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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「怪盗グルーの月泥棒」 2010

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ライバルに奪われた道具を取り戻すため、子どもを利用しようと考えた悪党は、孤児院から3人の姉妹を引き取る。

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 原題は「Despicable Me」。シリーズ第1作目。

 

感想

 月を盗もうとする怪盗が主人公だ。だがこの主人公が、隣人に嫌味を言ったり、行列に割り込んだりするような性格の悪い嫌な奴で、主人公よりも悪役に相応しそうなキャラなのが面白い。

 

 主人公はライバルと競って世界一の大泥棒を目指している。このライバルもまた感じの悪い男で、悪役のような主人公にはお似合いの競争相手だ。互いに邪魔し合いながら仲良く喧嘩している。

 

 

 月泥棒の準備を進める中で、主人公は幼い三姉妹と出会う。当初はライバル宅へ侵入するための道具として子供を利用していただけなのだが、次第に情が移り、絆が生まれる。嫌な奴だった主人公が心優しい人間味のある男へと変わっていく、ほっこりとするストーリーだ。

 

 ライバルとの争いや幼い三姉妹との交流が描かれていく中で、いいアクセントとなっているのがミニオンズたちの存在だ。この黄色い小さな生き物たちがちょこまかと賑やかに動き回ることで飽きさせない。見ているだけで楽しい気分になる。

 

 ミニオンズたちは意味不明の言葉を喋るので、基本的には動きだけで意志や感情を表現する。チャップリンのように分かりやすくて、子供たちに人気があるのも納得だ。ただ、最初の登場時にはこの物語には馴染まないような唐突な印象があった。無理やりアイデアをねじ込んだ感じだったのだろうか。

 

 絵本のようなシンプルな物語だ。余白が多くて深みはないが、映像の楽しさで見せる映画となっている。分かりやすいのでかなり小さな子供から楽しめそうだ。 

 

スタッフ/キャスト

監督/出演(声) ピエール・コフィン/クリス・ルノー

 

出演(声) スティーヴ・カレル/ジェマイン・クレメント/ジェイソン・シーゲル/ラッセル・ブランド/ミランダ・コスグローヴ/エルシー・フィッシャー/ジュリー・アンドリュース/ウィル・アーネット/クリステン・ウィグ/ダニー・マクブライド/ジャック・マクブレイヤー /ミンディ・カリング/ケン・チョン

 

音楽 ハンス・ジマー/ヘイター・ペレイラ/ファレル・ウィリアムス

 

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

  • スティーヴ・カレル
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怪盗グルーの月泥棒 3D - Wikipedia

 

 

関連する作品

次作 シリーズ第2作目

 

スピンオフ作品

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「罪の声」 2020

罪の声

★★★☆☆

 

あらすじ

 菓子会社への脅迫などで昭和を騒がした未解決の劇場型犯罪を改めて取材することになった新聞記者は、脅迫で使われた子供の声の主と出会う。

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 グリコ・森永事件をモチーフにした物語。142分。

 

感想

 未解決の昭和の大事件、製菓会社に対する一連の脅迫事件の真相を探る物語だ。その意義をあまり理解していない新聞記者の主人公が外側から、幼少時に自分の声が脅迫に使われたことを知った仕立て屋の男が内側から調査を進めていく。どっちがどの取材をしたのか若干混乱するところはあったが、別々に調査を始めた二人がお互いの存在にたどり着き、一つにつながる過程は見ごたえがある。

 

 モチーフになったグリコ・森永事件の史実に沿った内容となっているようだが、事件に利用された子供たちに焦点を当てているのが面白い。本人は物心がつく前で覚えていなかっただろうから、大人になってそれを知ったら大いに戸惑うはずだ。知らないうちに大事件に関与していたなんて気分がいいものではないだろう。しかも、もう時効を迎えているので警察に届けても仕方がなく、どうしようもない。

 

 

 仕立て屋の男がその事実を知ってどうしていいか分からず、落ち込んでしまった気持ちはよく分かる。気持ちを整理するために真相を知ろうとするのは当然だろう。ただ誠実な性格のせいなのか、出会ったばかりでまだよく知らない人たちに「実は自分があの声の主なんです」と正直に打ち明け過ぎなのは気になった。変な噂が広まりそうで心配してしまう。

 

 主人公と仕立て屋の男、ついに出会った二人が協力し、真実はとんとん拍子に明らかになっていく。雑な計画でも割と大丈夫だった昭和の事件だし、仕立て屋の男からは内部情報があったので、このあたりは納得感がある。

 

 しかしいざ真実が明らかになってしまうと、案外とたいしたことないな、というのが素直な感想だ。そこらの無法者たちが集まっただけの、ありふれた反社集団による犯罪だ。だが真実なんて、明らかになってみるとそんなものかもしれない。ただ、身代金ではなく株価操作で大金を手にしようとしていたという説は興味深かった。

 

 ミステリーとしては楽しめたのだが、浪花節的ウェットなエピソードがたっぷりで、だいぶそれがしんどかった。これは実際の事件をモチーフにしているので、ドキュメンタリー的になるのはある程度仕方がないのかもしれない。実際、あの事件の関係者たちが今どうしているのかは関心がある。

 

 だが日本のミステリーは、こんなどんよりしたものばかりになりがちなので、たまにはカラッとしたのも見せてくれよと思ってしまっった。

 

スタッフ/キャスト

監督 土井裕泰

 

脚本 野木亜紀子

 

原作 罪の声 (講談社文庫)

 

出演 小栗旬/星野源/松重豊/宇野祥平/古舘寛治/市川実日子/火野正平/宇崎竜童/梶芽衣子/阿部亮平/木場勝己/橋本じゅん/佐藤蛾次郎/宮下順子/塩見三省/正司照枝/岡本麗/須藤理彩

 

罪の声

罪の声

  • 小栗旬
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罪の声 - Wikipedia

 

 

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「五線譜のラブレター DE-LOVELY」 2004

五線譜のラブレター de-lovely

★★★☆☆

 

あらすじ

 死を間近に控えた男は、自身の生涯を振り返るミュージカルを鑑賞する。

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 20世紀半ばに活躍した作曲家コール・ポーターの半生を描く。

コール・ポーター - Wikipedia

 

感想

 作曲家コール・ポーターの半生が妻との関係を中心に描かれていく。ただ彼は同性愛者で妻もそれを理解した上での結婚生活は、正直なところよく分からなかった。

 

 お互いが納得しているのなら夫婦の形なんてどうだっていいが、その機微がもうちょっと分かるように描いて欲しかった。二人に絆があったことは確かなのだろうが、何が二人を結び付けていたのかは見えてこなかった。ほぼ外から見た夫婦の姿しか描かれていない印象だ。

 

 

 その代わりに力を入れているように見えたのは、主人公の数々の代表曲を紹介する事だ。しっかりとミュージカル形式で再現していて楽しい。ただあまり自分が知っている曲がなかったので、いまいち盛り上がり切れなかったところはある。

 

 終盤は人生の終局の物悲しさが伝わってくる内容で、しんみりとしてしまった。どんなにお金があっても、どんなに幸せな人生を送っていても、歳を取れば次第に周りの人々が去っていき、最後は寂しいものとなる。主人公らには子供がいなかったことも大きいだろう。

 

 長生きしたいと思っていても、最後の一人になるまで長生きしてしまうのは考えものだ。浦島太郎と同じように、とてつもない孤独を味わうことになる。結局は周囲の人たちをほどほどに送り、ほどほどに残して死ぬのが一番幸せな最期なのだろう。色々と考えてしまった。

 

 芸術家らしく最後まで気高くあろうとする主人公の姿には胸を打たれる。スポットライトの二人がピアノの前で見つめ合うラストシーンが心に残る。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 アーウィン・ウィンクラー

 

出演 ケヴィン・クライン/アシュレイ・ジャッド/ジョナサン・プライス/ケヴィン・マクナリー/ジェームズ・ウィルビー/ケヴィン・マクキッド/ジョン・バロウマン/ララ・ファビアン

 

音楽 コール・ポーター/スティーブン・エンデルマン

 

五線譜のラブレター de-lovely

五線譜のラブレター de-lovely

  • ケヴィン・クライン
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五線譜のラブレター - Wikipedia

 

 

登場する人物

コール・ポーター/モンティ・ウーリー/ルイス・B・メイヤー/アーヴィング・バーリン/セルゲイ・ディアギレフ/ボリス・コフノ/エセル・マーマン

 

 

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「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」 2011

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 月の裏側に墜落していた宇宙船から見つかった高度な装置をめぐり、トランスフォーマー同士の戦いが再び始まる。

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 シリーズ第3作目。

 

感想

 今回のトランスフォーマー同士の戦いは、月の裏側に眠っていた伝説の戦士と高度なシステムをめぐるものだ。そんな事実があったなんて初めて聞いたのだけど、なんで今まで教えてくれなかったの?と言いたくなるが、後から続々と新事実が明らかになるのは、シリーズあるあるではある。

 

 ちなみに今回から主人公の恋人が変わってしまっているが、これもまたシリーズあるあるだ。

 

 人間側のオートボットが伝説の戦士を蘇らすも裏切られ、ロボット同士の新たな全面戦争が始まってしまう。オートボットのやらかしが原因なこともあって、ロボット同士が勝手に地球で戦っているだけ、というこれまでくすぶっていた疑念を浮き彫りにしている。

 

 これがきっかけでオートボットと人類の協力体制が崩れてしまい、敵の術中へとハマっていく。敵の真意に気付くも首脳陣を止められなかったジョン・タトゥーロ演じる男が、人類が侵略されていた時あなたは何をしていたのですか?と将来聞かれたら、「ただ見ていた」と答えることになるのかと嘆いていたのは印象的だった。

 

 

 しかし世の中を見ていると、現実には「見ていた」ですらなく、「見て見ぬふりをしていた」となるような気がする。薄々気づいていたのに、まさかそんなことになるとは思わなかったと言い訳できる余地を残すため、見ていなかったことにしようとしている。

 

 そしてシカゴを舞台に両者の大決戦が始まる。このクライマックスは圧巻だ。ラストは一時間にわたる大迫力の戦闘が繰り広げられて、ただただ圧倒される。

 

 途中でふと、ところでどうしてこんな戦いになっているんだっけ?と振り返ろうとしたが、もはやそんなことはどうでもいいような気がして止めてしまった。バーン!と来てドーン!となるスペクタクルな映像の連続を、頭を空っぽにしてただ楽しめばいいではないかという気がしてきた。

 

 巨大なロボット同士の戦いも良かったが、そこに乗り込んでいく主人公ら人間部隊の活躍がいいアクセントになっている。やはりロボット同士の戦いよりも感情移入できるせいか、グッと力が入って見入ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作総指揮 マイケル・ベイ

 

製作総指揮

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ブライアン・ゴールドナー/マーク・ヴァーラディアン

 

出演 シャイア・ラブーフ/ロージー・ハンティントン=ホワイトリー/ジョン・タトゥーロ/ジョシュ・デュアメル/タイリース・ギブソン/パトリック・デンプシー/アラン・テュディック/ケヴィン・ダン/ジュリー・ホワイト/ジョン・マルコヴィッチ/ケン・チョン/フランシス・マクドーマンド/ラヴィル・イシヤノフ/グレン・モーシャワー/エリヤ・バスキン/バズ・オルドリン/ビル・オライリー/ウォルター・クロンカイト/(声)ピーター・カレン/(声)ヒューゴ・ウィーヴィング/(声)レナード・ニモイ/(声)ジェス・ハーネル/(声)ジェームズ・レマー/(声)トム・ケニー/(声)フランチェスコ・クイン /(声)ジョージ・コー/(声)チャーリー・アドラー/(声)フランク・ウェルカー /(声)キース・ザラバッカ /(声)グレッグ・バーグ 

 

音楽 スティーブ・ジャブロンスキー

 

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン - Wikipedia

 

 

登場する人物

ニール・アームストロング/バズ・オルドリン/ロバート・マクナマラ/ジョン・F・ケネディ/ビル・オライリー/リチャード・ニクソン/ウォルター・クロンカイト

 

 

関連する作品

前作 シリーズ2作目

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次作 シリーズ第4作目

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「おかしな奴」 1963

おかしな奴

★★★★☆

 

あらすじ

 兵隊に憧れるも徴兵検査で不合格にされた男は、家を出て落語家を目指す。終戦直後に人気を博した落語家・三遊亭歌笑(三代目)の伝記映画。

三遊亭歌笑 - Wikipedia

 

感想

 落語家の三遊亭歌笑の人生を描く物語だ。まったく存在すら知らなかった人だが、当時は「昭和の爆笑王」と呼ばれて大人気だったらしい。そんな一世を風靡した人気者なのに、50年も経てばほぼ誰も知らない存在になってしまうわけだから、歴史に名を残すのがいかに難しいことなのかがよく分かる。

 

 主人公を演じるのは渥美清だ。本人に寄せてはいるのだろうが、落語のシーンなどは彼の語りの素晴らしさが活かされていて、普通に聞き入ってしまう。声は聞き取りやすく、調子も良く、スッと頭に入ってくる。これぞ話芸というものだろう。

 

 師匠や兄弟弟子、演芸場の連中など、様々な人たちに囲まれて、主人公が成長していく姿が面白おかしく描かれていく。そんな中で印象的だったのは、主人公が想いを寄せる若い女性を演じた三田佳子だ。

 

 

 自分の中では中年の頃のイメージが強い彼女だが、若い頃は普通にヒロインぽさのある美女だったのだなと感心してしまった。当たり前と言えば当たり前なのだろうが。特に戦争で変わってしまい、ケバケバしい格好をするようになってからはそれがますます際立っていた。今の若い女優と比べても遜色がない。しかも細い。

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 主人公は、変わらざるを得なかった彼女や、徴兵を苦にして心を病んだ兄弟子を見て、戦争やそれを始めた国家に対して反感を示している。非常時になれば真っ先に不要とされてしまう彼のような商売だと、敏感にならざるを得ないところもあるのだろう。そしてそんな時代の空気を感じ取る力や、それを笑いに変えられる力がなければ売れることはない。

 

 同業者の嫌がらせにも屈することなく、己の道を見つけ、それを貫いて売れていく主人公の姿には胸が熱くなる。そして散々苦労させた妻にもようやく楽をさせられるようになったとホッとした矢先、散々フラグを立てた後にやって来るあまりにも悲しい出来事には言葉を失ってしまった。これもまた戦争がなければ起きなかった悲劇だ。彼の人生に思いを馳せてしまう。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 沢島忠

 

出演

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加藤嘉/清川虹子/南田洋子/坂本武/三田佳子/石山健二郎/佐藤慶/春風亭柳朝(5代目)/田中邦衛/十朱久雄/渡辺篤

 

おかしな奴[公式] - YouTube

 

 

登場する人物

三遊亭歌笑(三代目)

 

 

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「THE BATMAN-ザ・バットマン-」 2022

THE BATMAN-ザ・バットマン-(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 市長や警察本部長、検事らゴッサムシティの有力者たちが次々と殺され、犯人を追うバットマン。

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 「バットマン」リブート作。「バットバース」の第1作目。176分。

 

感想

 市長や検察官など、ゴッサムシティの有力者たちが次々と殺され、バットマンが犯人を追う物語だ。犯人が残した謎を解いていくミステリー風味で、ヴィランと派手に戦うバットマンを期待していたら肩透かしを食らう。

 

 タイトルをつけるなら「名探偵バットマン」といったところだが、このストーリーならバットマンである必要はないのでは?と思ってしまった。だが、元々コミックで登場した当初のバットマンには探偵ものの要素があったようなので、それを知っている人には違和感はないのだろう。ハードボイルドな探偵ものの雰囲気を醸し出している。

名探偵ピカチュウ(字幕版)

名探偵ピカチュウ(字幕版)

  • ジャスティス・スミス
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 バットマンはビシバシと謎を解いていくわけではない。難解そうなものに関しては皆で謎を解き、彼はなぞなぞみたいな簡単そうなものだけを即答する。その姿がなんとなく賢しらなちびっこ探偵みたいで可笑しかった。しかもすべて事件後に謎が解けるだけの後追いで、事件を未然に防ぐことは出来ていない。

 

 それにスーツ姿の大人たちの中にひとりバットマンのコスプレをして混じっている様子は、ヤバい奴感が滲み出ている。スーパーヒーローものの宿命ではあるが、これら違和感に気を取られてしまって物語に没入しづらかった。

 

 映画は、重く暗いダークな空気をまとっている。これが重厚さとなって心にズシリと響いてくるわけでもなく、重苦しい雰囲気を吹き飛ばすような爽快なシーンが待ち受けているわけでもなく、ただただ陰鬱なだけなのが辛い。クリストファー・ノーラン版や初期のDECU、関連する「ジョーカー」の世界観を踏襲しているのだろうが、特に見るべきものは無かったように感じる。

 

 

 そしてやはりリブート疲れみたいなものもあるかもしれない。またそのくだりか、と思ってしまっている自分がいた。だいぶ飽きている。

 

 それでも2時間くらいで終わってくれればそんなに印象は悪くなく、これまでとは違って今回のバットマンは…などと考察してみる気にもなったかもしれない。だがさすがに上映時間3時間はしんどい。見終わった時には「とにかく長かった」以外の感想が思い浮かばなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 マット・リーヴス

 

脚本 ピーター・クレイグ

 

原作 BATMANオリジナル・コミック 日本語版


出演 ロバート・パティンソン/ゾーイ・クラヴィッツ/ポール・ダノ/ジェフリー・ライト/ジョン・タトゥーロ/ピーター・サースガード/アンディ・サーキス/ルパート・ペンリー=ジョーンズ/ピーター・サースガード/バリー・コーガン

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音楽 マイケル・ジアッチーノ

 

THE BATMAN-ザ・バットマン-(字幕版)

THE BATMAN-ザ・バットマン-(字幕版)

  • ロバート・パティンソン
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THE BATMAN-ザ・バットマン- - Wikipedia

 

 

関連する作品

次作(2025年公開予定) 

「THE BATMAN-ザ・バットマン-2」

 

 

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「チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2」 1985

チャック・ノリスの地獄のヒーロー2

★★★☆☆

 

あらすじ

 ヘリの事故により捕虜となった主人公率いる部隊は、ベトナム戦争後も解放されず、収容所で非人道的扱いを受け続ける。

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 原題は「Missing in Action 2: The Beginning」。シリーズ第2作目。

 

感想

 すでに帰国していた前作よりも時系列的には前の、主人公の収容所時代が描かれる。ベトナム戦争が終結したにもかかわらず、主人公と部下たちは陸の孤島のような場所で強制労働をさせられ、虐待されている。

 

 前半は主人公らが虐げられるシークエンスが延々と続く。戦争は終わったのだから、敵もさっさと開放すれば楽なのにと思ってしまうが、捕虜たちを戦争犯罪者に仕立て上げることで、国際的に有利な立場に立ちたいとの思惑があったのだろう。

 

 

 戦争犯罪を認める嘘の署名をさせようと、主人公らは様々な拷問を受ける。そんな中で印象的だったのは、飢えたネズミが入った袋を頭にかぶせるものだ。顔を齧らせようとするものだが、拷問はやる側の創意工夫や発想力が試される側面もあるのだなと思わずにはいられない。

 

 そんな酷いことをよく思いつくなと感心しながら見ていたのだが、血の色に染まっていった袋を取ってみれば、主人公が逆にネズミを噛み殺していた、というオチは面白かった。

 

 散々痛めつけられても耐えていた主人公だったが、こらえきれなくなって後半についに爆発する。まるで任侠映画のような構成だ。

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 まず主人公は、密かに手に入れた爆薬で反撃の狼煙を上げるのだが、その爆破シーンが前作同様に激しいもので見ごたえがあった。ただあまりにも派手に爆発させまくるので、主人公に危ない爆弾魔のような雰囲気がなくもない。

 

 クライマックスはラスボスとの直接対決だ。それまでには主人公の絶対に部下を見捨てない姿や、裏切ったと思っていた元仲間が体を張って皆を守る姿があったりして、否が応でも盛り上がる展開となっている。

 

 前作のいまいち焦点が定まらなかったプロットとは違い、今回は王道の分かりやすさがある。なによりも、ただ収容所からこっそり脱走するのではなく、散々自分たちを痛めつけてきた者たちを全員叩き潰そうとするのがいい。カタルシスがあって楽しめた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ランス・フール

 

製作 メナハム・ゴーラン/ヨーラン・グローバス

 

出演 チャック・ノリス/スーン=テック・オー/スティーヴン・ウィリアムズ/プロフェッサー・トオル・タナカ/リック・セグレト/ミーシャ・ハウザーマン

 

音楽 ブライアン・メイ

 

チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2 - Wikipedia

 

 

関連する作品

前作

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次作

 

 

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「恋は光」 2022

恋は光

★★★★☆

 

あらすじ

 恋する女性が光って見える能力を持つも恋愛には無縁だった青年は、大学の一風変わった女性に興味を持ち、幼馴染の女性を介して交換日記を申し込む。

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感想

 恋愛に無縁だった男子学生が主人公だ。恋する女性が光って見える能力を持つだけでなく、何かと分析をしたがる面倒くさい性格をしている。そんな男がある女性に関心を持ち、交換日記を始めたことから物語が始まる。

 

 彼女が置き忘れたノートに気付いたことをきっかけに二人は出会うのだが、主人公がそのノートを開いた途端に校閲を始めたのには引いてしまった。何が書いてあるのかなとちょっと読んでみたら気になってしまい、我慢できずについ、なら分かるが、いきなりだった。他人のノートに躊躇なく書き込みするとはさすがに怖い。

 

 それに対して怒りもせず、しかも交換日記なんかを一緒に始めてしまう彼女もまた変わり者で、恋について二人で議論し合う関係となる。両者とも独自の世界を持っており、恋に不器用で生真面目なだけなのだが、外からだと相当なひねくれ者の二人に見える。普通ならあまり親近感を持てないが、彼らには謙虚さがあるので温かく見守れる。きっとこれくらい特殊な設定でないと、印象に残るような恋愛映画は作れないのかもしれない。

 

 この二人に加えて、主人公をずっと想い続ける幼馴染の女性と、他人の男をすぐに略奪したくなる女性も登場し、あわせて四人による恋愛模様が描かれていく。主人公は恋愛に関心を持った途端にモテすぎだろ、と思わなくもないが、キャラの立った三人の女性たちそれぞれとのやりとりが面白い。

 

 なかでも第三の女で、ヒールであるはずの馬場ふみか演じる女性がいいキャラクターだ。恋愛経験がほぼゼロで、フワフワして地に足が付いていない他の三人に、恋愛のリアルを突き付ける。彼らにとっては怖い存在なのに、「宿木嬢」とか呼ばれちゃう感じもなんだか良くて、憎めない。それに一人の男を取り合う状況にもかかわらず、三人の女性たちに友情らしきものが芽生えているのも微笑ましかった。

 

 

 恋愛映画特有の気恥ずかしさのあるシーンではそれを回避するような展開を作り、ツッコみたくなるシーンにはちゃんとフォローを入れて、やりっぱなしにしない演出には好感が持てる。序盤の引いてしまったシーンにも、後で言い訳が用意されていた。終盤の美術館のシーンでは、館内での主人公の大声が気になったが、きっと回収してくれるはず、という信頼感があった。

 

 恋愛にはいろんな形があり、どれを重視するかは人それぞれだ。

 

 ラブストーリーは、ベタなことを全力でやるのが醍醐味、と考える人には物足りないかもしれないが、そうでない人にとってはちょうど良い力の抜き加減で、無理せず楽しめる恋愛映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小林啓一

 

原作 恋は光 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


出演 神尾楓珠/西野七瀬/平祐奈/馬場ふみか/伊東蒼/宮下咲

 

撮影 野村昌平

 

恋は光

恋は光

  • 神尾楓珠
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「モッド・スクワッド」 1999

モッド・スクワッド (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 刑務所に入る代わりに潜入捜査官になった三人の若者は、ボスが殺された事件の真相を追う。

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 テレビドラマ「モッズ特捜隊」のリメイク作品。

 

感想

 潜入捜査官となった元犯罪者の若者三人が主人公だ。だが彼らの素性や立場が全然わからない。彼らがどのように潜入捜査官となったのか、どのような権限があるのか、仕事に対する情熱はどれほどあるのか等がまったく説明されないままに物語が始まってしまった。元々テレビドラマだったのでそれに甘えてしまったのかもしれないが、せめて最小限の説明は欲しかった。

ニキータ (字幕版)

ニキータ (字幕版)

  • アンヌ・パリロー
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 前提知識を与えられないまま見ると、メインの三人はただのいけ好かない若者たちでしかない。態度は悪くて上司の言うことも聞かず、仕事中でも異性とじゃれ合ったりしている。仕事への情熱が全く感じられず、刑務所にいるよりはましかと仕方なくやっているだけのように見える。当然、他の警官たちの反感を買って衝突もしているのだが、正直なところ、主人公たちよりも他の警官たちの肩を持ちたくなってしまう。全然彼らに共感できない。

 

 任務中に彼らの直属のボスが何者かに殺されてしまい、主人公らはその真相を追うことになる。ただ、彼らとボスの関係性が全く描かれていないので、その死がどういう意味を持つのかがよく分からない。信頼していたボスを殺されて怒りに燃えているのか、特になんとも思っていないのか。彼らの気持ちが見えてこないままにズルズルと捜査が行われていく。

 

 

 その捜査も行き当たりばったりだ。まるで無分別で思慮のない若者の刑事ごっこを見ているかのような気分になる。しかも三人がバラバラな動きをしているのでスクワッド感もなく、白けた気分で捜査の行方をただ眺めるしかなかった。中でも、ただの情緒不安定な若者にしか見えない金持ち家庭出身の男には、イライラさせられっぱなしだった。

 

 終始何をやっているのか分からない、と言うか、何をやっているのかは分かるのだが何をモチベーションにやっているのかがよく分からない映画だった。カッコよく見せるシーンも、笑わせるシーンもすべからくスベっているのもキツい。

 

 クールで小粋な佇まいをしながらも、完全なる見掛け倒しになってしまっている。良かった所は、音楽とクレア・デインズの美貌くらいだった。 

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 スコット・シルヴァー

 

出演 クレア・デインズ/オマー・エップス/ジョヴァンニ・リビシ/デニス・ファリナ/ジョシュ・ブローリン/スティーヴ・ハリス/リチャード・ジェンキンス/ラリー・ブランデンバーグ/ライオネル・マーク・スミス/デイ・ヤング

 

音楽 B・C・スミス

 

 

 

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「ブルーベルベット」 1986

ブルーベルベット (オリジナル無修正版) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

★★★☆☆

 

あらすじ

 父親の入院をきっかけに故郷に戻ってきた大学生の男は、見舞いの帰り道で切断された耳を発見する。

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感想

 主人公が切断された耳を発見し、好奇心から事件に首を突っ込んだことから、異常な世界に引き込まれていく物語だ。

 

 ただ主人公にも最初からおかしなところがあった。野原で切断された片耳が落ちているのを発見したら、普通は警察に通報するだけだが、彼はそれを拾って袋に入れ、わざわざ警察に持っていく。虫が群がる人間の断片を素手で触るなんて気色が悪くて自分にはとても無理だが、主人公は平気でそれが出来てしまうわけだから、元々彼は異常な世界との親和性が高かったと言える。

 

 

 それに、事件に対する好奇心とはいえ、法を犯してまでグイグイと勝手な捜査にのめり込んでいく姿も常軌を逸していた。事件との関係が疑われる女の家に忍び込み、その生活を覗き見る。

 

 ここまでは主人公の好奇心が暴走しているだけの印象だったが、女にその存在がバレて、脅されて関係を迫られるようになってからはその様相が変わる。ここからは逆に異常な世界に飲み込まれていく。

 

 この異常な世界を代表するのが、犯人と思しき男だ。この男を演じるデニス・ホッパーの存在感が凄かった。目はギラつき、支離滅裂な言動で、危険な雰囲気をプンプンと漂わせている。彼の出演する映画はいくつか見てきたはずだが、こんなに凄みがあったっけ?と思ってしまうほどの怪演だった。

 

 後半は、デビッド・リンチ監督らしい妖しくも分かりづらい演出が増えてくる。だがよく分からないなりにも、その奇妙な世界観を楽しめた。中でもロイ・オービソンの「In Dreams」の口パクをするシーンはグッと来る。奇妙で惹きつけられるシーンだ。

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 事件を解決して主人公が日常を取り戻し、エンディングを迎える。しかしこれまでと違うのは、何気ない日常と異常な世界は正反対のものではなく、隣りあわせのものだと理解していることだろう。隣りあわせというよりは同居していると言った方がより正確かもしれない。平和で心和む芝生の庭も、よく目を凝らせば醜く虫が蠢いているし、愛の象徴であるコマドリだって不気味な昆虫を食べている。ラストで、眉を顰める家族とは対照的に、そんなコマドリを穏やかに眺める主人公と恋人の姿が心に残った。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 デヴィッド・リンチ

 

出演 カイル・マクラクラン/イザベラ・ロッセリーニ/デニス・ホッパー/ローラ・ダーン/ジョージ・ディッカーソン/ディーン・ストックウェル/ホープ・ラング

 

音楽 アンジェロ・バダラメンティ

 

ブルーベルベット

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「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」 1984

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

★★★★☆

 

あらすじ

 文化祭を目前に控え、慌ただしい日々を送っていた主人公たちだったが、日常空間に異変が生じていることに少しずつ気付いていく。

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 人気テレビアニメの劇場版シリーズ第2作目。

 

感想

 意味深なオープニング、そしてタイトルバックの後、主人公らが忙しなく文化祭の準備をする高校の様子が映し出され、物語が始まる。人がわちゃわちゃいて、ガチャガチャと好き勝手に動いているカオス感がいかにも80年代らしかった。ドタバタのコメディぽい空気に満ちている。

 

 だが物語は不思議な方向に進んでいく。騒々しさの中に静かで奇妙なシーンを挿入することで、非日常的な世界へと導いていく演出が上手い。自然とSFな世界へと引き込まれていた。

 

 

 いくつかの不思議な体験を経た後、主人公らは廃墟のような世界で生きることになる。だが生活に必要なものはなぜか揃っており、好きなだけ食べて、水辺で遊んだり映画を見たりして遊ぶ毎日だ。永遠の夏休み感がある。まるで天国のようで悲壮感はないのだが、どこか気だるく虚無感が漂っているのが印象的だ。満ち足りた日々に飽いている。

 

 そして主人公らが、この不思議な世界にいることを大して気にしていないのが、アニメならではで良い。適度にコミカルさを漂わせつつ、ある意味で哲学を感じさせるような、深みのある物語が展開される。「インセプション」など、これまで話題になった様々なSF映画を想起してしまうような内容になっていて感心してしまった。

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 また、ここで描かれている終わりなき日常は、登場人物らが何年経っても歳を取らず、同じ設定のままで永遠に続く漫画の中の世界をネタにしているようにも見える。確かにそんな設定で生きている彼らからしたら、同じ一日が繰り返されようが、同じような日々が続こうが、今さら気にすることではないのかもしれない。

 

 しかしそもそもはラブコメなのに、こんな変化球の内容を劇場版でやってしまうこと自体がすごい。「サザエさん」が、劇場版では超絶SFになっていたみたいなものだろう。当然観客が期待していたものとは違ったはずで、賛否両論あったそうだが、それでも割とすぐに評価されたというのもまたすごい。このタイプの作品は、最初は非難轟々だったが次第に評価されるようになった、となりそうなものだが、観客もレベルが高かったということだろうか。

 

 今ならすぐにネットで賛否どちらか一方に傾いた空気が作られてしまい、時おり逆張りする人や明後日の方向を向いた意見を言う人が出てくる感じだが、ネットのない当時は、皆がそれぞれに意見を持って周囲の仲間たちと熱心に語り合っていたのかもしれないなと勝手に想像してしまった。

 

 名作とされるのも納得の映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 押井守

 

原作 うる星やつら〔新装版〕(1) (少年サンデーコミックス)

 

出演(声) 古川登志夫/平野文/鷲尾真知子/藤岡琢也/神谷明/永井一郎

 

音楽    星勝

 

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー - Wikipedia

 

 

関連する作品

劇場版 前作

 

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「バーバーショップ3 リニューアル!」 2016

バーバーショップ3リニューアル!

★★★★☆

 

あらすじ

 周辺の治安が悪化し、子どもへの影響を危惧する床屋のオーナーは、従業員や常連客には内緒で店舗移転を計画する。

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 シリーズ第3作目。原題は「Barbershop: The Next Cut」。

 

感想

 ほぼ床屋を舞台に繰り広げられるコメディ映画だ。序盤はまさに「床屋談義」の言葉そのままの、政治や世の中に関するあれこれが面白おかしく議論される。正直なところ、そんなに笑えはしなかったのだが、それでもこうやって地域の人が集まって会話を交わす社交場のような空間にグッとくる。こういう市井レベルの議論は大事だ。

 

 ちなみにこれはシリーズ第三作目で、一作目は見たが二作目は見ていない状態での鑑賞だったが、特に困ることなく見ることが出来た。分からない設定がないわけではなかったが、見ているうちに段々理解できてくる。コメディなので細かいことは気にしなくていい。

 

 

 中盤以降は、銃による犯罪が多発し、子供たちがギャングに勧誘されるような治安が悪化した地域を何とかしようと、床屋の連中が模索する姿が描かれる。この動きにちゃんと地元住民が反応し、意見を交わし、そして実行に移す様子には胸が熱くなる。地元出身のヒーロー(NBA選手のアンソニー・デイビス)がそれに自然体で協力しているのもいい。ちゃんとコミュニティが機能していて、自分たちの町を自分たちで何とかしようとする人々の地元愛が伝わってくる。

 

 だが彼らの取り組みは失敗してしまう。さらに主人公は、息子たちをめぐって親友と対立し、内緒にしていた店舗移転計画もバレて皆に総スカンを食ってしまう。何もかもが駄目になり、空中分解寸前となるが、ここでベテラン従業員が彼にしたアドバイスが良かった。失敗したからと言って何もかもが駄目だったわけではない、良かった点もあるのだからそこに希望を見るべきだ、との言葉には勇気づけられるものがあった。結局、あきらめないことが肝要なのだ。

 

 立ち直った主人公が、再び仲間と共に歩き始めてエンディングを迎える。ギャングの道に足を踏み入れかけていた息子との関係も改善し、ハートウォーミングな物語に仕上がっている。実は意外と良いことを言っているのに皆から小馬鹿にされ、軽く扱われていた従業員の男がハッピーエンドを手にするのも良かった。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/製作総指揮 マルコム・D・リー

 

製作 ジョージ・ティルマン・ジュニア/ロバート・テイテル

 

製作/出演 アイス・キューブ

 

出演 ニッキー・ミナージュ/セドリック・ジ・エンターテイナー/レジーナ・ホール/イヴ/アンソニー・アンダーソン/コモン/タイガ/トロイ・ギャリティ/レジー・ブラウン/アンソニー・デイビス 

 

音楽 スタンリー・クラーク

 

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関連する作品

前作

 

 

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「地獄のヒーロー」 1984

地獄のヒーロー

★★★☆☆

 

あらすじ

 ベトナム戦争から帰還した大佐は、残された捕虜を救出するために再び現地へと向かう。

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 原題は「Missing in Action」。

 

感想

 ベトナム戦争の英雄である主人公が、現地に残る米軍捕虜の救出に乗り出す物語だ。特に説明もなく、当然のように主人公が強い前提で物語が進むのは、演じているのがチャック・ノリスだから、なのだろう。

 

 これまで彼が出演する映画をほとんど見ていない自分でも、彼が強いらしいことはなんとなく知っているので、それはそれでいいのだろう。アクション映画のあるあるでもある。ただ、公開当時の人たちにもそういう認識があったのかは分からないが。

 

 物語はアクションシーン満載で展開する。だが古い映画なので、今見るとアクションがだいぶもっさりとしている。元々すごいことをやっているのだから、わざわざすごいことをやっているように演出する必要はないだろうと、そのまま撮っているだけのような印象だ。

 

 

 中でも建物の上階から外壁をつたって地上に降りるシーンは、モタモタぶりが目についた。実際にやっているのだろうから本当にすごいのだろうが、手の位置を探り、足場を確認しつつそろりそろりと動き、時には一旦上に戻ったりする様子には全くキレがなかった。リアルだがテンポは悪く、映像的には映えない。

 

 それから主人公の単独行動が多く、セリフが少なくて案外と静かなのも特徴的だ。当時ならいざ知らず、今見ると地味で刺激が少なく、正直なところ、見ているのがしんどい部分があった。

 

 ただ、敵地に乗り込んでの爆破シーンは、火薬の量が尋常でなく、迫力ある映像で見ごたえががあった。それから、主人公を手伝う相棒が三枚目の良いキャラで、コミカルな二人のやり取りも楽しめた。彼が地元の男たちに絡まれているのに、主人公が全く気にすることなく普通に話しかけていたシーンは可笑しかった。

 

 ボスキャラだと思っていた男が途中であっさりとやられてしまったり、たくさんいるのかと思っていた捕虜がわずか数人だったりと、予想外のことが色々あったが、それでも終盤にかけてそれなりに盛り上がっていく。助けた捕虜を連れて会議場に乗り込んだ瞬間にエンディングとなる結末にも潔さがあった。カタルシスがちゃんと得られて、最終的な印象は悪くない。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョセフ・ジトー

 

製作 メナハム・ゴーラン/ヨーラン・グローバス/ランス・フール

 

出演 チャック・ノリス/M・エメット・ウォルシュ/レノア・カスドーフ/ジェームズ・ホン/リック・セグレト/ベラ・フローレス

 

地獄のヒーロー

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「柘榴坂の仇討」 2014

柘榴坂の仇討

★★★☆☆

 

あらすじ

 桜田門外の変で主君・井伊直弼を守ることが出来ず、切腹も許されなかった男は、明治維新後も仇討の相手を探し歩いていた。

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感想

 明治になっても主君の仇討相手を探す男が主人公だ。途中で過去の回想が差し込まれながら進行していく。

 

 そんな中で、主人公のターニングポイントとなる桜田門外の変のシーンは見ごたえがあった。しんしんと雪が降る積もる中、大名行列の前に一人の男が立ちはだかる。周囲に緊張が走るが、いくつかのやり取りを交わすことによって平静さを取り戻していく。だが、皆の心が落ち着いて場の空気が一瞬緩んだ隙をつき、突如修羅場が始まる。

 

 

 主人公は奪われた主君の家宝を取り戻すために現場を離れてしまい、みすみす暗殺を許してしまう。主君を守るために最後まで死に物狂いで戦ったのならまだ納得できるが、気付いた時にはすべてが終わっており、もはやどうすることも出来なかったのは辛い。

 

 藩の体面を守るための仇討が優先され、切腹することを許されなかった主人公は、ここから苦しい日々を過ごすことになる。世間の冷たい視線に耐えながら、どこにいるともわからない下手人を追う毎日だ。それと同時に、何も言わずに付き従う妻やそっと手を差し伸べる友人、そして自分の行いに真摯に向き合いながら生きている仇討相手の様子も描かれていく。

 

 明治になっても主人公の仇討相手探しの日々は続く。もはや藩もなく、武士もいなくなってしまった状況ではほぼ意味がないが、途中でやめてしまっては気持ちの整理がつかないのだろう。どんどんと変わっていく時代に取り残されていく主人公の姿が印象的だ。

 

 だがそんな主人公が、新たな時代に浮かれる人たちに侍の矜持を見せるシーンは胸が熱くなった。今は刀を捨て、様々な職業に就いている元侍たちがそれに次々と呼応する。いくら時代が変わっても、変わらない事、変えてはいけない事がある。

 

 しかし明治の新政府が、藩をやめ、武士をなくしと次々と新たな施策に取り組んでいったのは、改めて冷静に考えるとすごいことだ。ある意味では自分たちの既得権益をどんどんと捨てていたわけで、彼らには彼らの、新たな世界を作り上げるという矜持があったのだろう。日本の未来そっちのけで、自分の既得権益を守ることしか頭になさそうな今の与党の政治家たちとは大違いだ。

 

 仇討相手の居場所を突き止め、対峙するのがクライマックスとなる。積年の念願がついに果たされる盛り上がるはずのシーンだが、そうでもなかった。それまでに描かれてきたエピソードが、雰囲気はあっても心に響くものではなく、その積み重ねに感情が揺さぶられなかったからだろう。形だけがあって、心の機微は見られなかった。

 

 かなりゆったりとしたテンポで描かれるが、悪い意味で重厚さはなく、冗長さだけを感じる映画だ。ラストで妻役の広末涼子が号泣するシーンは、「鉄道員」を彷彿とさせたが、あれよりはマシだった。このタイプの映画は大げさな音楽で泣かせようとしがちだが、それが控えめだったのには好感が持てた。

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スタッフ/キャスト

監督 若松節朗

 

原作 「柘榴坂の仇討」 「新装版 五郎治殿御始末 (中公文庫)」所収


出演

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阿部寛/広末涼子/髙嶋政宏/真飛聖/吉田栄作/堂珍嘉邦/近江陽一郎/木﨑ゆりあ/藤竜也/中村吉右衛門

 

音楽 久石譲

 

柘榴坂の仇討

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「告発のとき」 2007

告発のとき (In the Valley of Elah)

★★★★☆

 

あらすじ

 イラクから帰還後、休日が終わっても基地に戻らず行方不明となった息子を探すため、現地に向かった元軍警察所属の父親。

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 実話をモチーフにした物語。原題は「In the Valley of Elah」。

 

感想

 元軍人の主人公が、地元の女性刑事と協力しながら基地に戻らず行方不明になった息子を探す物語だ。主人公は元軍警察だっただけに、息子を探すための動きがちゃんとしていて安心感がある。然るべき場所で然るべき人に会い、然るべき情報を手に入れていく。この時代のこの年代の男には珍しく、携帯電話やパソコンもきっちりと使いこなしている。そして時には現役の刑事や軍警察を上回る成果を見せており、頼もしかった。

 

 しかし主人公の捜索は、悲しい結末によって早々に終焉を迎えてしまう。きっと息子は戦争が嫌になって逃げたのだろうと思っていたので、これは意外だった。続いて主人公による犯人探しの捜査が始まる。

 

 

 ただここからの捜査の様子は若干分かりづらい。不祥事が露見するのを恐れる軍警察と、面倒事に巻き込まれるのを嫌がる地元警察、そしてその間で思うように動くことが出来ない女刑事と、事件以外の問題が多くを占めるようになる。調査対象の軍人たちも曖昧な態度だ。それに今はただの一般人でしかない主人公が、捜査にそんなにグイグイと関わってもいいの?という危惧もあった。

 

 それでもなんとか犯人が判明する。そこで明らかになった真相には驚かされる。それを平然と語る犯人の不気味な様子や、その前の主人公と言葉を交わした時のシーンを思い出して、怖くなってしまった。軍人はそんなことをしないと断言していた主人公の推理は完全に間違っていたわけだが、戦争が彼らをおかしくしてしまったのだろう。ただ、主人公の従軍していたベトナム戦争と、息子の従軍したイラク戦争ではそんなに違うのか?という疑問は残るが。

 

 だがよく考えてみると、主人公にもおかしな部分がある。女性刑事がやってきた時に慌ててまだ生乾きのシャツを着ていたのが印象的だったが、常に部屋を整え、身なりを正す軍人の習慣を保ったままだ。引退してもう何年も経つのに、まだどこかで戦地にいるような感覚があるのだろう。感情の起伏が少なく生気のない表情が、普通の日常生活をうまく送れていないことを窺わせる。かつての戦友たちがまだ現役だと思っていたことにも、そういう連絡を取り合っていなかったことにも違和感があった。

 

 ラストシーンにはあざとさを感じてしまったが、主演のトミー・リー・ジョーンズの演技でグイグイと引っ張っていく映画だ。戦争がどれだけ人間を狂わせるのか、それがひしひしと伝わってくる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案/製作 ポール・ハギス

 

出演 トミー・リー・ジョーンズ/シャーリーズ・セロン/スーザン・サランドン/ジョナサン・タッカー/ジェームズ・フランコ/ジョシュ・ブローリン/フランシス・フィッシャー/ジェイソン・パトリック/メカッド・ブルックス/ バリー・コービン/ウェイン・デュヴァル/ブレント・ブリスコー

 

告発のとき (In the Valley of Elah)

告発のとき (In the Valley of Elah)

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