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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「スーパーマン リターンズ」 2006

スーパーマン リターンズ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンは、かつての恋人に婚約者と恋人がいる事を知る。

 

感想

 スーパーマンを演じる主役のブランドン・ラウスが、いかにも正統派の男前といった雰囲気でぴったりとハマっている。冷静に考えるとかなりカッコ悪いはずのスーパーマンの衣装もカッコよく着こなしている。クラーク・ケント時の眼鏡姿も似合っていて、仮の姿の時の頼りなさもちゃんと出ていた。 

 

 対するスーパーヴィラン(悪役)を演じるケヴィン・スペイシーも、コミカルさを醸し出しつつも、決めるところは決めるという見事なヒールぶり。ただし、二人が顔を合わせるのはわずか一回だけ。この映画だけでは因縁の相手という感じはないのだが、そのあたりはシリーズ前作までで描いているということなのだろうか。まともにシリーズを見たことがないので、そのあたりは不明だ。

 

 主人公がヒーロー的活躍をしている裏でヴィランが悪事を働き、やがてその目論見が明るみとなってヒーローと対決するという典型的なストーリー。ただし、そんなに派手なアクションはなく、ヴィランとの対決もガチガチの一騎打ちというわけでもないので、痛快なアクションを期待していると拍子抜けしてしまうかもしれない。

 

 それよりも、婚約者も子供もいるかつての恋人への想いに心を悩ませるヒーロー、という側面の方が強いかもしれない。ヒロインを助けるために必死になりながらも、それでも彼女は自分のものにはならないという寂しさ。だからといってスーパーマンとしての責務を投げ出すわけにもいかない。ヒーローの悲哀が伝わってくる。

 

 

 全体的に少し地味で暗いイメージの映画だが、そのダークな雰囲気も悪くない。ただこの内容で2時間半は長すぎる。せめて2時間以内に収めてくれていたら、きっともっと満足できていたはずだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/原案/製作 ブライアン・シンガー

 

脚本/原案 マイケル・ドハティ/ダン・ハリス

 

出演 ブランドン・ラウス/ケイト・ボスワース/ケヴィン・スペイシー/ジェームズ・マースデン/トリスタン・レイク・リーブ/フランク・ランジェラ/エヴァ・マリー・セイント/パーカー・ポージー/サム・ハンティントン/カル・ペン/マーロン・ブランド

 

音楽 ジョン・オットマン/ジョン・ウィリアムズ

 

スーパーマン リターンズ(字幕版)

スーパーマン リターンズ(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

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「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」 2011

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 60年ぶりの大砂嵐が迫る砂漠の宿では、様々な理由で続々と人が集まっていた。前作「 ドラゴン・イン/新龍門客棧」の後日譚。

 

感想

 冒頭からどうもうまく話に入っていけない気がしていたのだが、続編だったからのようだ。それを知らずに観ていたので、もっとその部分はちゃんと説明してくれよと思う場面が多かったのだが、前作を観ていればすんなりと腑に落ちていたのかもしれない。

 

 それから、これもそのせいなのかもしれないが、最初はジェット・リー演じる反乱分子と宮廷役人たちの戦いだったはずなのに、中盤に唐突に砂漠の秘宝の話になる。これもまた話を分かりにくくさせている。整理すると、様々な思惑を持った人間たちが偶然に一つの宿に集まったということか。

 

 

 というよりも皆で協力して財宝を手に入れようとしていた所に、喧嘩している奴らがやって来てしまったという方が正確か。彼らにしてみれば想定外の災難だったということになる。色々言われていたが、主人公たちの事は放っておいて粛々と財宝探しをすれば良かったのに。主人公と敵を勝手に戦わせておいて、もし敵が勝ったらその時初めて対策を考えれば良かったような気がする。

 

 ジェット・リーというアクションスターが出ているので、激しいアクションシーンはあるのだが、そのほとんどがCGを多用していて、いまいち盛り上がれない。CGを使うのなら、ジェット・リーじゃなくても誰でもいいしなと気持ちが萎えてしまう。

 

 それから、CGを使いたいからなのか、やたら話のスケールがでかくなるのもめんどくさい。前作とのつながりのためなのかもしれないが、壮大で華やかな宮廷の様子なんてわざわざ描かなくても、明の時代の砂漠の中のとある小さな宿で…と言うだけでいいのにと思ってしまった。中国映画によくありがちで、「スケールでかくしないと病」に罹っているとしか思えない。音楽が一本調子なのも気になる。

 

 一方で、他の映画で見た時は全然良いと思えなかった女優のジョウ・シュンは、かなり良かった。あまり可愛らしさを感じないキリッとした顔と低い声が、孤独な女剣客役にピッタリとはまっていた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ツイ・ハーク

 

出演 ジェット・リー/ジョウ・シュン/チェン・クン/リー・ユーチュン/グイ・ルンメイ/メイヴィス・ファン

 

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(字幕版)

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
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関連する作品

前作

「ドラゴン・イン/新龍門客棧 」

 

 

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「ナイスガイズ!」 2016

ナイスガイズ!(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 なぜか手を組んで一人の女性を探すことになった私立探偵と示談屋。 

 

感想

 久しぶりにラッセル・クロウを見たが、いつの間にか中年太りのおじさんになっていて、ジョン・グッドマンかと思った。でも相変わらず演技は上手い。彼が演じる男は、好戦的な性格なのだが、これは彼の喧嘩っ早いと言われる私生活をネタにしているのだろうか。 

 

 彼とコンビを組む男は、半分呆けている老人を相手に仕事をこなす私立探偵。死んでるはずの夫の浮気調査をしたりして日銭を稼いでいる。そんな男を演じるライアン・ゴズリングも良い演技。特に変な声が絶妙の間で出てしまう、痛めつけられる時の情けない演技には、思わず笑ってしまう。

 

 そんな二人の行動に何かと付きまとうアンガーリー・ライス演じる探偵の娘も可愛らしかった。ポルノ業界が舞台の一つとなっているので色気はあるのだが、意外と女っ気はなく、常時登場する女性は彼女だけ。この少女にその役を一身に背負わすのはどうなのと思わなくもないが、際どさも含めてそれで楽しませようという意図なのだろう。

 

 

 舞台は70年代のハリウッド。音楽や車などがカッコよく、クールな雰囲気の中で、行方不明の女を探す凸凹コンビの面白おかしい活躍が描かれる。コミカルシーンは二人の演技のおかげもあってちゃんと笑える。テンポも悪くない。

 

 ただどこかで物足りなさを感じるのは、クライマックスと呼べるような大きな盛り上がりがなかったからか。一応はモーターショーのシーンがそれに当たるのだろうが、そこまで気分は盛り上がらなかった。続編が容易に作れそうな設定ではあるのだが、是非作って欲しいとまでは思わない程度の、それなりに楽しめる映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 シェーン・ブラック

 

出演 ラッセル・クロウ/ライアン・ゴズリング/アンガーリー・ライス/マット・ボマー/マーガレット・クアリー/ ヤヤ・ダコスタ/キース・デイヴィッド/ロイス・スミス/ギル・ジェラード/キム・ベイシンガー/ジャック・キルマー/タイ・シンプキンス

 

音楽 ジョン・オットマン/デヴィッド・バックリー
 

ナイスガイズ!(字幕版)

ナイスガイズ!(字幕版)

  • 発売日: 2017/05/15
  • メディア: Prime Video
 

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「夜汽車」 1987

夜汽車 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 里子に出された年の離れた妹を気にかけながら芸者として働いてきた女は、夜汽車で出会った一人の男と恋仲となる。

 

感想

  天涯孤独の姉妹の話ではあるのだが、その二人の前に登場した萩原健一演じる男の駄目さ加減が際立っている。自分の力で成功すると言いながら結局親に頼ろうとするし、親のヤクザ稼業なんか継がないと言いながら結局継ぐし、親の仇は討たないし、仕事は出来ないし、恋人の妹には気分で手を出すし。

 

 正直、この男に関わらなければ、姉妹は幸せに暮らせていただろうにと思ってしまった。でも、好きになった男がまともだと、女はすぐに幸せになってしまって物語にならないから仕方がない。男が面倒事を起こすからこそ、女の見せ場がやってくる。

 

 

 なんだかそう考えると、愛情表現を目一杯したい人にとっては、平凡で堅実な相手だとその機会があまりないので物足りないのかもしれない。いわゆる駄目男に惹かれる女性が世の中に一定数いるというのは、そういうことなのか。お金を渡したり身を削ったりすることで、相手への愛情表現がたくさんできる。こんな事までするなんて、自分はとても相手を愛しているのだな、と実感できる。そういう人にとっては、男が問題を起こせば起こすほど、気持ちよくなれるのかもしれない。

 

 ただこれは恋愛事なので、望んでいなくてもそうなってしまう事はある。主人公はそちらのタイプ。好きになってしまった以上は、男のために出来る事は何でもやる。

 

 終盤に主人公が、妹のために指を詰めるシーンがある。ヤクザの親分に「男の世界はこんなもので済んじゃうんですね」というセリフは凄みがあった。確かに女性の方がもっと過酷な事が起き得るよなと思ってしまった。そんな世界を生きてきた彼女が言うからこそ響く言葉だ。

 

 だからなのか、やくざや権力者たちといった男たちの世界はあまり丁寧に描かれていない。男の世界なんて単なる子供の喧嘩の延長線上でしかないと、敢えてそうしているようにも見えた。そして、実際それでなんとなく起きている事が分かってしまっている自分がいる。どことなく間の抜けた男たちの中で、唯一、小林稔侍演じる男が的確に仕事をこなしていて、その仕事人ぶりがなぜか笑えてくる。

 

 女たちの情念は伝わってきて、それぞれのシーンも悪くないのだが、いかんせん長すぎた。あまり映画を短くしようという努力も感じられず、女優の裸が見られるからいいだろうというような甘えが感じられる。間延びして、終盤の大事なシーン辺りではだいぶダラけてしまい、あまり集中できなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 山下耕作

 

脚本 松田寛夫/長田紀生

 

原作 「夜汽車・岩伍覚え書 (ちくま文庫)」所収「夜汽車」

 

出演 十朱幸代/秋吉久美子/萬田久子/白都真理/萩原健一/荒勢/丹波義隆/片桐竜次/浜田晃/小林稔侍/阿藤海

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撮影 木村大作
 

夜汽車 [DVD]

夜汽車 [DVD]

  • 発売日: 2014/07/11
  • メディア: DVD
 

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「ラストミッション」 2014

ラストミッション

★★★★☆

 

あらすじ

  病気により余命わずかと知ったCIAのエージェントは、残りの時間を疎遠となっていた元妻と娘と共に過ごそうとするが、無理やり任務を与えられてしまう。原題は「3 Days to Kill」。

 

感想

 自身の仕事は完ぺきにこなすも作戦は失敗し、猛烈な反撃を喰らいながらも何とか切り抜ける冒頭の激しいシーンは、いきなり見応えがある。そして、病院で自身の運命を知り、沈んだ気分で自宅に戻るオープニングタイトルまでの流れはいい感じだ。背後で流れるAnn Peeblesの「Trouble, Heartaches & Sadness」も良い。

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 そして、疎遠になっていた娘と元妻に再会し、残りの時間を共に過ごそうとする。しかしそんな主人公を半ば強引に仕事に引き戻すアンバー・ハード演じるCIAの女。彼女がなぜか妙に尖ったファッションと態度だったのが謎だが、身元を隠すためのカモフラージュという事なのかもしれない。派手な服装や化粧に注意を向けさせて、本当の素顔が記憶に残らないようにしているということだろうか。しかし、この映画での彼女は、扱いが中途半端で少し可哀そうだ。

 

 仕事をこなしつつ、娘との関係を深めていく主人公の様子がコミカルに描かれる。仕事は完ぺきだが、娘とはどう接していいか分からず、戸惑う主人公。同年代の娘を持つ敵の一人に相談したり、パスタを作りたいという娘のために組織のイタリア人会計士の男を締め上げて、無理やりレシピを聞き出すといったシーンは面白かった。

 

 

 それから、パリが舞台、アメリカ人が主役という事で、お前はカウボーイじゃないのか?みたいなアメリカ人ネタも多い。このパターンはよく見るような気がするが、ヨーロッパにおいては、アメリカ人はネタにされやすいのだろうか。それとも、脚本のリュック・ベッソンがそういうネタが好きなのか。

 

 徐々に距離を縮めていく主人公と娘の関係にはほっこりさせられるが、全体としてはどこか物足りないものを感じる。主人公のCIAとしての能力が高過ぎて、まるで片手間に仕事をやっているように見えてしまい、緊張感がないからか。こちらももっと手に汗握る展開であれば、ハートウォーミングとアクションの2本立てでより良くなっていたかもしれない。

 

 それから、しばらく部屋を空けていただけで移民に不法に家を占拠されてしまうなんてフランスはすごい。しかも、もし強引に追い出したら、家主が逮捕される可能性もあるなんて。これは「居住権」とかで日本でも同じなのかもしれないが。フィクションとはいえ、フランスではよくありそう、と勝手に思ってしまった。

 

 この移民の家族たちと主人公は奇妙な同居生活をし、ここでもハートウォーミングな良い話があるのだが、全体としてみるとちょっとこのパートは余計かな、という気がした。悪くはないのだが。これをごっそりカットして、その分、その他の話にもっと厚みを出した方が良かったのでは、という気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督 マックG

 

脚本/原案/製作 リュック・ベッソン


出演

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ヘイリー・スタインフェルド/アンバー・ハード/ コニー・ニールセン/リチャード・サメル/エリック・エブアニー/トーマス・レマルキス/レイモンド・J・バリー

 

音楽 ギヨーム・ルーセル

 

ラストミッション

ラストミッション

  • ケヴィン・コスナー
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「パンとバスと2度目のハツコイ」 2018

パンとバスと2度目のハツコイ

★★★☆☆

 

あらすじ

 パン屋で働く女性の前に、かつての初恋の男性が現れる。 

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感想

 なんとなくのんびりとした、ゆるい空気の中で進行する物語だ。悪く言えば、はっきりとしない、煮え切らないぬるい映画で、見る時の気分によって印象が変わりそうだ。心がささくれ立っているときに見るとイライラするかもしれない。

 

 主人公は、数年付き合った恋人のプロポーズを断り、別れてしまう。今は相手の事が嫌いではないが、将来は分からないから、という理由だけで。恋人もちょっと反論するのだが、すぐに納得してそれを受け入れる。

 

 

 この映画の登場人物たちは万事がそんな調子だ。感情に任せてやりすぎたり、何もできずに落ち込んだりということがない。ただただ現状を受け入れ、それに身を任せている。映画の冒頭に少し感情をむき出しにするシーンがあったくらいか。

 

 でもだからといって、彼らはただ状況に流されているわけではなく、ちゃんと自分の意志ははっきりと示す。あまり自分の感情は表に出さずに衝突を避け、スマートな関係を築こうとしているという事か。最近の若者はこんな感じなのだろうか。

 

 とはいえ、主人公はその気もないのに深夜に自分の部屋に初恋の相手を誘ったり、初恋の相手は既婚の異性と二人きりで会っているようだし、あまりに男女の関係を中性的に描いている印象で、何となくファンタジー感がある。これも一つの世界観かもしれないが、どうにもぬるく感じてしまって、ついていけない。

 

 登場人物たちの強い意志が感じられず、感情の起伏もほとんどない展開だ。内容は理解できたつもりだが、鑑賞中の自身の心の置き所が良く分からず、どうにも落ち着かない。映画がとても長く感じた。自分の心がささくれ立っているのかもしれない。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 今泉力哉

 

出演 深川麻衣/山下健二郎/伊藤沙莉/志田彩良/安倍萌生/勇翔

 

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登場する作品

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「さよなら、僕のマンハッタン」 2017

さよなら、僕のマンハッタン

★★★☆☆

 

あらすじ

 恋に悩み、人生に虚無感を感じる青年は、隣の部屋に引っ越してきた中年の男と親しくなる。

 

感想

 序盤は若き青年の恋の物語。彼女との関係が思うようにならず、もどかしさを感じている主人公に、隣の部屋に引っ越してきた飲んだくれのおじさんがアドバイスをする。主演のカラム・ターナーが、いかにも繊細でナイーヴな若者といった感じで良い。

 

 しかし中盤以降、父親の不倫、その不倫相手との関係、母親に対する想いなど、話は複雑になっていく。まさに「人生は複雑だ」という事なのだが、映画的にはどこに向かうのか良く分からない展開になってしまい、徐々に停滞感が漂い始める。

 

 

 そして終盤になると、主人公に気の利いたアドバイスをするという第三者的存在だったおじさんも突然、話の中心に加わる。いつからそんな話になっていたのだ、と呆気にとられる展開。急に変な方向に話が行ってしまった。

 

 ラストは一応うまく話がまとまっているが、ちょっと都合が良すぎる気もする。音楽や雰囲気は悪くなかったのだが。

 

スタッフ/キャスト

監督 マーク・ウェブ

 

製作総指揮/出演 ジェフ・ブリッジス

 

出演 カラム・ターナー/ケイト・ベッキンセイル/ピアース・ブロスナン/シンシア・ニクソン/キアシー・クレモンズ/デビ・メイザー /ビル・キャンプ/テイト・ドノヴァン 

 

音楽 ロブ・シモンセン

 

さよなら、僕のマンハッタン

さよなら、僕のマンハッタン

  • 発売日: 2017/08/11
  • メディア: Prime Video
 

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「グッドモーニングショー」 2016

グッドモーニングショー

★★★★☆

 

あらすじ

 朝のワイドショーの生放送中に立てこもり事件が発生し、犯人に呼び出されたニュースキャスター。 

 

感想

 ほぼ2時間の朝のワイドショー中に起きた出来事を描く映画。刻々と放送内容が変更され、出演者やスタッフが慌ただしく動き回る様子は、テレビの裏側を知ることができ、臨場感もあっていい。 

 

 そして生放送開始直前に立てこもり事件が起きる。しかし7時スタートの番組なので6時頃に事件が起きたことになるが、いくらなんでも早朝過ぎなのでは?と思ってしまった。しかも、人質になった人たちは、老人や妊婦、子どもや若者といった老若男女を取り揃えたメンバーで、犯人含めてどんな早起きの町なんだと思ってしまった。しかも、一番居そうなサラリーマンはいない。

 

 

 立て籠もり犯に呼び出されるメインキャスターの主人公。誰かに恨みを持たれるようなことをしたかと不安になっているが、テレビの人間なら普通はテレビで訴えたいことがあるのか?と思いそうなものだ。ただ誰しも胸に手を当てて考えてみれば、思い当たる節はでてくるのだろうが。

 

 主人公は現場に向かい、犯人と相対することになる。ここがクライマックスなのは当然なのだが、ここからが長かった。一時間くらいある。それまでは軽い笑いを交えながら良いテンポで展開していたのに、ここからは犯人と主人公の熱いぶつかり合い。ちょっとしんどかった。

 

 しかも犯人の主張が要領を得ないというか、え、それだけ?というような中身の薄いもの。劇中の人物すらそう言及しているので、浅はかな考えで馬鹿な行動をする人たちへの批判を含んでいるのかもしれないが、かなりの停滞感を感じてしまった。

 

 だがそれでも主人公を演じる中井貴一が、良いリアクションの演技を見せていて見ごたえがある。それに呼応するように濱田岳も良かったし、警察役の松重豊も良かった。停滞感を役者陣の熱演が救っている感じだった。

 

 マスコミに対する賛否両論が展開されるような映画だが、どっちもどっちで中途半端になってしまっている印象は否めない。どうせならテレビなんて下らなくて、浮かんでは消えていく諸行無常を映し出すもの、それが面白いんだよ、と極端な感じにした方が気持ちよさを感じられたかもしれない。個人的にはリモコンのボタンを押す視聴者投票なんて下らないと思っているので、不正をしたことに対して反省をして欲しくなかったな、というのはある。

 

 笑いの散りばめられたコミカルな映画という最初の印象からは違ったものに変わっていったが、全体としてはしっかりと伏線も効いていて良くできた物語になっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 君塚良一

 

出演

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長澤まさみ/志田未来/池内博之/林遣都/梶原善/木南晴夏/大東駿介/濱田岳/吉田羊/松重豊/時任三郎/北山雅康/渡辺真理/東口宜隆/森田哲矢

 

音楽 村松崇継

 

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「プライド 栄光への絆」 2004

プライド 栄光への絆 (字幕版)

 

★★★☆☆

 

あらすじ

 アメフトの州大会で優勝することを目指す田舎の高校チームとコーチ。事実を基にした物語。原題は「Friday Night Lights」。

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感想

 高校アメフトの強豪校がある田舎町が舞台だ。選手やコーチは町の人から声をかけられ、チームは皆に応援され愛されている。町のアイデンティティにもなっていて、一見すばらしいのだがよく見るとそこには歪な姿が垣間見える。優勝を期待する町の人々がまだ17歳の選手に無意識に与えるプレッシャー。高給取りのコーチには、町の人々の善意による無責任で余計なアドバイスが寄せられ、試合に負ければ出て行けと罵られる。

 

 地元の人々が高校のアメフトチームに示す異常な期待は、逆に言えば、それ以外には何も希望がない寂れた町だという証でもある。かつての選手たちは大人になっても優勝リングだけを心の支えに生き、選手たちは今が人生のピークなのだろうと薄々気づいている。町の人にはちやほやされ、女子にはモテるがそれも今だけだ。それを過ぎれば何人かの選手はスカウトされて大学に進学し、町を出ることができるが、その他のほとんどの選手は町に残る。

 

 

 そんなアメフトチームのあるシーズンが、光と影を交えながらテンポよく描かれていく。主力選手のケガやチームの不調、新戦力の活躍など、スポーツものらしい起伏に富んだ展開で物語が進む。そして、その合間に選手やコーチの人間模様もしっかりと描かれている。

 

 チームは何とかリーグ戦を勝ち抜き、プレーオフに進出する。順調に勝ち進み、強豪校との決勝戦がハイライトだ。有力選手を揃え、体格差も大きい相手チームに苦戦するも立て直し、必死の追い上げを見せる。手に汗握る展開で気持ちも盛り上がるのだが、思い通りの結末は待ち受けていなかった。

 

 別にその結末はありといえばありなのだが、これは事実を基にした物語だ。なぜこれを題材にして映画化しようとしたのかが不可解で、キツネにつままれたような気分になってしまった。主力選手のケガやコイントスによるプレーオフ進出決定など、ドラマチックではあるが、そこまで珍しい話ではないような気がする。これだと強豪校が例年通りの強さを見せただけ、という印象だ。取り立てて面白みはない。

 

 これなら無名の弱小校が破竹の勢いで勝ち進んだ方が断然ドラマチックだ。それならあの結末でも満足できた。ただこれは自分がアメリカの高校アメフトの世界を理解していないからそう思うだけなのかもしれない。誰かが日本の高校野球で説明してくれたら納得するのかも。

 

 冒頭から助走もなく一気に本題に入って、そのまま最後まで突き進む映画だ。それぞれをじっくり描くわけではないのだが、ダイジェスト的にはならず、短い時間でちゃんと登場人物たちのキャラクターを浮き彫りにしていくのは見事だ。言葉少なながらも人格者であることを体現しているコーチ役のビリー・ボブ・ソーントンの演技が良かった。

 

 ただ、テンポが良すぎるのが仇になってしまっているような気もする。これでもペースが早すぎると試写で言われて、スローダウンさせるためのシーンを追加したらしいのだが。それでも最後まで選手の顔とキャラクターが完全には把握できなかったくらいテンポが早かった。どんな選手がいて、どんなキャラクターがいて、というのは分かったので、別に置いてきぼりにされた気にさせないのはすごいのだが、もうちょっと要所要所ではじっくりと描くシーンがあっても良かったのでは、と思う。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ピーター・バーグ

 

原作 Friday Night Lights: A Town, a Team, and a Dream

 

出演 ビリー・ボブ・ソーントン/ルーカス・ブラック/ギャレット・ヘドランド/デレク・ルーク/ジェイ・ヘルナンデス/リー・トンプソン・ヤング/ティム・マグロウ/コニー・ブリットン/アンバー・ハード/クリスチャン・ケイン

 

音楽 デヴィッド・トーン/エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ

 

プライド 栄光への絆 (字幕版)

プライド 栄光への絆 (字幕版)

  • ビリー・ボブ・ソーントン
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「霧の旗」 1965

霧の旗

★★★☆☆

 

あらすじ

 殺人犯として逮捕された無実の兄の弁護を依頼するために、熊本から東京の高名な弁護士の元を訪れた妹。

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感想

 高名な弁護士に依頼をするために東京に向かう倍賞千恵子演じる主人公。しかし、そんな弁護士を雇うにはお金がかかることぐらい分かりそうなものなのに、金もなくただ善意にすがろうとするのは、いくら何でも身勝手すぎないかと思ってしまった。

 

 彼女の押しつけがましい言い草には辟易したが、もしかしたら貧しき者にも主張する権利はあるという考え方なのかもしれないなと思い直した。お金がないからと何もかもあきらめるのではなく、自らの権利や世の中の欺瞞を訴えていくことは大事な事なのかもしれない。

 

 

 ただ主人公はもっと他にやりようはあったはずだ。著名な弁護士ひとりだけではなく何人かをリストアップしておくとか、弁護士のアドバイスに従って地元の有能な弁護士を探すとか、出来る事は他にもまだいっぱいあった。きっと一人くらいは善意で引き受けてくれる奇特な人が見つかったはずだ。少なくともやる気のなさそうな国選弁護士で戦うよりも何倍もましだったはず。

 

 一方のただ依頼を断っただけなのに恨みを持たれてしまった弁護士はいい迷惑だ。しかも彼はいかにもな悪徳弁護士ではなく、遠方からわざわざ来てくれたのだからと、断るにしても門前払いではなく面会して直接伝えるという誠実さを持っている。それなのに、彼の周辺でたまたま起きた事件をきっかけに主人公に復讐されることになる。

 

 正直、主人公の単なる逆恨みじゃないかと思ってしまうのだが、実際にそういうお門違いの恨みを持つ人はいそうで、リアルといえばリアルなのかもしれない。そんなヤバい主人公を倍賞千恵子が上手く演じている。一度決めたら一歩も引かない頑固で気の強そうな性格。夜の店で会うと媚態を見せるのに、外で会うと冷たい態度。一途なものを感じながらも、何を考えているのかよく分からない。若い頃の清純で可憐な彼女のイメージとは全然違う姿を見せている。

 

 そして主人公に翻弄される弁護士。彼は彼であとで事件を調べ、自分が弁護をすれば無実にすることができたと確信してしまったことが、彼女に対する引け目となっていたのかもしれない。ただ基本的には彼女にお願いをする以外に出来る事はない立場にいたので、どうしようもなかったと言えばどうしようもなかった。最後の出来事は、無事解決しそうだという安堵感と酒を飲んだという気の緩みで分からなくもないが、それでもちょっとどうなの?と思ってしまうが。

 

 最初は冤罪をめぐる法廷ものかと思っていたので、その後の主人公の理不尽な行動に戸惑わさせられた。ただそれは現実世界では実際にあり得る事だと無理やり納得できなくはない。だが、主人公が偶然、復讐にうってつけの事件に遭遇するという出来過ぎの展開には引っかかりを感じる。いくらなんでもそんな都合の良い事は起きないだろうと思ってしまった。

 

 観ている間、ずっと腹の中でモヤモヤしたものが蠢き続けているような映画だ。まさしくそれこそがタイトルの「霧」の意味しているものなのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督

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脚本 橋本忍

 

原作 霧の旗

 

出演 倍賞千恵子/滝沢修/露口茂/新珠三千代/川津祐介/市原悦子/穂積隆信/三崎千恵子/井川比佐志/金子信雄*

*ノンクレジット

 

撮影 高羽哲夫

 

霧の旗

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「ウディ・アレンのバナナ」 1971

ウディ・アレンのバナナ [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 ひょんなことから南アメリカの革命軍に参加することになった男。  

 

感想

 冴えない仕事をしていた男が、社会運動に熱心な彼女の活動に付き合っていたら、いつの間にか南米の独裁国家でゲリラ活動を行うことになってしまうというコメディだ。とにかくギャグを詰め込んだスラップスティック気味ではあるのだが、時々知性も感じさせる風刺や皮肉も織り込まれている。

 

 主演のウディ・アレンが、まるで力が有り余っているかのように精力的に動き回る。血気盛んというか、怖いもの知らずというか、つまりは若い、という事なのだろう。とはいえ、36歳くらいだが。ついでに、ちょい役でまだ売れる前のシルヴェスター・スタローンも出ているのだが一発で分かる。そして、こちらも若い。

 

 

 政治活動や女性解放運動、外交問題や赤狩りなど、当時の世相を反映して物語は進む。ときどき素直に笑ってしまうギャグはあるのだが、基本的にはほどほどの面白さだ。ただ、こういうその時代の空気を感じられるコメディは、もっと作られてもいいのかもしれない。独裁政権を倒したら、また別の独裁政権が出来上がってしまったというのは、風刺が効いていた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演

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出演 ルイーズ・ラッサー/カルロス・モンタルバン/デイヴィッド・オルティス/シルヴェスター・スタローン

 

音楽 マーヴィン・ハムリッシュ
 

ウディ・アレンのバナナ [DVD]

ウディ・アレンのバナナ [DVD]

  • 発売日: 2008/04/25
  • メディア: DVD
 

ウディ・アレンのバナナ - Wikipedia

 

 

この作品が登場する作品

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「インストール」 2004

インストール 

★★☆☆☆

 

あらすじ

 不登校となり、近所の小学生と一緒に風俗チャットのバイトを始めた女子高生。

 

感想

 神木隆之介が若いというか、完全に子供。彼と上戸彩は、結構な年齢差があるのだなと実感できる。この人が高校2年生の時にあの人は小学2年生だった、みたいな考え方は、結構な歳の人間でやると馬鹿らしく感じてしまうが、意外と結構有効なのかもしれない。

 

 人生に漠然とした不安を感じて学校に行かなくなってしまった女子高生が、パソコンをあげた近所の早熟の小学生男子と共に、風俗嬢に成りすましてチャットのバイトを始めるという物語。ただ内容は、若いアイドルや子供に際どい言葉を言わせたり、ドキッとするような行動を取らせたかっただけ、という印象になってしまっている。

 

 

 でも、それならそれで徹底すればよいのだが、それが出来ていない。良くなりそうな雰囲気も一瞬あったりしたのだが、上戸彩にそこまでの覚悟がなかったのか、単に監督が踏み込めなかったのか、アイドル映画の範疇を超えられない非常に中途半端な出来。上戸彩のファンであれば、そのゆるいラインを行ったり来たりする感じが、ヤキモキできて楽しめるのかもしれないが。

 

 映画は全編、大体そんな感じで、結局何が言いたいのか分からない。ストーリー的なものもあることはあるのだが、そこを丁寧に描く気はなかったようで、取って付けた様なやっつけ具合だった。そんな良く分からない物語を見ていたせいもあるだろうが、背後で延々と流れる能天気な音楽にも段々とイライラしてくる。

 

 クリック一つで入り込めてしまうネットの世界は、現実と簡単に行ったり来たりできてしまい、よく考えると不思議だ。電車の中でスマホを見てニヤけてしまっている自分に気がついて、ハッとして真顔に戻る、みたいな。時おり、そんな言及をしている場面があったりして、きっと原作はそんな考察に満ちた面白い小説なのだろうと窺わせてくれる内容ではあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演 片岡K

 

脚本 大森美香

 

原作 インストール (河出文庫)

 

出演 上戸彩/神木隆之介/中村七之助/菊川怜/小島聖/田中好子/宇梶剛士/森下能幸/田中要次

 

音楽 Rita-iota

 

インストール 

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

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「毛皮のヴィーナス」 2013

毛皮のヴィーナス(字幕版)

★★★☆☆ 

 

あらすじ

 劇場を去ろうとしていた脚本家の元に、オーディションをして欲しいという謎の女がやって来る。フランス映画。

 

感想

 登場人物は二人だけで、劇場の中だけで繰り広げられる密室劇。最初は帰ろうとする脚本家と必死に留めようとする女優の間で宙ぶらりんの状態が続き、どっちつかずの落ち着かなさで若干イライラする。

 

 そして女優の勢いに負けて結局オーディションを行うことにした脚本家。 女優役のエマニュエル・セニエはそんなに美人には感じないが、オーディションが始まった途端にガサツそうな風貌からキリっと切り替わるのは見事だった。意外と年もいってるなと思ったら、監督のロマン・ポランスキーの奥さんだった。

 

 

 マゾの語源となった作家マゾッホの小説を原作とした演劇が題材となっており、二人の微妙に変化していく関係が描かれる。一応はブラックコメディという事らしいが、正直、別に笑える所はなかった。ただ奇妙な二人のやり取りには、魅入られる。

 

 劇中の登場人物と同一視されてしまいがちで迷惑、でも完全に違うかと言われたらそうとも言えない、みたいな劇作家あるあるなどが語られたり、すぐにポリコレを持ちだされる腹立たしさを表現したりと、もしかしたら監督の心情が吐露されているのかなと思ったりしたが、原作の戯曲を反映しただけなのかもしれない。

 

 どんどんと女優のペースに飲み込まれていく脚本家。ときどき必死に反発し怒ったりするのだが、それすらもきっと思惑通りなのだろう。その度に丸め込まれて逃げ場がなくなり、追い込まれていく。

 

 劇場という密室の中で、二人だけで舞台のセリフ合わせをするという設定だが、舞台上だけでなく客席にも移動したりして動きをつけたり、途中で役柄が入れ替わったりと飽きさせない構成となっている。最後は完全に支配下に置かれて脚本家が叫ぶ中、映画冒頭の言葉が再び示されてエンディング。ラストがビシッと決まっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ロマン・ポランスキー

 

出演  エマニュエル・セニエ/マチュー・アマルリック

 

毛皮のヴィーナス(字幕版)

毛皮のヴィーナス(字幕版)

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
 

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登場する作品

毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)

毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)

 

 

 

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「大魔術師“X”のダブル・トリック」 2012

大魔術師"X"のダブル・トリック (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 留学している間に軍閥の男に婚約者を奪われた奇術師の男は、彼女を取り戻そうと画策する。

 

感想

  主人公の恋人と無理やり結婚して、第7夫人にしてしまった軍閥の男。最初は彼が愚鈍で無神経な嫌な奴かと思っていたのだが、子どもたちにお菓子を買ってあげたり、劇場に無料で招待をしてあげたりと、段々といい奴に見えてきて困った。

 

 一方のトニー・レオン演じる主人公。主役なのに映画が始まってもなかなか出てこなくて焦れてしまったが、魔術を使って軍閥の男や恋人と接触を図ろうとする。劇場ですごいトリックを見せて客を驚かすのだが、正直映画の中でどんな手品を見せられても驚きはない。映画自体がなんでも出来てしまうマジックみたいなものなので、そこでマジックをされても…と逆にちょっと冷めてしまう部分がある。ただ、ここはトニー・レオンの客を楽しませるエンターティナーぶりを楽しめばよいという事なのだろう。

 

 

 やがて主人公は接触に成功し、軍閥の男の疑いの目を機転を利かせて切り抜けたり、婚約者と密会をしたりと、緊張感のある展開。しかしここでいつの間にか、軍閥の男と手を結ぶことに。軍閥の男に親しみを感じてしまっていた自分にとっては安心する流れではあったのだが、いまいちこの二人が結託した過程がよく分からなかった。

 

 なんとなく華やかでなんとなくコミカルな話がだらだらと続く映画。二人が協力し合うことになってからの中盤以降は、特にその傾向が強い。誰もがなんとなく楽しめる大衆娯楽映画といった所だ。儲けようとするならこういう映画を作るべきなのだろうが、なんだか最近の中国映画はこんな感じのぬるい映画ばかりで面白みがない。

 

 ラストのどんでん返し的なトリックも予想が出来るもので、特に驚きはなかった。エンディングもなんだそれ?みたいな終わり方で、なんとも締まりのない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 イー・トンシン

 

出演 

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ラウ・チンワン/ジョウ・シュン/ラム・シュー/澤田拳也/ダニエル・ウー/ツイ・ハーク/ヴィンセント・クォック 

 

撮影 北信康 

 

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「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 2014

オール・ユー・ニード・イズ・キル(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 地球を侵略する宇宙人と戦う人類。激戦地に行くことを拒んだメディア担当の少佐は、二等兵に降格させられ最前線へ送られてしまう。

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感想

 最初は主演のトム・クルーズが、これまでの映画で演じてきたキャラクターとは違い、口先だけの嫌な奴として登場する。メディア担当として最前線に行って欲しいという要請をなんとか回避しようと、脅したりすかしたりの情けない必死の姿を見せている。とはいえ、最高に爽やかな笑顔だけはいつも通りなのだが。

 

 そんな彼は、上官の怒りを買って降格させられ、歩兵として前線に送られることになってしまう。これだけでも一つの物語になりそうなものだが、本題は死ぬと前線基地に送られた日に戻ってしまうタイムループものだ。タイムループを繰り返しながら、敵を倒すための最適解に近づいていく。

 

 

 なかなか面白い設定ではあるのだが、失敗したらリセットしてセーブポイントからまたやり直せばいいだけだからと、慎重さのかけらもなくガンガン前へ進むゲームを見ているようでもある。良く言えばアジャイルな手法を使った攻略法なのかもしれないが、失敗したら終わりという一か八かの緊張感がないのがなんか嫌だった。トム・クルーズがこれだけあっさりと死んだり、なんなら自分から死ににいってるシーンがたくさん見られるのは珍しくて面白いのだが。

 

  宇宙人との戦闘シーンは、機動スーツなどの装備がカッコよく、迫力があって良かった。特に主人公が初の戦場に戸惑いオロオロする姿を描いた最初の戦闘シーンは、リアルで臨場感があり、少し「プライベート・ライアン」を思い出した。タイムループのない純粋な戦争映画として作っても、見ごたえのある物となったのかもしれない。

 

 何度もループを繰り返し、最適解に近づいていく主人公たち。若干、繰り返しがうざく感じる時もあったが、すでに何度もループした後のシーンからいきなり始まる時もあって、その変化のつけ方は上手かった。たまに相棒の女性の視点も味わえる。終盤にタイムループがもう出来なくなるという展開も、一気に緊張感が高まって良かった。そして訓練と経験を重ねて、いつの間にか主人公はタフで頼もしい、いつものトム・クルーズになっていた。

 

 エンディングに近づくにつれ、よく考えるとタイムループで戻るポイントがなぜ出撃前夜という都合の良い時点だったのか、という疑問に気付いたり、なぜ未来でラスボスを倒したら過去が変わるのだろう、と釈然としなかったりと、ぞくぞくと疑問が湧き出てきた。まあまあ面白かったのだが、ラストで一気に気になる点が出てきてしまう、後味の悪い映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 ダグ・リーマン

 

脚本 ダンテ・W・ハーパー/ジョビー・ハロルド/クリストファー・マッカリー/ティム・クリング/ジェズ・バターワース/アレックス・カーツマン/ロベルト・オーチー

 

原作 All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

製作 ジェイソン・ホッフス/グレゴリー・ジェイコブズ/トム・ラサリー/ジェフリー・シルヴァー/アーウィン・ストフ

 

出演

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エミリー・ブラント/ビル・パクストン/ブレンダン・グリーソン/ノア・テイラー/キック・ガリー/ジョナス・アームストロング/フランツ・ドラメー
 

オール・ユー・ニード・イズ・キル - Wikipedia

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