラっとする。思わせぶりな態度があったり、冷たい態度を取ったりと、本心が見えづらい。なかなか初心者には難しそうな相手だ。ただ、彼女は彼女で心が揺れていたということだろう。結局、いくつにもなっても恋愛事になると心は落ち着かない。

 

 なんだかんだで順調に距離を詰めていく主人公。なのに間の悪さで二人のタイミングがかみ合わず、うまく事が進まないのは気の毒としかいいようがない。何度かそれが続くことで気まずい空気にもなるし、勢いもなくなる。やがてはそれだけが目的のようになってしまうという悪循環。もうそういう運命じゃないのだなと思ってしまいそうなところを、まだ頑張ろうとするからさらにまた一つ悪循環が重なる。

 

 ほろ苦い展開にこちらまで悶々としてしまうが、でもそんなには暗い気持ちにはならない。これは彼にとって千載一遇のチャンスだったわけではなく、自ら生み出したチャンスだった。なので今後も機会があれば自らチャンスを生み出すことができるだろうし、チャンスが多ければ成功する可能性も高まる。だから何も心配することはない。

 

 童貞”引きこもり”記なら不安だが、放浪してるなら大丈夫。いつかその日が訪れる。

 

スタッフ/キャスト

監督 小沼雄一

 

原作 童貞放浪記 (幻冬舎文庫)

 

出演 山本浩司/神楽坂恵/ 堀部圭亮/古舘寛治/内田慈/志賀廣太郎/セイン・カミュ/木野花

 

童貞放浪記 [DVD]

童貞放浪記 [DVD]

  • 発売日: 2010/03/04
  • メディア: DVD
 

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「ザ・スカルズ/髑髏(ドクロ)の誓い」 2000

ザ・スカルズ/髑髏(ドクロ)の誓い (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

  エリートが結集し、アメリカ社会を裏で牛耳る秘密結社「スカル」に加入することを夢見る大学生。

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感想

  秘密結社と言いながら、ただの大学生にまでその存在が知られ、噂ながらもそれなりの情報が行き渡っているのはどうなんだ?という気がする。プロが本気で調べたら簡単に全容を知られてしまいそうな緩さ加減だ。こんなの全然秘密結社じゃない。勧誘されて初めてその存在を知って驚愕する、ぐらいじゃないと駄目だろう。

 

 恵まれない環境で育った主人公は、閉鎖的で特権的なその団体を仲間と馬鹿にしながらも、金銭的なサポートやコネクションに羨望を感じている。実際に勧誘が来たことで飛びつき勇んで加入するのだが、それが仲間に知られてその友情に亀裂が入ってしまう。この辺りも勧誘は秘密裏に行えよ、と思ってしまった。翌日には知られてしまっているなんて全然、秘密結社じゃない。そこらの趣味のサークルよりもガバガバだ。秘密結社らしくもっとコソコソしてほしかった。

 

 

 秘密結社での活動を謳歌していた主人公だが、新聞部でその全容を探っていた親友が謎の死を遂げたことから組織に疑念を持つようになる。しかし、強盗まがいのことをするその親友もたいがいだったが、簡単に秘密を持ち出されてしまう秘密結社のメンバーの管理体制もどうかしている。そして、主人公と昔の悪友の一味に翻弄されてしまう組織というのもなんだかな、と。町の不良程度に好き放題されるなんて組織力が低すぎる。そんなのでよくアメリカ社会を牛耳れるなと思ってしまった。

 

 色々とガバガバで突っ込みどころ満載なのだが、テンポは良くてティーン映画として、深く考えずに観るにはまずまずの映画だ。と思っていたのだが、終盤の他のメンバーと親との確執がクローズアップされるあたりは展開が謎過ぎて、深く考えずにはいられなかった。敢えてそんな方向に踏み込む必要なんてなかったのに。

 

スタッフ/キャスト

監督 ロブ・コーエン

出演 ジョシュア・ジャクソン/ポール・ウォーカー/ヒル・ハーパー/レスリー・ビブ/クリストファー・マクドナルド/スティーヴ・ハリス/ウィリアム・ピーターセン /クレイグ・T・ネルソン/マリン・アッカーマン

 

ザ・スカルズ/髑髏の誓い - Wikipedia

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関連する作品

続編 テレビ映画

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「地獄」 1999

地獄

★★★☆☆

 

あらすじ

  世の乱れを憂えた閻魔大王に、地獄の恐ろしさを知らしめるために招かれた女性。

 

感想

 幼女連続誘拐殺人事件など、実際にあった事件をモチーフに、犯人たちが地獄にやってきたらどんな目に遭うのかを描いた作品。ある意味では、 法では裁ききれない悪者たちを成敗する必殺仕事人的な物語と言えるかもしれない。死後ではあるが、被害者や庶民の果たせなかった恨みを果たす、という溜飲が下がる物語。このパターンであれば、どれだけでも作れそうな気がする。

 

 まずは宮崎勤らしき人物が地獄で責め苦を受け、続いてオウム真理教らしき団体が登場する。こんな感じでテンポよく実際にあった事件の犯人たちが次から次と罰せられていくのかと思ったがそうではなく、ここからはオウム真理教事件がじっくりと描かれていく。 

 

 その取り上げ方が、一般的で一通りな内容を網羅するといった感じではなくて、作者の関心が特に高いものを優先的に描いているように見え、映画に作家性のようなものが感じられる。それなら地獄とか出さないで、普通に事件を真正面から描けばいいのにと思わないでもないが、それもまた作家性という事だろう。

 

 どことなく荒いエログロナンセンス加減の映像が、昭和のテレビっぽさがある。最初はそのチープさが気になるのだが、いつの間にかそれが味のように感じられてきた。最後なぜか丹波哲郎が出てきて暴れるのが、意味がわからなさ過ぎて笑えてくる。ちょっと地獄を秩序的に描き過ぎた事が気になったのか。

 

 

 しかし、閻魔大王が世の乱れを気にしているなんて、善い人だ。酷い世の中を何とかしようと彼女?なりに考えた結果が「地獄」というシステム、というのは、理想を掲げて推し進めた結果生まれた、独裁国家やブラック企業みたいで地獄味がある。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 石井輝男

 

製作総指揮 小林悟

 

出演 佐藤美樹/前田通子/薩摩剣八郎/北村有起哉 

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音楽 竹村次郎 

 

地獄

地獄

  • メディア: Prime Video
 

地獄 (1999年の映画) - Wikipedia

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「彼女が目覚めるその日まで」 2016

彼女が目覚めるその日まで(字幕版) 

★★★★☆

 

あらすじ

 公私ともに順調な日々を送っていたニューヨークポストの若い女性記者は、身体の不調に襲われるようになる。抗NMDA受容体抗体脳炎を患った記者の実話を基にした物語。

 

感想

 病気ものということで、闘病生活が描かれるのかと思ったら、どんな病気なのかを探り当てることに焦点を当てた映画だった。ある意味では斬新かもしれない。ただ、病名が分かっていればどんな治療を受ける必要があるのかが分かるので闘病が出来るが、何の病気かさえ分からない状態では闘病すらも出来ないわけで、もっと辛い。

 

 どんな検査をしても異常はなく、だけど明らかに異常な主人公の様子は、早く病気を確定して治療してやれよと、観ているこちらも段々とイライラしてくる。確かにこの状態が続いたら本人も周囲も大変だ。このなんとも言えない状態の時間帯を、主演のクロエ・グレース・モレッツが、あの放っておけない感じの表情と演技で魅せてくれる。これは、彼女じゃなかったら場が持たなかったんじゃないかという気がする。

 

 

 この映画で一番すごいのは主人公の両親だろう。原因不明の主人公に匙を投げ、精神病院に送り込もうとする医者たちに必死に食い下がる。この両親でなかったら、主人公はそのまま精神病院で一生を送ることになっていただろうことを思うと、交渉というのは大事だなと痛感する。しかし「医者にプレッシャーを与える」とか、対等にやり合うとか、なかなか出来る事ではない。それだけ必死だったということだろう。

 

 そしてこの映画は善人ばかりが登場する。両親も恋人も、上司も同僚も皆いい人で、環境に恵まれすぎ、という気がしないでもない。特に上司や同僚の優しさが羨ましいほどだった。実話なので悪く描けないというのがあるのかもしれないが。

 

 どう話が展開するのかという興味でダレることなく見ることが出来たが、振り返ってみるとすべてが中途半端な描かれ方だったような気がしないでもない。主人公と恋人との関係や両親の思い、原因を突き止めるまでの医者の熱意、病気からの回復など、どれも一通り描いてみました、というだけで、一番何を描きたかったのだろうという疑問が湧いてきた。でも、クロエ・グレース・モレッツが可愛かったからまあいいか、と思っている自分がいる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジェラルド・バレット

 

原作 脳に棲む魔物

 

製作 ベス・コノ/リンジー・マカダム/ロブ・メリリース/シャーリーズ・セロン/A・J・ディックス

 

出演 クロエ・グレース・モレッツ/ジェニー・スレイト/トーマス・マン/タイラー・ペリー/キャリー=アン・モス/リチャード・アーミティッジ/ナヴィド・ネガーバン

 

彼女が目覚めるその日まで(字幕版)

彼女が目覚めるその日まで(字幕版)

  • クロエ・グレース・モレッツ
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