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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「喝采の陰で」 1982

喝采の陰で [DVD]

★★☆☆☆

 

あらすじ

 自身の子供と妻の連れ子の5人の子供を抱える劇作家の男。ある日、妻が不倫をして出て行ってしまい、仕事と子供の面倒で途方に暮れてしまう。原題は「Author! Author!
」。

 

感想

 序盤は登場人物たちが何か変な会話ばかりしているなとぼんやり思いながら見ていたのだが、10分くらいしたところでようやく、もしかしてこれは笑わそうとしているのか?とハッと気づいた。とてつもなく分かりづらいコメディ映画だ。全然コメディの雰囲気が作れておらず、笑いどころすら分からない。

 

 主人公を演じるアル・パチーノも、コメディの演技は下手なのかと疑ってしまうほどで、無駄に迫真の演技をするものだから笑っていいものか、一瞬迷ってしまう。主人公が自身の言い間違いに呆然とするシーンがあり、あとから考えるとこれは妻の浮気を無意識に疑っているというギャグなのだが、事前に内容も知らず、コメディ映画だともまだ気づいていなかったので、何らかの脳の病気を患ってしまった男の闘病ドラマが始まるのかと本気で思ってしまった。ただ全体的に見てみれば、アル・パチーノよりも脚本・演出の問題の方がどう考えても大きいが。

 

 

 物語自体も方向性が見えなくて、何を描こうとしているのかなかなかつかめなかった。中盤ぐらいにようやく、ひとりでたくさんの子供たちの面倒を見ながら、何とか舞台の脚本を書き上げる男、というあらすじが見えてきたが、最後までそれで合っているのかと不安を覚えるような、曖昧な物語展開だった。

 

 おそらく構想としては、ドタバタの私生活をうまく脚本に取り込んだ結果、素晴らしい演劇となって子供たちも大喜び、というハートウォーミングな物語に仕立てたかったのだろうが、全然そんな風には見えなかった。子供たちとの関係をもっとしっかり描くべきだったし、それが舞台劇に反映されていることを分かりやすく示すべきだった。

 

 もし構想通りに描けていれば、傑作と呼ばれるくらいいい映画になっていたかもしれないが、残念ながらそのことごとくに失敗してしまったような印象を受ける。とくにコメディ部分がコメディだと気づかれないくらいに失敗しているのが痛い。

 

スタッフ/キャスト

監督 アーサー・ヒラー

 

製作 アーウィン・ウィンクラー

 

出演

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ダイアン・キャノン/チューズデイ・ウェルド/アラン・キング/ボブ・ディシー/ボブ・エリオット

 

音楽 デイヴ・グルーシン

 

喝采の陰で [DVD]

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  • アル・パチーノ
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「ゆきゆきて、神軍」 1987

ゆきゆきて、神軍

★★★★☆

 

あらすじ

 昭和天皇パチンコ狙撃事件などを起こしたアナーキストの奥崎謙三は、戦時に属していた部隊で上官が部下を射殺する事件があった事を知り、遺族とともにその真相を探る。ドキュメンタリー映画。

 

感想

 アナーキスト・奥崎謙三の姿を追うドキュメンタリー。最初に彼が商売を営む店舗が映し出されるのだが、いきなり強烈なビジュアルだった。「殺す」という文字を含む言葉が書かれたシャッターや街宣車のような車が登場する。これだけであまり近づいてはいけないタイプの人だなという事が分かるが、それと同時に、でもどんな人なのだろうという興味は湧く。カメラは彼の姿を追い続け、序盤は脈絡がない感じだったが、次第に終戦のどさくさで行われた戦地での上官による部下の射殺事件の真相を探る奥崎の姿に焦点が絞られていく。

 

 奥崎は話を聞くために、かつての上官たちの元を訪れていく。部下だった奥崎を迎える当時の上官たちは、まずは満面の笑顔で迎えるが、その後、来意を知ると顔を曇らし、やがては怒ったり、はぐらかしたりと変化していく。そして、そんな彼らに対して真摯に訴え続け、時には暴力を振るいながら真相を聞き出そうとする奥崎の姿はなかなかショッキングだった。

 

 

 そして上官たちはぽつりぽつりと当時のことを語りだす。それが真実かどうかはともかく、彼らがとにかく何かを語ろうとするのは意外だった。彼らのやましさの裏返しなのかもしれないが、それでもやはり彼らは根が善良なのだろうと感じさせる。何十年も前の思い出したくない出来事を追及する人間が突然やって来たら、今ならほとんどの人が何も語らず追い返すような気がする。この何十年で日本人は猜疑心に満ち、自己防衛に徹して何も話せないような、荒んだ心の持ち主になってしまったのかもしれない。

 

 彼らによって語られ始めた当時の様子の中で、普通に人間を食べていた話が出てくるのが恐ろしかった。当時がいかに異常だったかがよく分かる。彼らの多くが話の途中で感極まり、思わず涙がこみ上げ嗚咽するのが印象的だった。平穏な今では信じられないような極限状態だったのだろう。敵と戦うのではなく、ただ生き残るためのサバイバルゲームをするだけの状況に陥ってしまったこの戦争が、いかに間違っていたのかがよく分かる。

 

 現在では、こんな戦争に憧憬の念を抱いている人たちが少なからずいるようなのだが、まったくその気持ちが知れない。そもそも負けた戦争になぜ憧れているのだろうか。ナチスドイツを持ち出しただけで大騒ぎするくせに、なぜか大日本帝国は賛美しようとするのもよく分からない。何かと話をはぐらかそうとする上官たちだったが、戦争なんて二度としてはいけないという事だけは、皆口を揃えて言っている。それが戦争のリアルを示していると言えるだろう。

 

 暴力も辞さず、なんとしてでも目的を果たそうとする奥崎の迫力は凄まじく、思わず彼の言動に見入ってしまうようになる。ただ何かと罰が当たったと言う彼の考え方は彼の考え方でしかなく、そこには独りよがりな自分勝手さも感じる。共に行動していた遺族を気にかけることなくずんずんと歩いていく姿や、しまいには遺族の代わりに役者を立てるようになったところにもそれが表れていた。上官たちの家族を巻き込んでしまうのも気の毒だった。

 

 そして、直接の映像はなかったが、彼の想像を超えた行動で迎えた幕切れには唖然としてしまった。アナーキストらしいと言えばらしい。ただ彼は自分のやった事に対してはきっちり責任を取るという信念があるから、世の多くのやりっ放しの人間たちよりも信用は出来る。責任を取るなら何やってもいいわけではないだろうと思わないでもないが。

 

 それからあまり内容とは関係ないのだが、気持ちが先走りつっかえつっかえ話す奥崎とは対照的に、言葉巧みに相手を丸め込もうとする上官たちの姿には強く印象に残るものがあった。これを見ていたら、人当たりの良さや体裁の良さを保つ能力が、生きていく上で何よりも役に立つのだろうなと容易に想像できてしまって、少し辛いものがあった。彼らを上官たらしめていたのもきっとこの能力のおかげなのだろう。

 

 もし奥崎にも同じような能力があったら、きっとより多くの支持者を集めていただろうし、彼の活動内容も変わっていたような気がする。何度か選挙にも出たらしいが政治家になれていたかも知れないし、今ならSNSなどを使ってちょっとした一大勢力を築けていたかもしれない。最近の世の中は、この能力を重視する傾向が強くなってきているように思える。

 

 観終わった後も、いろんな思いや考えがぐるぐると頭の中を駆け巡り続けている。とてもインパクトのあるドキュメンタリー映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/撮影 原一男

 

出演 奥崎謙三/奥崎シズミ

 

ゆきゆきて、神軍 - Wikipedia

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「2番目のキス」 2005

2番目のキス (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ボストンで学校教師をする男は、ある女性と付き合い始めるが、自身が熱狂的なボストン・レッドソックスのファンであることが原因でその関係に亀裂が生じてしまう。

 

 97年のイギリス映画「ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ」の題材をサッカーから野球に変更してリメイクした作品。原題は「Fever Pitch」。

 

感想

 主人公は学校教師で熱狂的なレッドソックスファンの男。普段は人を食ったような独特なセンスのユーモアで楽しませる気のいい奴だ。そんな男がバリバリのキャリアウーマンと付き合い始める。最初は順調に関係を育んでいくのだが、野球シーズンが始まり試合を重ねるにつれて、次第に彼女との間に溝が生まれていく。

 

 ただ主人公は最初にちゃんと自分が熱狂的なファンであることを打ち明けていたし、彼女も別にそんなことは気にしないよと寛容な態度を取り、最初は彼女も主人公と一緒に応援を楽しんでいた。一応は互いに了承はしていたはずなのだが、彼女にとって主人公の熱狂具合は想像を超えていた。まさか彼女だって仕事のキャリアを脅かすほどだとは思っていなかっただろう。

 

 

 普段、人は気軽に他人に趣味を聞いたりするが、趣味にはピンキリがあり、中には玄人はだしのマニアックさで打ち込んでいる人もいる。趣味を聞いて軽率に相手のことを理解した気になるのは危険だ。油断してはいけない。

 

 コミカルな調子で主人公や仲間たちの熱狂具合は描かれていくのだが、中でも球場の仲間たち皆で詳しくない彼女に対して「バンビーノの呪い」など、チームの歴史について教えるシーンは面白かった。きっと熱狂的なファンなら大爆笑するのだろうなと想像できるようなネタで、その雰囲気しか分からない自分がなんだか悔しかった。その他、主人公が心を病んだときは、まるで自傷行為を繰り返すように、ファンにとっては悪夢の伝説的な試合を繰り返し見る行為をしてしまう、という設定も笑えた。気づいた仲間たちが、いかん、これは重症だ、と慌ててビデオテープを取り上げる。

バンビーノの呪い - Wikipedia

 

 野球以外のコミカルシーンも良くて、主人公が生徒の少年に真剣に恋愛相談するのも面白かった。ファレリー兄弟が監督するコメディ映画はギャグがどぎつ過ぎる印象があったが、この映画はそんなことはなく程よいコメディ映画となっている。誰と一緒に見ても気まずい感じになることはなさそうだ。ヒロイン役のドリュー・バリモアも魅力的で、特に序盤の野球を応援する姿などは可愛らしかった。ラストもラブコメらしい結末でほっこりする。

 

 このクライマックスでは、試合を中断させた二人を問答無用につまみ出さずに、迷惑そうな顔をしながらもほとぼりが冷めるまで待ってあげるモブキャラの警備員たちが地味にいい仕事をしている。物語の中で、こういう粋な計らいをするモブキャラが出てくるシーンに遭遇すると嬉しくなる。

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 レッドソックスがバンビーノの呪いから解放されたことをきっかけに作られた映画だと思っていたのだが、実際はそんなことが起きるのは想定外だったらしく、慌てて結末を変更したらしい。このエピソード自体がコメディじみているが、そんな節目の年に自分の応援するチームを題材にしたこんな素敵な映画が作られるなんて、レッドソックスファンにとってはたまらなかっただろうなと羨ましくなる。

 

スタッフ/キャスト

監督 ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー

 

原作 ぼくのプレミア・ライフ (新潮文庫)


製作/出演 ドリュー・バリモア

 

製作総指揮 ニック・ホーンビィ/デヴィッド・エヴァンス/マーク・S・フィッシャー

 

出演 ジミー・ファロン/ジョベス・ウィリアムズ/ジェイソン・スペヴァック/ ジャック・ケーラー/アイオン・スカイ/ケイディー・ストリックランド/ジェームズ・シッキング/ウィリー・ガーソン/シオバン・ファロン/ジャッキー・バロウズ/スティーヴン・キング/ジョニー・デイモン/トロット・ニクソン/ジェイソン・バリテック/ジム・ライス/デニス・エカーズリー 

 

音楽    クレイグ・アームストロング

 

2番目のキス - Wikipedia

 

 

関連する作品

リメイク元の作品

 

 

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「いつかギラギラする日」 1992

いつかギラギラする日

★★★★☆

 

あらすじ

 現金輸送車の襲撃に成功するも、奪った現金が想定よりも少なかったため、仲間割れを起こしてしまったギャングたち。

 

感想

 ベテランのギャングたちに若い男が加わったことで仲間割れが起き、そこにヤクザも加わって奪った現金をめぐる激しい抗争が繰り広げられる。木村一八演じるこの若い男は、いかにも血気盛んな若者といった感じで落ち着きがなく、主人公らにも怖気づくことなく食ってかかる。頭は悪いが行動力だけはあるようなタイプで、あまり関わりたくないタイプだ。だが中盤で「俺が経営するライブハウスなんて半年ももつわけないから」とさらっと言っていて、案外冷静に状況を判断できているのだなと思ったりもした。

 

 この若い男をけしかけるのが、荻野目慶子演じる若い女。ベテランギャングのメンバーの愛人でありながら、この若い男と共謀して彼らから金を奪おうと目論んでいる。今見ると多少ステレオタイプ的に感じてしまうが、彼女は皆を引っ掻き回すクレイジーな役どころだ。この若い男女のコンビは妙にテンションが高く、序盤は若干引いてしまうところもあるが、彼らのような人間がいないとドラマが起きないので仕方がない。

 

 

 ちなみにこの若い女は、突飛な行動をしながらも実は寂しさを抱えているという設定になっている。中盤くらいから少ししっとりして「私を見て」などと呟いたりする一面も見せるようになるのだが、その割には目元を隠すマスクを愛用していたりして、見られたいのか見られたくないのかどっちだよ、と思わなくもなかった。ただこのマスクをしている時は本当の自分ではないという事を表していたのかもしれない。

 

 そんな二人と対峙する萩原健一演じる主人公は、躊躇することなく彼らに一直線に向かっていく姿がカッコいい。ギラギラする若者たちに負けないギラギラ具合を見せつけている。彼らとの激しい銃撃戦なども見応えがあるが、なんと言っても中盤以降激しさを増していくカーアクションがすごい。無謀にも思える車の激しい揺れ方や浮き具合を見ていたら、撮影時にちゃんと安全対策をしていたのだろうかと気になってしまう80年代のジャッキー・チェン映画を見ている時と同じ気持ちになった。クライマックスの大型の四駆で何台ものパトカーに向かっていくシーンは、激しさもマックスで大盛り上がりだった。

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 そして萩原健一の豪快な笑顔で終わるエンディング。とても映画的だ。やっぱりショーケンはカッコいいわと再認識できる。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 深作欣二

 

脚本 丸山昇一


製作 奥山和由

 

出演 萩原健一/木村一八/多岐川裕美/荻野目慶子/石橋蓮司/千葉真一/樹木希林/八名信夫/安岡力也/六平直政/木下ほうか/恩田快人

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「ブレードランナー 2049」 2017

ブレードランナー 2049 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 製造禁止となったレプリカント(人造人間)を探し出して抹殺する任務をこなす新型レプリカントの男は、新たにレプリカントの産んだ子供を探し出すよう命じられる。163分。

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感想

 ロボットがロボットを探し出して破壊する世界だ。おそらく今でもロボットをメンテナンスするロボットはいるのだろうから別に不思議ではないのか。

 

 ただこうやってロボットだけで完結する社会が広がっていくと、なんだか不安を感じてしまうのは分からないでもない。しかしレプリカントである主人公が、ヴァーチャルな女性に癒しを求めている時点でだいぶ人間味がある。ここまでくるともはや人間とロボットの境目は何なのか、よく分からなくなる。

 

 そんなレプリカントが赤ん坊を生んだことがあるらしいという事実が判明し、社会の混乱を恐れて内密に見つけ出し抹殺する事を命じられた主人公。一方で、供給不足に悩むレプリカント会社は、レプリカントがレプリカントを生む技術を手に入れたいという別の理由でこの件に注目し、両者は対立することになる。

 

 

 だがロボットがロボットを生み出す技術は、そんなに難しくないような気もしてしまう。単純にロボットに自分と同じ部品を入手させて組み立てさせればいいだけだ。もしくはロボット製造工場で働くロボットを作ればいい。ただレプリカントは、いわゆるメカメカしい無機的なロボットではなく、中身まで人間と同じような有機的なものだからそれが難しいという事なのだろう。

 

 前作同様に暗く重いトーンだ。3時間近い映画で、多少はその長さを感じないではないが、そこまで体感時間は長くなかった。

 

 蜂や娼婦のくだりなど、随所で事前に伏線というか細かいバイアスがかかるようにしてあって、ストーリーをすんなりと受け入れやすくしてある。映像も見とれてしまうほどに美しく、映画館映えしそうだ。そして何よりも「それはお前を食べるためだよ」みたいな、急に話の矛先が自分(主人公)に向かってくる展開にはドキドキしてしまった。

 

 前作の主人公、ハリソン・フォード演じる男が登場したシーンにはかなりテンションが上がったが、これをマックスに終盤は少し停滞してしまった印象だ。しかしハリソン・フォードは、過去に快活なキャラで名作に登場しすぎたせいで、現在の続編ブームの中で老体に鞭を打たれまくっているのは少し気の毒かもしれない。

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 敵役であるシルヴィア・フィークス演じる女がなかなかの憎たらしさを見せていて、映画を盛り上げてくれる。顔認証のために殺した女を持ち上げた後、無造作に手を放すシーンは面白かった。

 

 ただ彼女もレプリカントだ。レプリカントの主人公がレプリカントと戦い、命がけで人間を助ける展開に、ますますロボットと人間の境目が分からなくなる。

 

 そもそもロボットを人間に似せる必要があるのかというのもあって、この映画もレプリカントがすべて猫型ロボット「ドラえもん」だったらまた印象は変わるのだろうなと思ったりした。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

 

製作 アンドリュー・A・コソーヴ/ブロデリック・ジョンソン/バッド・ヨーキン/シンシア・サイクス・ヨーキン


製作総指揮

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ティム・ギャンブル/フランク・ギストラ/イェール・バディック/ヴァル・ヒル/ビル・カラッロ


出演 ライアン・ゴズリング

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アナ・デ・アルマス/シルヴィア・フークス/ロビン・ライト/マッケンジー・デイヴィス/カーラ・ジュリ/レニー・ジェームズ/デイヴ・バウティスタ/ジャレッド・レト

 

音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ/ハンス・ジマー

 

ブレードランナー 2049 - Wikipedia

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関連する作品

前作

 

映画公開前に配信された前日譚「ブレードランナー ブラックアウト2022」

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映画公開前に配信された前日譚「2036: ネクサス・ドーン」

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映画公開前に配信された前日譚「2048: ノーウェア・トゥ・ラン」

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「海と毒薬」 1986

海と毒薬

★★★☆☆

 

あらすじ

 太平洋戦争末期、軍への協力として米兵捕虜に人体実験をすることになった医学生ら。キネマ旬報ベスト・ワン作品。

 

感想

 序盤は、若き医学生である主人公が、医学の進歩のためというお題目で患者の命を軽く扱う風潮に苦悩する様子が描かれる。確かにどのみちこの患者は死ぬのだからどうせなら実験的な事をしてやれと最善を尽くさない医師たちの態度には反感を覚える。だが太平洋戦争末期の一億玉砕とか喧伝していた時期なので、まともな医療を施したところで結局は戦争で皆死ぬ、というどこか捨て鉢な雰囲気が皆に漂っており、その影響もあったと言えそうだ。こうやって戦争は様々な局面で人々の心を蝕んでいく。

 

 そのままヒューマニズムを前面に押し出される展開だとしんどいかなと思っていたのだが、徐々に登場人物たちの人間臭さが現れてきて面白くなっていった。学内の権力争いに、恨みや信奉といった個人的感情、また人間の心の深奥に対する個人的興味など、それぞれがそれぞれの事情を抱えて捕虜への人体実験へと突入していく。

 

 

 そんな人物たちの中で印象的だったのは、冷徹に自身や周囲を観察する主人公の同期の男だ。彼は良心の呵責に悩む主人公とは対照的な存在だ。戦争犯罪を冷静に執り行っている教授たちの無感情や、それを見学する軍人たちの罪の意識が感じられない無邪気さを冷静に見つめる視線は少し怖くさえあった。演じる渡辺謙が存在感抜群で、特に怖気づいた主人公を説得するシーンでの演技は印象的だった。普通なら語気を強めそうなところで敢えて声を潜めて語りかけ、まるで主人公を飲み込んでしまうような凄みがあった。

 

 倫理観を忘れ、状況に流されて人体実験を行う関係者たちと対をなすのが、教授の妻であるドイツ人の女性だ。回復の見込みのない患者に最善を尽くさない彼らに、罪の意識を問いかける。彼らとて罰が下ることを恐れていないわけではないが、それは世間からの罰だ。彼女が想定している「神」とは違う。神は絶対だが、世間はそうではなく、いくらでも誤魔化せてしまう。日本は欧米のような宗教観を持たないから不正に弱いのかもしれない。道徳や倫理を遵守する事よりも周囲の空気を読むことを重んじてしまう。この風潮は今でも変わらない。

 

 映画はモノクロだが、そもそも病院に灰色のイメージがあるからか、あまり違和感を感じることなく見ることが出来る。映画のテーマにも合っていた。それから、結構しっかり描かれる手術シーンのグロさを軽減させる意図もあったように感じた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 熊井啓

 

原作

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出演 奥田瑛二

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成田三樹夫/田村高廣/岸田今日子/根岸季衣/岡田眞澄/神山繁/千石規子

 

音楽 松村禎三

 

海と毒薬

海と毒薬

  • 奥田瑛二
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海と毒薬 (映画) - Wikipedia

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「ふたり」 1991

ふたり デラックス版 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 事故で亡くなった姉に見守られる妹。新尾道三部作。155分。

 

感想

 主人公の姉が事故で亡くなるシーンはなかなか強烈だった。じわじわとトラックが迫って来て、やがては圧死することが分かっているのどうすることも出来ない状態。一番嫌な死に方かもしれない。どうせ死ぬならひと思いに即死させて欲しいものだが、死期を悟った姉がそんな状態でも妹を気にかけているのもすごかった。こういう死に方は嫌だが、最後の別れがちゃんとできるのがメリットと言えばメリットなのかもしれない。

 

 その後、しっかり者だった姉は頼りない妹の前に現れては、彼女をサポートするようになる。姉が死後に最初に現れたのは、主人公が夜道で変質者に襲われた時だ。無事難を逃れることは出来たのだが、本人を含めて家族や周囲のリアクションが薄かったのがとても気になった。父親などは一応は心配しながらも「お前もそういう(襲われる)歳になったんだな」とかのん気なことを言っていてびっくりした。あまりにも危機感がなさ過ぎだ。

 

 

 この映画ではその他にも同級生からの嫌がらせなど、他人からの悪意がたびたび襲い掛かってくる。また母親の病気や父親の左遷に不倫、知り合いの会社倒産や自殺未遂など、様々な厳しい現実も描かれる。そしてそんなシーンではきっと雨が降っていて、不穏な気持ちに襲われる。姉に守られ無邪気なままでいた少女が、そういった現実を受け入れながらやがて大人になっていく。

 

 主人公と姉の関係を見ていたら、姉は主人公にとっての第三者的視線の役割を果たしているように思えてきた。人は自分を客観視することで冷静に判断ができるようになる。くよくよと思い悩んでいた事も、俯瞰で見ることによって些細な問題でしかないことに気づくこともある。そんな時、具体的な誰かを思い浮かべるとやりやすい。あの人ならどうするだろう、どんなアドバイスをくれるだろうと考えるだけで、グッと視野が広がる。誰を設定するかは人それぞれで、人によってそれは神だったり、偉人だったり、ライバルだったりする。主人公にとっては、それが姉だった。

 

 主人公が大人になっていく過程が描かれて行くのだが、中学生から高校生までと結構長いスパンが取られており、しかも大きな物語と言うよりはいくつかのエピソードが連なっているだけなので、上映時間の長さが多少しんどかった。それから主演の石田ひかりは、頼りなさを表現するための眠たげな覇気のない序盤の演技が少し辛かったが、主人公の成長と共にそれはなくなり、まともな見られる演技になっていった。

 

スタッフ/キャスト

監督/編集

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脚本 桂千穂

 

原作 ふたり(新潮文庫)


出演 石田ひかり/中嶋朋子/富司純子/岸部一徳/尾美としのり/柴山智加/中江有里/島崎和歌子/ベンガル/入江若葉/吉行和子/奈美悦子/林泰文/竹中直人/増田惠子/藤田弓子

 

音楽 久石譲

 

撮影 長野重一

 

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関連する作品

新尾道三部作

 

 

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「大地の子守歌」 1976

大地の子守歌 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 山育ちの少女は、育ての老婆の死後、騙されて島の売春宿に売り飛ばされてしまう。

 

感想

 主人公の少女は、登場からして強烈だった。獲物のうさぎを手に持ち、すごい勢いで野山を駆け下りてくる。言葉も荒く、なかなかの野生児感だった。とはいえそんな彼女もまだ幼い少女。育ての老婆が死んで孤児になったところを、やってきた優しい女衒に騙されて島に売り飛ばされてしまう。

 

 しかし別に借金があるわけでもなかったので、本当にただ騙されただけ、というのがひどい。孤児になるとこういうことは日常茶飯事だったのか。まだ百年も経たない昔に、こんな事が普通に行われていたとは恐ろしい。この感じではまだまだこういうことはあるのだろうなと容易に想像できてしまう。本来であれば村の人間が守ってあげるべきなのだろうが、彼女の激しさもあって、元々軽い村八分みたいなところがあるようだった。

 

 

 売られた宿で最初は反抗を見せていた主人公だが、やがてはそこで前向きに生きる事を決意する。置かれた環境で頑張ろうとする姿は健気だが、同時にとてつもなく哀しい。二つの意味で泣ける。特に彼女は孤児になったとはいえ、騙されなければ山で自力で生きていけそうだっただけに悔やんでしまう。

 

 そしてそのままこの世界に染まってしまうのかと思いきや、ワイルドぶりは失わないのが面白い。若さを武器にして、あとはやりたい放題。先輩たちにも平気で殴りかかる。その激しい性格を別の方法に使えば何とかなったのではと思わなくもないのだが、そこまで世の中は甘くないという事なのだろう。今回はたまたま運が良かったが、そうでなければ彼女とて普通に遊女としての一生を生きるしかなかったはずだ。

 

 荒々しい主人公を演じる原田美枝子の腹の据わった演技が良い。時の経過とともに少しずつ表情も変わって見える。女の一代記といった趣の映画で見入ってしまったが、普通なら人生これからという年頃なのに、もはや今後は余生、みたいなエンディングになんとも言えない気持ちになってしまった。

 

 しかし最近はこういう「おしん」みたいな人生ハードモードの女の一代記はめっきり見かけなくなった。だが、この映画の頃はこんな感じの人生を送っていた人が日本にはまだ多かったということなのだろう。今はまた別の形のハードモードの人生が描かれるようになっているので、映画で描かれる内容は世相を反映し、時代とともに変わっていくという事が実感できる。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 増村保造

 

原作 大地の子守歌 (1974年)


出演 原田美枝子/佐藤佑介/賀原夏子/岡田英次/梶芽衣子/田中絹代

 

音楽 竹村次郎

 

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「バーン・アフター・リーディング」 2008

バーン・アフター・リーディング(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 スポーツジムに落ちていたCD-ROMにCIAの極秘情報が入っていた事から巻き起こる騒動。

 

感想

 豪華キャストで織りなすコメディ。中でもブラッド・ピット演じるジムのインストラクターのいかにも頭の悪そうな感じが良かった。彼の軽薄な行動が事件の引き金となった。その他の登場人物たちもどこか間が抜けていて、見ている間ずっとニヤニヤしてしまう。ここが面白いところですよとわざとらしく強調せず、さらっと描く演出も良かった。

 

 しかも彼らは揃いも揃って行動力だけはある。頭が悪いのに行動力はある、というのは一番有害なやつだ。女のことしか頭にないようなジョージ・クルーニー演じる男が、数日間地下室に籠もって怪しげな作業をしているから何を企んでいるのかと思ったら、とんでもないものを作っていた。そんなものを作っていたのか、なんなのだその無駄な情熱と行動力は、と呆れて笑ってしまう。

 

 

 そして、CIAの極秘情報をもとに情報元の男を脅そうとしたのに失敗したジムの女従業員が、その次に迷うことなくロシア大使館に向かったのには爆笑してしまった。いくら切羽詰まっているとはいえ、国家機密を敵国に売り渡すとなるとさすがに躊躇してしまいそうなものなのに、そういうものはなくて全く何も考えていないのがすごい。しかもそこも駄目なら次は中国に行けばいいとか言っていて、まったく節操がない。思いつきだけでどんどん行動してしまう怖い人だ。

 

 昔はこういうヤバい人ってたまにいるよな、くらいの認識だったが、最近はそういう人たちが思っている以上に世の中にいるらしいことがSNSなどで可視化されており、寒々とした気持ちになってしまう。彼らの、何がおかしいの?と見つめ返してくるキョトンとした顔が恐ろしい。

 

 そんな人間たちによるCIAの極秘情報をめぐるわけの分からないいざこざを、戸惑いながらもテキパキと指示を与えていくJ・K・シモンズ演じる上官のドライさも面白い。そして皆が簡単に死んでいく中で、一番ヤバイ人物だけがなぜか目的を果たすことに成功するという展開は、本当なら納得がいかないはずなのだが、なぜか一周まわってじわじわと笑えてくる。

 

 人が死んだりしながらも終始コミカルなのだが、そんな中でよく考えると、女性に自分の思いに気づいてもらえず、期待に応えようと無理をして頑張った結果死んでしまったジムのオーナーがひとり哀しい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/*編集 イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン

*ロデリック・ジェインズ名義

 

出演

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フランシス・マクドーマンド/ジョン・マルコヴィッチ/ティルダ・スウィントン/エリザベス・マーヴェル/リチャード・ジェンキンス/ J・K・シモンズ/デヴィッド・ラッシュ/オレク・クルパ/ジェフリー・デマン/ダーモット・マローニー/クレア・デインズ

 

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「われに撃つ用意あり」 1990

われに撃つ用意あり

★★★☆☆

 

あらすじ

 長年営業してきたバーを閉める最終日、パーティーの準備をしていたマスターの男は、逃げ込んで来た外国人女性を匿う。

 

感想

 警察とヤクザに追われる外国人女性をひょんなことから匿うことになった主人公。同時に事件を追う刑事の様子も描かれるのだが、その捜査の緊迫感とは対照的に、女性を匿う閉店パーティー中のバーの中は酒場特有のどこか間延びしたような弛緩した空気が流れていて、その落差が面白かった。

 

 パーティー中の会話で分かって来るのは、マスターをはじめ何人かの常連客は全共闘で戦った仲間たちだという事だ。あれから長い時間を経て、かつての活動に対する彼らの認識はそれぞれ違ってきている。武勇伝とする者、終わった事と捉える者、まだ終わってないと形を変えて戦っている者と様々だ。これは何にだって言えることで、太平洋戦争だって時が経てば憎む者、賛美する者が現れている。これがどちらかに偏り過ぎると歴史修正が行われてしまうのかもしれない。

 

 

 主人公は、どこか後悔を残したまま消化不良のまま生きてきた。それを今回の女性の事件にぶつけ、彼の中でそれを清算しているかのようだった。しかし室田日出男に麿赤児、蟹江敬三に佐野史郎と、主人公と対峙するヤクザや警察を演じる役者陣が皆アクが強くて良かった。舞台となる新宿のいかがわしさを表しているかのようだ。それから常連客役の一人、石橋蓮司も定期的に騒いだ後にあっさりと退場してしまい、何だったのだと思ってしまったが面白かった。

 

 クライマックスは思ったよりもあっさりとしていたが、主人公が戦っていたのはヤクザではなく、そんな彼らを生み出した社会だからなのだろう。全共闘世代の総括みたいな映画だと言えるかもしれない。その後、ばらばらになった仲間たちもいざとなれば当時の心意気を見せていて熱かった。原作からそうなのかもしれないが、新宿のヤクザの抗争に巻き込まれた男の話を、こういう形で描くところに若松監督らしさを感じる。

 

 そしてエンディングの主人公とヒロインのやり取りはカッコ良かったが、これは演じるのが原田芳雄と桃井かおりだから成立したと言ってもいい。原田芳雄の序盤のオーバーオール姿はダサすぎると思っていたが、これは終盤に着替えて彼の中でスイッチが入ったことを示すための敢えての演出だったのだなとエンディングを見ていて気付いた。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作    若松孝二

 

原作 新宿のありふれた夜 (角川文庫)(「真夜中の遠い彼方」改題)

 

出演

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桃井かおり/ルー・シュウリン/山口美也子/斉藤洋介/西岡徳馬/小倉一郎/麿赤児/佐野史郎/小水一男/山谷初男/室田日出男/石橋蓮司/蟹江敬三

 

音楽    梅津和時

 

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「バッドボーイズ」 1995

バッドボーイズ (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 押収していた大量のヘロインが盗まれ、事態が明るみになる前に回収を命じられた刑事コンビ。

 

感想

 マーティン・ローレンスとウィル・スミスによるアクションコメディ。この二人だから終始陽気なシーンの連続かと思いきや、意外と前半はしっとりとしたシーンが多い。一応人が死んでいるわけだから、すべてを能天気なままで通すわけにはいかないという事か。物憂い抒情的な音楽を流し、結構しっかりと哀しみのシーンを描いている。コミカルなシーンを際立たせるために落差をつけているというのもあるのだろう。

 

 マーティン・ローレンス演じる主人公が軽快に喋りまくって笑いを取っていくタイプの映画で、この手の映画のもろ刃の剣となる部分ではあるのだが、時々この主人公の喋りが小うるさく感じてしまう時があった。そして言葉数が多いので文字数的に正確に字幕で表現できない制約があるからだと思うが、その割には笑いも薄かった。それから、笑いを取るためだけに用意されたようなシーンがいくつかあり、ストーリー的に少し邪魔に感じてしまった。そんな中で、主人公コンビが勘違いから殺し合いになってしまいそうになるシーンは面白かった。

 

 

 一方のアクションは、程よい間隔で登場して、映画の停滞を上手く防いでいたと言える。ただ少し強引に思える部分もあって、犯人グループがヒロインを誘拐したシーンなどは、いくらなんでもワイルドすぎた。普通に車で逃げればいいものを、わざわざ障害物にバンバンとぶつかっていくし、人を轢きそうになるしで、君らは荒くれ者か、とツッコみたくなってしまった。

 

 クライマックスは、銃撃戦から盛大な爆破シーン、そしてカーチェイスと畳みかけるようにアクションが連続し盛り上がる。ここでも誘拐されていたヒロインが何とか手錠を外せたので逃げ出すのかと思ったら、車で爆発物のドラム缶に突っ込み、自身は途中で飛び降りるという勇ましい行動を何故か急にとって呆気に取られてしまったが。

 

 観客を楽しませることにフォーカスしていて、気楽に楽しむには悪くない映画だったが、最後はちゃんと犯人をそのまま逮捕して欲しかった感はある。

 

スタッフ/キャスト

監督 マイケル・ベイ

 

製作 ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー

 

出演 マーティン・ローレンス/ウィル・スミス/ティア・レオーニ/チェッキー・カリョ/テレサ・ランドル/ジョー・パントリアーノ/マーグ・ヘルゲンバーガー/ネスター・セラーノ/マイケル・インペリオリ/フランク・ジョン・ヒューズ/ジョン・サリー/ショーン・トーブ

 

音楽 マーク・マンシーナ

 

バッドボーイズ (字幕版)

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  • マーティン・ローレンス
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「八月の狂詩曲」 1991

八月の狂詩曲

★★★☆☆

 

あらすじ

 ハワイにいる臨終間近の自分の兄だという男に子供たちが代わりに会いに行っている間、長崎で孫たちを預かることになった老女。タイトルの読みは「八月の狂詩曲(ラプソディー)」。

 

感想

 ひと夏の間、孫たちと暮らすことになった老女。子どもたちが自分の兄だというハワイに住む男に会いに行ったからなのだが、自分の兄弟を思い出せないなんてことがあるのかと驚いた。ただ、はるか昔のことだし、10人以上兄弟がいたというから、そんなものなのかもしれない。しかし兄弟が10人以上もいるなんて想像もできない。

 

 そして老女の記憶を蘇らすために、孫たちが協力して様々な昔話を聞き出していく。おとぎ話的な雰囲気も一瞬あったのだが、最終的には長崎の原爆の話が中心となっていく。テーマがテーマなので当たり前だが、中盤は少し真面目というか、堅苦しさがあった。

 

 

 やがて、老女の夫が原爆で亡くなっていた事を知ったリチャード・ギア演じるハワイの甥が来日したことで、親族たちの間に一瞬気まずい空気が流れる。だがアメリカ国籍とはいえ、彼だって日本にルーツがある血縁なのだから、原爆の話をしたところで気を悪くすることなんて普通はあり得ないだろう。日本人は勝手に相手を慮って忖度してしまうところがあるが、相手がどう思っているかなんて実際に話してみなければ分からない。誤解を避けるためにもちゃんと相手の話を聞き、そして自分の気持ちや意見を伝えることが大事だろう。それをしないで、分かってますから、みたいな態度を取るのは、ある意味で傲慢とさえ言えるかもしれない。

 

 その甥ら親族を交えて、老女が地域の皆と原爆忌の供養をする姿は胸に迫るものがあった。人生でたった一回起きただけのことに、生涯を囚われ続けなければいけないというのは辛い。天変地異ならまだ仕方がないと諦めがつくかもしれないが、それが人為的なものだと色んな人を恨めしく思ってしまいそうだ。

 

 色々なものを奪った原爆を、老女は何十年経っても決して忘れることが出来ない。今でも生々しく記憶が残っていることを窺わせるラストシーンは強く印象に残る。普通だったらセリフでたたみ掛けて、お涙頂戴の感動ものにしたくなるシーンなのに、逆にセリフが少なくなって嵐の音だけとなる演出も良かった。彼女の思いがより強調されていた。

 

 それから、老女を演じた村瀬幸子はこの時、80代中盤だったはずだが、ただ雰囲気でその場にいるのではなく、がっつりと迫真の演技を見せていてすごい。素晴らしかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/編集

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原作 鍋の中

 

製作    黒澤久雄

 

出演 村瀬幸子/大寶智子/鈴木美恵/伊崎充則/井川比佐志/根岸季衣/河原崎長一郎

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八月の狂詩曲

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「ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場」 1986

ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 日常生活で問題ばかり起こしていたアメリカ海兵隊の歴戦の英雄が、久しぶりに現場に復帰する。

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感想

 クリント・イーストウッド演じる主人公は、戦争になると生き生きとするが、平時だと駄目になってしまう定年間近の軍人だ。平和な世の中だと、実戦経験豊富なベテランというのは若手にとって扱いづらい存在なのかもしれない。

 

 勝手に戦争体験がないことにコンプレックスを抱いてしまったり、マニュアル通りではなく、経験に基づいて動く彼らに困惑したりしている。だが有事になると活躍する彼らを、平時に切り捨てずいかに温存しておけるかが国力のバロメーターだと言えるかもしれない。

 

 映画とは全く関係ないが、今の政治家に妙に好戦的な態度を示す人たちが多いような気がするのは、彼らが戦後に生まれた世代だからなのかもしれない。この映画の若手たちと同じように彼らは戦争体験のある上の世代にコンプレックスを抱いており、その裏返しで俺たちも戦えばすごいんだぞと勇ましさをアピールしているように見える。だとしたら幼稚で子供っぽい。戦争体験者をなぜか小バカにするのもこの手の人たちがやりがちなことだ。

 

 主人公は戦えない鬱憤に、酒に酔って暴れてしまうような男だ。だから平時は全くの役立たずなのかと思っていたが、そういうわけでもなく、部隊を訓練し戦える集団にまとめ上げている。だから、たとえ戦争がなくても彼は軍人として優秀なのだろう。

 

 生意気な若者たちを力でねじ伏せ、従わせる。軍規がどうとか言っても結局は腕力がものをいう世界で、そこは動物と変わらないなと痛感する。部下を絶対服従させるために、毎回着ているTシャツを脱がせるくだりは軍隊あるあるの理不尽な仕打ちだが、なんだか面白かった。

 

 主人公の厳しい訓練により次第に部隊に一体感が生まれ、彼らと共に主人公を嫌う若い上司の鼻を明かすことも出来た。主人公は敵に回すと厄介だが、仲間にすると頼もしいことこの上ない。そう思わせることは、戦地で生き残るために必要な事なのかもしれない。さすが軍人として勲章をたくさん授与されているだけのことはある。

 

 

 だがそれと同時に、華やかな戦歴とは裏腹に思うようにいかなかったプライベートを振り返ってしんみりとするシーンもある。このあたりは、人生の終盤を迎えたベテランならではと言えるだろう。別れた妻と再会し、上手くいかなかった理由を聞き出し反省もしている。軍人としては満足しているが、人生に対しては悔いを残している。

 

 若い部隊に自信の経験と魂をしっかり注入し、そのまま老兵はただひっそりと去っていく、という感慨深いエンディングでもよかったような気がするが、ラストにグレナダ侵攻という実戦が待ち受けていた。

 

 映画的に盛り上げたかったというのもあるだろうし、アメリカの観客に平和ボケされても困るというのがあったのかもしれない。その後もアメリカは何度も戦争をしているわけで。ただこの戦争シーンも含めて、描きたかっただろう事のどれもが中途半端にしか描けていないような気がした。

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スタッフ/キャスト

監督/製作/出演

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出演 マーシャ・メイソン/エヴェレット・マッギル/モーゼス・ガン/マリオ・ヴァン・ピーブルズ/アイリーン・ヘッカート/ボー・スヴェンソン/トム・ヴィラード

 

音楽 レニー・ニーハウス

 

撮影 ジャック・N・グリーン

 

ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場 - Wikipedia

 

 

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「死の棘」 1990

死の棘

★★★☆☆

 

あらすじ

 自身の浮気をきっかけに心を病んでしまった妻の面倒を見る夫。

 

感想

 浮気をされた妻が延々と主人公である夫をなじり続ける映画だ。誰の立場で見るかによるが、なんだかずっと針のむしろに座っているようで、居たたまれない気持ちになってしまった。浮気をした相手への嫌がらせや、浮気の疑いのある相手の反応を確かめるために一緒に見るには最適な映画かもしれない。地獄を味わすことが出来る。

 

 ただ人間というものは、ずっと責められっぱなしだと反発したくなるもので、この主人公もつい開き直った言葉を吐いてしまうのだが、妻の「あれ?反省しているはずの男が反論しているよ?」みたいな返しが面白く、そして怖かった。こんな状態が続けば自分までもがおかしくなってしまうのは当然で、主人公も時々発狂したように我を失っていた。

 

 

 そして段々と妻に従順になっていく主人公。演じる岸部一徳の感情がなくなってしまったかのような死んだ顔が素晴らしい。終盤の浮気相手との修羅場で荒ぶる妻とそれに従うしかない夫の姿は、まるでヤバい宗教団体の教祖様と洗脳された信者のようだった。だけどそれくらい夫は妻を愛しているという事なのだろう。

 

 静かで陰気な雰囲気がずっと続き、時々不協和音が鳴り響いて落ち着かない気分を増幅させる。ただ淡々としたテンポで続く展開は、誘惑の多い自宅で見ていると気が散りそうになった。映画館だと気が散る要素があまりないので、それが映画館で映画を見る利点と言えそうだ。すぐにチャンネルを変えられてしまうテレビと映画との違いとも言える。

 

 どんな形であれ、この辛い状況にいち早く終止符が打たれることをどこかで望む気持ちもありながら、それでもやっぱり妻の回復を願ってしまう主人公のなんとも言えないラストの表情が印象的だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小栗康平

 

原作

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出演 松坂慶子/岸部一徳/木内みどり/平田満/浜村純/白川和子

 

死の棘

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「ムーンライズ・キングダム」 2012

ムーンライズ・キングダム(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 アメリカの小さな島で暮らす周囲に馴染めない少年は、文通していた同じ島に住む少女と駈落ちする。

 

感想

 映画冒頭、少女の家の内部が家族の様子と共に映し出されていくのだが、その映像がいつものウェス・アンダーソン監督らしい可愛らしい映像で展開されて、いきなりほっこりする。その後もこんな感じの映像が続くのだが、このテイストを保ち続けるのはかなり大変そうだ。だが、彼にかかれば何の変哲もない島の風景がこんなにも可愛らしくなってしまうのだからすごい。完全に一つの世界観が出来上がっている。

 

 映画は、ボーイスカウトでキャンプをしていた主人公が脱走し、文通していた少女と駈落ちをする物語。逃走中にたった一人でボートを漕ぎ、火を起こし、そして野宿する主人公の姿はとても頼もしい。ボーイスカウトはカッコいいなと思ってしまった。

 

 そして落ち合った少女との会話もスマートで、頭が良すぎて一人で何でもしようとしてしまうから、彼は皆から浮いてしまうのだろうなと見当がつく。孤独な主人公と皆と上手くやれない少女が惹かれ合うことになったのは必然なのかもしれない。思ったよりも大人びた事をするので少し驚いたが、誰もいない島の入り江で二人きり、つかの間の幸福な時間を過ごすシーンは、なんだかこちらまで幸せな気分になってしまう良いシーンだった。

 

 

 それからコミカルなシーンも多く、ガムを噛みながら二人の愛は本物だと訴えていたら、どうにも真剣味が感じられないから一旦ガムを噛むのを止めてもらえるか?とお願いされていたのは笑えた。欧米ではそういう事には無頓着かと思っていたので、案外彼らも同じような事を考えているのだなとなんだか安心してしまった。それと少女の両親と警察、それにボーイスカウトの隊長が言い争うシーンも面白かった。大人が人前もはばからず真剣に揉めている様子は滑稽だ。大爆笑ではなく、くすりと笑えるシーンがたくさん散りばめられている。

 

 少年少女のひと夏の真剣な恋物語、といった感じで、見ているとノスタルジックであたたかな気持ちになれる。主人公を仲間外れにしていたボーイスカウトの仲間たちが、途中から協力に転じたのも良い話だった。ただ、はみ出し者の二人にノアの箱舟、それに雷に打たれたりと、どこか聖書ぽい出来事がいくつかあるので、可愛らしい映像でそうは感じさせないが、実はもっと深い意味が込められているような気もした。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ウェス・アンダーソン

 

脚本 ロマン・コッポラ

 

出演 ジャレッド・ギルマン/カーラ・ヘイワード/ブルース・ウィリス/エドワード・ノートン/ビル・マーレイ/フランシス・マクドーマンド/ティルダ・スウィントン/ジェイソン・シュワルツマン/ハーヴェイ・カイテル/ボブ・バラバン

 

音楽 アレクサンドル・デスプラ

 

撮影 ロバート・D・イェーマン

 

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