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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「元禄忠臣蔵 後編」 1942

元禄忠臣蔵・後篇

★★☆☆☆

 

あらすじ

 ついに機は熟し、吉良邸への討ち入りを決意する大石内蔵助。

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感想

 前編で前振りが終わり、後編はいよいよクライマックスがやって来ると期待していたのだが、肝心の討ち入りは手紙で事後報告されるだけだった。拍子抜けしてしまったが、原作でも討ち入りそのものはじっくりと描いていないようだ。

 

 有名な話なので敢えて描かないパターンを選択したのだろう。何度も戦国時代の話をループしているNHKの大河ドラマでもたまに見られる手法だ。だが忠臣蔵を知らない現代の人や外国の人には何がなんだか分からなくなってしまうデメリットはある。

(36)「勝負」

(36)「勝負」

  • 出演者|堺雅人
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 ちなみにDVDの特別映像にこの映画で建築監督をしていた新藤兼人のインタビューがあり、討ち入りのシーンをやらなかった理由は、監督がやるなら本当に人を斬る映像が欲しいと言っていたけど無理だから、と言っていて笑ってしまった。ダチョウ倶楽部にいられなくなった南部虎弾のエピソードを思い出すが、監督はいい意味で狂ってる。

電撃ネットワーク・南部虎弾さん急逝…ダチョウ倶楽部時代のぶっ飛んだ発想に驚愕!(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

 

  前編序盤の刃傷沙汰以降は、会話中心の地味な展開が続く。一応は長回しなどで映像的なダイナミックさはあるのだが、ヤマ場だと思っていた討ち入りもないままに長い後日談が始まるので、単なる消化試合を見ているような気の乗らなさがあった。関係のあったある志士の本心を確かめに男装してやって来た女の話も、最初は胸に迫るものがあったが、言い分がわけが分からなくなっていき、話も長いしで段々と冷めてしまった。

 

 ただこの映画で討ち入りから切腹までにかなりの間隔があったことと、切腹が一人ずつ行われたことを知れたのは収穫だった。ついに宿願を果たした高揚感のまま切腹したのかと思っていたが、こうも期間が空けば冷静になって怖気づいてしまいそうだ。

 

 

 また皆で一斉にではなく、ひとりずつ行われる切腹も、順番を待っている間が辛そうだし、その十何人分の切腹を次々と見届け続けなければならない検分役も辛かったに違いない。中には楽しめる人もいるのかもしれないが。

オウム7人の死刑執行、顔写真に「執行」のシール貼る テレビの演出が物議醸す | ハフポスト NEWS

 

 ちゃんと前提となる知識があり、色んなパターンの物語を見た後に見るにはいいかもしれないが、あまり知らないままに見るには不向きなタイプの忠臣蔵だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 溝口健二

 

脚本 原健一郎/依田義賢

 

原作 元禄忠臣蔵 上 (岩波文庫 緑 101-1)

 

出演 四代目河原崎長十郎/三代目中村翫右衛門/五代目河原崎国太郎/市川右太衛門/海江田譲二/中村鶴蔵/川浪良太郎//高峰三枝子

 

元禄忠臣蔵・前篇

元禄忠臣蔵・前篇

  • 河原崎長十郎
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元禄忠臣蔵 - Wikipedia

 

 

関連する作品

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「RED/レッド」 2010

レッド (Red 2010) (JA-Subbed)

★★★☆☆

 

あらすじ

 静かな引退生活を送っていた元CIAの男はある日、何者かに襲撃され、安全のために想いを寄せる女性をさらって一緒に逃げる。

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 タイトルの「RED」は「引退した超危険人物(Retired Extremely Dangerous)」の略称。

 

感想

 すでに引退した元CIAの主人公が、突然襲撃してきた者たちの正体を探る物語だ。元同僚に止まらず、かつてしのぎを削った英国やロシアのライバルたちとも協力しながら真相に迫る様子が、軽妙でコミカルなタッチで描かれていく。

 

 この凄腕の仲間たちに混じって、引退後の主人公の心に潤いを与え、恋心が芽生えていた女性が同行しているのが面白い。しかも、電話での会話のみで面識がなかったにもかかわらず、最初はほぼ拉致するような形で強引に連れ去ってしまう。

 

 

 主人公を問答無用に殺そうとするような相手だから、関係者にも平気で酷いことをするはずで、それから守るためにはこうするしかなかったのだろう。わけもわからず連行され、歴戦のスパイたちの中に放り込まれて戸惑う彼女は、観客を代弁するキャラでもある。

 

 主演のブルース・ウィリスをはじめ、モーガン・フリーマンやリチャード・ドレイファス、ヘレン・ミレンなどが出演し、豪華なキャストだ。皆がいい仕事をしており、それだけで楽しめてしまうところがある。

 

 なかでもジョン・マルコヴィッチは、くせ者感たっぷりの演技を見せている。被害妄想的に何でも疑って皆を呆れさせておいて、後でそれが全部本当だったと判明するシークエンスは面白かった。また、ヘレン・ミレン演じる女殺し屋が派手に機関銃を連射しまくる横で、甲斐甲斐しくそのサポートをする地味な姿には、ジワジワ来るものがあった。

 

 小粋な雰囲気のある好きなタイプの映画だが、メリハリがないというか、盛り上がり切れないというか、淡々としていて一本調子になってしまっている印象だ。ストーリーは面白く、それなりに笑えて決して悪くはないのだが、期待値を越えることのないシーンの連続で、物足りなさが残った。

 

スタッフ/キャスト

監督 ロベルト・シュヴェンケ

 

原作 Red (English Edition)

 

出演 ブルース・ウィリス/ジョン・マルコヴィッチ/メアリー=ルイーズ・パーカー/ヘレン・ミレン/ ブライアン・コックス/カール・アーバン/ジュリアン・マクマホン/リチャード・ドレイファス/レベッカ・ピジョン/アーネスト・ボーグナイン/ジェームズ・レマー

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RED/レッド - Wikipedia

 

 

関連する作品

続編

 

 

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「トランスフォーマー/最後の騎士王」 2017

トランスフォーマー/最後の騎士王(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 トランスフォーマーたちに地球を奪われそうになっていることを知った主人公は、それを止めるために伝説の杖の行方を追う。

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 シリーズ第5作目。

 

感想

 今作はトランスフォーマー同士の戦いというよりも、人類対トランスフォーマーという構図になっている。味方だったオプティマスすら洗脳されて敵側だ。

 

 しかも中盤くらいまでは、お尋ね者の主人公とそれを追う組織の様子がメインで描かれるので、トランスフォーマーたちは脇に置かれている。ロボット同士の対立ばかりを描かれてもあまり感情移入できないので、人間メインのこちらの方が全然いい。ロボットが戦う姿よりも、ジャッキー・チェンばりの主人公のアクションの方が見ごたえがあったりもする。

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 しかしシリーズ当初のシンプルなロボット同士の争いから、いつの間にか太古のアーサー王伝説と結びつけるまでに設定が変化してきているのが面白い。トランスフォーマーよりも人間に焦点を当てるようになってきているのも含めて、シリーズを経るごとにより楽しめるように進化している印象がある。

 

 とはいえ、中盤にアンソニー・ホプキンス演じる男が、人類とトランスフォーマーの長い歴史を主人公とヒロインにじっくりと説明するシーンはだるかった。物語に説得力を与えるのに必要なのは分かるが、このシリーズにそんな厳密さは求めていない。

 

 

 どうせ最後は派手なアクションで細かいことはどうでもよくなるんだから、と思いながら見ていたのだが、今回のクライマックスはいまいち盛り上がりに欠けた。洗脳から目覚めた途端に偉そうな口を利くオプティマスの変わり身の早さもなんだかカッコ悪くて、苦笑しかない。

 

 色々とストーリーに工夫を凝らしているのは分かるが、だいぶマンネリを感じるようになってしまっている。時おり挿入されるコミカルシーンにもまたかと思ってしまい、さすがにこのパターンで2時間半もあるのはしんどくなってきた。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 マイケル・ベイ

 

製作総指揮

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出演 マーク・ウォールバーグ/イザベラ・モナー/ローラ・ハドック/ジョシュ・デュアメル/ジョン・タトゥーロ/スタンリー・トゥッチ/サンティアゴ・カブレラ /グレン・モーシャワー/ニコラ・ペルツ*/シャイア・ラブーフ**/

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*声・写真のみ **写真のみ

 

出演(声) ピーター・カレン /J・T・ウォルシュ/ジョン・グッドマン /)トム・ケニー/オマール・シー /ジム・カーター/フランク・ウェルカー/スティーブ・ブシェミ /フランク・ウェルカー/ジェス・ハーネル /ジョン・ディマジオ

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関連する作品

前作 シリーズ第4作目

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次作 シリーズ第6作目

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「元禄忠臣蔵 前編」 1941

元禄忠臣蔵・前篇

★★★☆☆

 

あらすじ

 主君の刃傷沙汰により藩の断絶が決まり、浪人となった家来たちは、せめて主君の無念を晴らそうと沸き立つ。

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感想

 音声の状態が悪くて台詞があまり聞き取れず、序盤は特に苦労した。わずかに聞き取れた内容と自分の中にあるほんの少しの忠臣蔵の知識を総動員して、何とか物語についていく感じだった。多少言葉の分かる外国映画を字幕なしで見ている感覚に近い。

 

 忠臣蔵には様々なエピソードがあるが、この映画ではメインから少し外れたものを採用している印象だ。最近はそうでもないが、当時は誰もが知っているメジャーな物語だったのだろうから、定番だけをやっては芸がなく、少しひねる必要があったのだろう。とはいえ元は新歌舞伎の舞台なので、それに倣っているだけなのかもしれないが。

 

 

 ただ、天皇の意向を気にするくだりに関しては、唐突でわざとらしさがあった。戦時中だった公開当時の世相に配慮したのだろうが、今見るとかなり鼻白んでしまう。だが昔話というものは、こうやって時代時代の影響を受け、変化しながら語り継がれていくのだろう。

 

 大まかな流れは知っているし、まだ後編もあるので何とも言えないところはあるが、金がかかっていそうな見事なセットや映像的に印象に残るシーンなど、見どころはいくつもある。特に遊郭での、画面前後で向かい合って話す人たちのずっと奥にもう一人を配置して、奥行きを感じさせる構図のシーンにはグッと来た。縦方向の構図を意識した映像が多かったように感じる。

 

スタッフ/キャスト

監督 溝口健二

 

脚本 原健一郎/依田義賢

 

原作 元禄忠臣蔵 上 (岩波文庫 緑 101-1)

 

出演 四代目河原崎長十郎/三代目中村翫右衛門/五代目嵐芳三郎/三桝萬豐/小杉勇/三浦光子/羅門光三郎

 

音楽    深井史郎

 

元禄忠臣蔵・前篇

元禄忠臣蔵・前篇

  • 河原崎長十郎
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関連する作品

後編

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「ブラック・フォン」 2022

ブラック・フォン(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 少年に対する誘拐事件が相次ぐ街で、ターゲットとなり犯人に監禁されてしまった少年。

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感想

 序盤は主人公の陰気な家庭と殺伐とした地域の様子が描かれていく。家では片親の父親に怯えて暮らし、外では同級生たちの暴力沙汰が絶えない。すでに地域に不穏な空気が漂っていて、連続誘拐事件が起きるのも、それが未解決のままなのもなんとなく納得してしまうような状況だ。

 

 そんな中で主人公も誘拐犯にさらわれて監禁されてしまう。地域の少年たちは当然みな警戒していたはずなので、まさか主人公がそんなにあっさりと被害に遭ってしまうとは意外だった。だが連続事件の被害者なんてそんなものなのかもしれない。いつも警戒をマックスに保つことはできないし、心のどこかでは、自分が当事者になるわけがないと高をくくっている部分もあるのだろう。

 

 

 主人公を監禁した犯人だったが、何をするわけでもなく、ただ放置するだけだったのは謎だった。何をしたかったのかは分からないが、とりあえずはいつでもいけるように確保しておいて、後はその気分になったら実行するつもりだったということなのだろうか。ちょっとモヤモヤしてしまうが、そこは普通じゃない犯人のやることなので、理解しようとする方が間違っているのかもしれない。

 

 主人公が監禁された部屋にはなぜか黒電話があり、使えなくなっているはずなのになぜか電話がかかってくる。かけてくるのは以前に誘拐され、おそらくは殺されているはずの少年たちだ。急に不思議な展開となるが、主人公の妹が予知夢などの特殊能力を母親から受け継いでいるので、主人公にもそのような力があったということなのだろう。

 

 ところでこの妹はなかなか激しいキャラクターだった。父親に折檻されている途中でも反抗的な態度を崩さず、警官には暴言を吐き悪態をつく。兄が同級生に暴行されていたら、人を殺せそうなサイズの石で相手の頭を殴りつける。何をしでかすか分からない危険な雰囲気があるが、この気性の激しさが彼女の霊性を暗示しているようでもある。

 

 主人公は過去の被害者たちからアドバイスを受け、様々な脱出方法を試みる。だがどれも上手くいかず、最期の時が刻一刻と迫ってくる。そんな彼に与えらえれた最後のアドバイスは、自分の拳で敵を倒せ、というものだった。

 

 なんだ色々やった挙句に、結局最後は暴力かよと脱力してしまったのだが、単なる暴力ではなく、これまでの失敗を活かしたものになっていた。見事な連携ぶりに、そう来るのかと感心してしまった。

失敗の科学

失敗の科学

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 ただ、これは過去の失敗をもうちょっと工夫したら成功した、というものではなく、たまたま組み合わせたら上手くいったというものだ。それが少し引っ掛かったが、過去の被害者たちの試みは無駄ではなかったということなのだろう。彼らがただ座して死を待つのではなく、それぞれが必死に生きようとしたからこそ主人公が助かったと考えれば、彼らにも救いがある。

 

 犯人がなぜ使えない黒電話を撤去せず放置したままだったのかとか、案外監視が緩くて主人公がやりたい放題過ぎだし、それに気付かなさ過ぎだろうとか、気になる点がないわけではない。だが、過去の被害者たちと力を合わせて脱出するというアイデアは面白かった。

 

 しかも被害者たちの中には、いい奴や友人だけでなく、仲の悪かった奴も嫌な奴もいたというのがいい。そんな彼らがこれまでの関係を忘れ、自らの無念を代わりに果たしてもらおうと協力を惜しまなかった。正直、あまり期待していなかったのだが、思いのほか面白い映画で楽しめた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 スコット・デリクソン

 

原作 ブラック・フォン (ハーパーBOOKS)

 

製作総指揮 ジョー・ヒル/ライアン・トゥレク/クリストファー・H・ワーナー

 

出演 イーサン・ホーク/メイソン・テムズ/マデリーン・マックグロウ/ジェレミー・デイヴィス/ジェームズ・ランソン

 

ブラック・フォン(字幕版)

ブラック・フォン - Wikipedia

 

 

関連する作品

次作 25年公開予定

「The Black Phone 2」

 

 

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「怪盗グルーの月泥棒」 2010

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ライバルに奪われた道具を取り戻すため、子どもを利用しようと考えた悪党は、孤児院から3人の姉妹を引き取る。

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 原題は「Despicable Me」。シリーズ第1作目。

 

感想

 月を盗もうとする怪盗が主人公だ。だがこの主人公が、隣人に嫌味を言ったり、行列に割り込んだりするような性格の悪い嫌な奴で、主人公よりも悪役に相応しそうなキャラなのが面白い。

 

 主人公はライバルと競って世界一の大泥棒を目指している。このライバルもまた感じの悪い男で、悪役のような主人公にはお似合いの競争相手だ。互いに邪魔し合いながら仲良く喧嘩している。

 

 

 月泥棒の準備を進める中で、主人公は幼い三姉妹と出会う。当初はライバル宅へ侵入するための道具として子供を利用していただけなのだが、次第に情が移り、絆が生まれる。嫌な奴だった主人公が心優しい人間味のある男へと変わっていく、ほっこりとするストーリーだ。

 

 ライバルとの争いや幼い三姉妹との交流が描かれていく中で、いいアクセントとなっているのがミニオンズたちの存在だ。この黄色い小さな生き物たちがちょこまかと賑やかに動き回ることで飽きさせない。見ているだけで楽しい気分になる。

 

 ミニオンズたちは意味不明の言葉を喋るので、基本的には動きだけで意志や感情を表現する。チャップリンのように分かりやすくて、子供たちに人気があるのも納得だ。ただ、最初の登場時にはこの物語には馴染まないような唐突な印象があった。無理やりアイデアをねじ込んだ感じだったのだろうか。

 

 絵本のようなシンプルな物語だ。余白が多くて深みはないが、映像の楽しさで見せる映画となっている。分かりやすいのでかなり小さな子供から楽しめそうだ。 

 

スタッフ/キャスト

監督/出演(声) ピエール・コフィン/クリス・ルノー

 

出演(声) スティーヴ・カレル/ジェマイン・クレメント/ジェイソン・シーゲル/ラッセル・ブランド/ミランダ・コスグローヴ/エルシー・フィッシャー/ジュリー・アンドリュース/ウィル・アーネット/クリステン・ウィグ/ダニー・マクブライド/ジャック・マクブレイヤー /ミンディ・カリング/ケン・チョン

 

音楽 ハンス・ジマー/ヘイター・ペレイラ/ファレル・ウィリアムス

 

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

怪盗グルーの月泥棒 (字幕版)

  • スティーヴ・カレル
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怪盗グルーの月泥棒 3D - Wikipedia

 

 

関連する作品

次作 シリーズ第2作目

 

スピンオフ作品

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「罪の声」 2020

罪の声

★★★☆☆

 

あらすじ

 菓子会社への脅迫などで昭和を騒がした未解決の劇場型犯罪を改めて取材することになった新聞記者は、脅迫で使われた子供の声の主と出会う。

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 グリコ・森永事件をモチーフにした物語。142分。

 

感想

 未解決の昭和の大事件、製菓会社に対する一連の脅迫事件の真相を探る物語だ。その意義をあまり理解していない新聞記者の主人公が外側から、幼少時に自分の声が脅迫に使われたことを知った仕立て屋の男が内側から調査を進めていく。どっちがどの取材をしたのか若干混乱するところはあったが、別々に調査を始めた二人がお互いの存在にたどり着き、一つにつながる過程は見ごたえがある。

 

 モチーフになったグリコ・森永事件の史実に沿った内容となっているようだが、事件に利用された子供たちに焦点を当てているのが面白い。本人は物心がつく前で覚えていなかっただろうから、大人になってそれを知ったら大いに戸惑うはずだ。知らないうちに大事件に関与していたなんて気分がいいものではないだろう。しかも、もう時効を迎えているので警察に届けても仕方がなく、どうしようもない。

 

 

 仕立て屋の男がその事実を知ってどうしていいか分からず、落ち込んでしまった気持ちはよく分かる。気持ちを整理するために真相を知ろうとするのは当然だろう。ただ誠実な性格のせいなのか、出会ったばかりでまだよく知らない人たちに「実は自分があの声の主なんです」と正直に打ち明け過ぎなのは気になった。変な噂が広まりそうで心配してしまう。

 

 主人公と仕立て屋の男、ついに出会った二人が協力し、真実はとんとん拍子に明らかになっていく。雑な計画でも割と大丈夫だった昭和の事件だし、仕立て屋の男からは内部情報があったので、このあたりは納得感がある。

 

 しかしいざ真実が明らかになってしまうと、案外とたいしたことないな、というのが素直な感想だ。そこらの無法者たちが集まっただけの、ありふれた反社集団による犯罪だ。だが真実なんて、明らかになってみるとそんなものかもしれない。ただ、身代金ではなく株価操作で大金を手にしようとしていたという説は興味深かった。

 

 ミステリーとしては楽しめたのだが、浪花節的ウェットなエピソードがたっぷりで、だいぶそれがしんどかった。これは実際の事件をモチーフにしているので、ドキュメンタリー的になるのはある程度仕方がないのかもしれない。実際、あの事件の関係者たちが今どうしているのかは関心がある。

 

 だが日本のミステリーは、こんなどんよりしたものばかりになりがちなので、たまにはカラッとしたのも見せてくれよと思ってしまっった。

 

スタッフ/キャスト

監督 土井裕泰

 

脚本 野木亜紀子

 

原作 罪の声 (講談社文庫)

 

出演 小栗旬/星野源/松重豊/宇野祥平/古舘寛治/市川実日子/火野正平/宇崎竜童/梶芽衣子/阿部亮平/木場勝己/橋本じゅん/佐藤蛾次郎/宮下順子/塩見三省/正司照枝/岡本麗/須藤理彩

 

罪の声

罪の声

  • 小栗旬
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罪の声 - Wikipedia

 

 

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「五線譜のラブレター DE-LOVELY」 2004

五線譜のラブレター de-lovely

★★★☆☆

 

あらすじ

 死を間近に控えた男は、自身の生涯を振り返るミュージカルを鑑賞する。

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 20世紀半ばに活躍した作曲家コール・ポーターの半生を描く。

コール・ポーター - Wikipedia

 

感想

 作曲家コール・ポーターの半生が妻との関係を中心に描かれていく。ただ彼は同性愛者で妻もそれを理解した上での結婚生活は、正直なところよく分からなかった。

 

 お互いが納得しているのなら夫婦の形なんてどうだっていいが、その機微がもうちょっと分かるように描いて欲しかった。二人に絆があったことは確かなのだろうが、何が二人を結び付けていたのかは見えてこなかった。ほぼ外から見た夫婦の姿しか描かれていない印象だ。

 

 

 その代わりに力を入れているように見えたのは、主人公の数々の代表曲を紹介する事だ。しっかりとミュージカル形式で再現していて楽しい。ただあまり自分が知っている曲がなかったので、いまいち盛り上がり切れなかったところはある。

 

 終盤は人生の終局の物悲しさが伝わってくる内容で、しんみりとしてしまった。どんなにお金があっても、どんなに幸せな人生を送っていても、歳を取れば次第に周りの人々が去っていき、最後は寂しいものとなる。主人公らには子供がいなかったことも大きいだろう。

 

 長生きしたいと思っていても、最後の一人になるまで長生きしてしまうのは考えものだ。浦島太郎と同じように、とてつもない孤独を味わうことになる。結局は周囲の人たちをほどほどに送り、ほどほどに残して死ぬのが一番幸せな最期なのだろう。色々と考えてしまった。

 

 芸術家らしく最後まで気高くあろうとする主人公の姿には胸を打たれる。スポットライトの二人がピアノの前で見つめ合うラストシーンが心に残る。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 アーウィン・ウィンクラー

 

出演 ケヴィン・クライン/アシュレイ・ジャッド/ジョナサン・プライス/ケヴィン・マクナリー/ジェームズ・ウィルビー/ケヴィン・マクキッド/ジョン・バロウマン/ララ・ファビアン

 

音楽 コール・ポーター/スティーブン・エンデルマン

 

五線譜のラブレター de-lovely

五線譜のラブレター de-lovely

  • ケヴィン・クライン
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五線譜のラブレター - Wikipedia

 

 

登場する人物

コール・ポーター/モンティ・ウーリー/ルイス・B・メイヤー/アーヴィング・バーリン/セルゲイ・ディアギレフ/ボリス・コフノ/エセル・マーマン

 

 

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「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」 2011

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 月の裏側に墜落していた宇宙船から見つかった高度な装置をめぐり、トランスフォーマー同士の戦いが再び始まる。

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 シリーズ第3作目。

 

感想

 今回のトランスフォーマー同士の戦いは、月の裏側に眠っていた伝説の戦士と高度なシステムをめぐるものだ。そんな事実があったなんて初めて聞いたのだけど、なんで今まで教えてくれなかったの?と言いたくなるが、後から続々と新事実が明らかになるのは、シリーズあるあるではある。

 

 ちなみに今回から主人公の恋人が変わってしまっているが、これもまたシリーズあるあるだ。

 

 人間側のオートボットが伝説の戦士を蘇らすも裏切られ、ロボット同士の新たな全面戦争が始まってしまう。オートボットのやらかしが原因なこともあって、ロボット同士が勝手に地球で戦っているだけ、というこれまでくすぶっていた疑念を浮き彫りにしている。

 

 これがきっかけでオートボットと人類の協力体制が崩れてしまい、敵の術中へとハマっていく。敵の真意に気付くも首脳陣を止められなかったジョン・タトゥーロ演じる男が、人類が侵略されていた時あなたは何をしていたのですか?と将来聞かれたら、「ただ見ていた」と答えることになるのかと嘆いていたのは印象的だった。

 

 

 しかし世の中を見ていると、現実には「見ていた」ですらなく、「見て見ぬふりをしていた」となるような気がする。薄々気づいていたのに、まさかそんなことになるとは思わなかったと言い訳できる余地を残すため、見ていなかったことにしようとしている。

 

 そしてシカゴを舞台に両者の大決戦が始まる。このクライマックスは圧巻だ。ラストは一時間にわたる大迫力の戦闘が繰り広げられて、ただただ圧倒される。

 

 途中でふと、ところでどうしてこんな戦いになっているんだっけ?と振り返ろうとしたが、もはやそんなことはどうでもいいような気がして止めてしまった。バーン!と来てドーン!となるスペクタクルな映像の連続を、頭を空っぽにしてただ楽しめばいいではないかという気がしてきた。

 

 巨大なロボット同士の戦いも良かったが、そこに乗り込んでいく主人公ら人間部隊の活躍がいいアクセントになっている。やはりロボット同士の戦いよりも感情移入できるせいか、グッと力が入って見入ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作総指揮 マイケル・ベイ

 

製作総指揮

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ブライアン・ゴールドナー/マーク・ヴァーラディアン

 

出演 シャイア・ラブーフ/ロージー・ハンティントン=ホワイトリー/ジョン・タトゥーロ/ジョシュ・デュアメル/タイリース・ギブソン/パトリック・デンプシー/アラン・テュディック/ケヴィン・ダン/ジュリー・ホワイト/ジョン・マルコヴィッチ/ケン・チョン/フランシス・マクドーマンド/ラヴィル・イシヤノフ/グレン・モーシャワー/エリヤ・バスキン/バズ・オルドリン/ビル・オライリー/ウォルター・クロンカイト/(声)ピーター・カレン/(声)ヒューゴ・ウィーヴィング/(声)レナード・ニモイ/(声)ジェス・ハーネル/(声)ジェームズ・レマー/(声)トム・ケニー/(声)フランチェスコ・クイン /(声)ジョージ・コー/(声)チャーリー・アドラー/(声)フランク・ウェルカー /(声)キース・ザラバッカ /(声)グレッグ・バーグ 

 

音楽 スティーブ・ジャブロンスキー

 

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン - Wikipedia

 

 

登場する人物

ニール・アームストロング/バズ・オルドリン/ロバート・マクナマラ/ジョン・F・ケネディ/ビル・オライリー/リチャード・ニクソン/ウォルター・クロンカイト

 

 

関連する作品

前作 シリーズ2作目

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次作 シリーズ第4作目

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「おかしな奴」 1963

おかしな奴

★★★★☆

 

あらすじ

 兵隊に憧れるも徴兵検査で不合格にされた男は、家を出て落語家を目指す。終戦直後に人気を博した落語家・三遊亭歌笑(三代目)の伝記映画。

三遊亭歌笑 - Wikipedia

 

感想

 落語家の三遊亭歌笑の人生を描く物語だ。まったく存在すら知らなかった人だが、当時は「昭和の爆笑王」と呼ばれて大人気だったらしい。そんな一世を風靡した人気者なのに、50年も経てばほぼ誰も知らない存在になってしまうわけだから、歴史に名を残すのがいかに難しいことなのかがよく分かる。

 

 主人公を演じるのは渥美清だ。本人に寄せてはいるのだろうが、落語のシーンなどは彼の語りの素晴らしさが活かされていて、普通に聞き入ってしまう。声は聞き取りやすく、調子も良く、スッと頭に入ってくる。これぞ話芸というものだろう。

 

 師匠や兄弟弟子、演芸場の連中など、様々な人たちに囲まれて、主人公が成長していく姿が面白おかしく描かれていく。そんな中で印象的だったのは、主人公が想いを寄せる若い女性を演じた三田佳子だ。

 

 

 自分の中では中年の頃のイメージが強い彼女だが、若い頃は普通にヒロインぽさのある美女だったのだなと感心してしまった。当たり前と言えば当たり前なのだろうが。特に戦争で変わってしまい、ケバケバしい格好をするようになってからはそれがますます際立っていた。今の若い女優と比べても遜色がない。しかも細い。

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 主人公は、変わらざるを得なかった彼女や、徴兵を苦にして心を病んだ兄弟子を見て、戦争やそれを始めた国家に対して反感を示している。非常時になれば真っ先に不要とされてしまう彼のような商売だと、敏感にならざるを得ないところもあるのだろう。そしてそんな時代の空気を感じ取る力や、それを笑いに変えられる力がなければ売れることはない。

 

 同業者の嫌がらせにも屈することなく、己の道を見つけ、それを貫いて売れていく主人公の姿には胸が熱くなる。そして散々苦労させた妻にもようやく楽をさせられるようになったとホッとした矢先、散々フラグを立てた後にやって来るあまりにも悲しい出来事には言葉を失ってしまった。これもまた戦争がなければ起きなかった悲劇だ。彼の人生に思いを馳せてしまう。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 沢島忠

 

出演

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加藤嘉/清川虹子/南田洋子/坂本武/三田佳子/石山健二郎/佐藤慶/春風亭柳朝(5代目)/田中邦衛/十朱久雄/渡辺篤

 

おかしな奴[公式] - YouTube

 

 

登場する人物

三遊亭歌笑(三代目)

 

 

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「THE BATMAN-ザ・バットマン-」 2022

THE BATMAN-ザ・バットマン-(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 市長や警察本部長、検事らゴッサムシティの有力者たちが次々と殺され、犯人を追うバットマン。

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 「バットマン」リブート作。「バットバース」の第1作目。176分。

 

感想

 市長や検察官など、ゴッサムシティの有力者たちが次々と殺され、バットマンが犯人を追う物語だ。犯人が残した謎を解いていくミステリー風味で、ヴィランと派手に戦うバットマンを期待していたら肩透かしを食らう。

 

 タイトルをつけるなら「名探偵バットマン」といったところだが、このストーリーならバットマンである必要はないのでは?と思ってしまった。だが、元々コミックで登場した当初のバットマンには探偵ものの要素があったようなので、それを知っている人には違和感はないのだろう。ハードボイルドな探偵ものの雰囲気を醸し出している。

名探偵ピカチュウ(字幕版)

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 バットマンはビシバシと謎を解いていくわけではない。難解そうなものに関しては皆で謎を解き、彼はなぞなぞみたいな簡単そうなものだけを即答する。その姿がなんとなく賢しらなちびっこ探偵みたいで可笑しかった。しかもすべて事件後に謎が解けるだけの後追いで、事件を未然に防ぐことは出来ていない。

 

 それにスーツ姿の大人たちの中にひとりバットマンのコスプレをして混じっている様子は、ヤバい奴感が滲み出ている。スーパーヒーローものの宿命ではあるが、これら違和感に気を取られてしまって物語に没入しづらかった。

 

 映画は、重く暗いダークな空気をまとっている。これが重厚さとなって心にズシリと響いてくるわけでもなく、重苦しい雰囲気を吹き飛ばすような爽快なシーンが待ち受けているわけでもなく、ただただ陰鬱なだけなのが辛い。クリストファー・ノーラン版や初期のDECU、関連する「ジョーカー」の世界観を踏襲しているのだろうが、特に見るべきものは無かったように感じる。

 

 

 そしてやはりリブート疲れみたいなものもあるかもしれない。またそのくだりか、と思ってしまっている自分がいた。だいぶ飽きている。

 

 それでも2時間くらいで終わってくれればそんなに印象は悪くなく、これまでとは違って今回のバットマンは…などと考察してみる気にもなったかもしれない。だがさすがに上映時間3時間はしんどい。見終わった時には「とにかく長かった」以外の感想が思い浮かばなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 マット・リーヴス

 

脚本 ピーター・クレイグ

 

原作 BATMANオリジナル・コミック 日本語版


出演 ロバート・パティンソン/ゾーイ・クラヴィッツ/ポール・ダノ/ジェフリー・ライト/ジョン・タトゥーロ/ピーター・サースガード/アンディ・サーキス/ルパート・ペンリー=ジョーンズ/ピーター・サースガード/バリー・コーガン

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音楽 マイケル・ジアッチーノ

 

THE BATMAN-ザ・バットマン-(字幕版)

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  • ロバート・パティンソン
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関連する作品

次作(2025年公開予定) 

「THE BATMAN-ザ・バットマン-2」

 

 

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「チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2」 1985

チャック・ノリスの地獄のヒーロー2

★★★☆☆

 

あらすじ

 ヘリの事故により捕虜となった主人公率いる部隊は、ベトナム戦争後も解放されず、収容所で非人道的扱いを受け続ける。

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 原題は「Missing in Action 2: The Beginning」。シリーズ第2作目。

 

感想

 すでに帰国していた前作よりも時系列的には前の、主人公の収容所時代が描かれる。ベトナム戦争が終結したにもかかわらず、主人公と部下たちは陸の孤島のような場所で強制労働をさせられ、虐待されている。

 

 前半は主人公らが虐げられるシークエンスが延々と続く。戦争は終わったのだから、敵もさっさと開放すれば楽なのにと思ってしまうが、捕虜たちを戦争犯罪者に仕立て上げることで、国際的に有利な立場に立ちたいとの思惑があったのだろう。

 

 

 戦争犯罪を認める嘘の署名をさせようと、主人公らは様々な拷問を受ける。そんな中で印象的だったのは、飢えたネズミが入った袋を頭にかぶせるものだ。顔を齧らせようとするものだが、拷問はやる側の創意工夫や発想力が試される側面もあるのだなと思わずにはいられない。

 

 そんな酷いことをよく思いつくなと感心しながら見ていたのだが、血の色に染まっていった袋を取ってみれば、主人公が逆にネズミを噛み殺していた、というオチは面白かった。

 

 散々痛めつけられても耐えていた主人公だったが、こらえきれなくなって後半についに爆発する。まるで任侠映画のような構成だ。

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 まず主人公は、密かに手に入れた爆薬で反撃の狼煙を上げるのだが、その爆破シーンが前作同様に激しいもので見ごたえがあった。ただあまりにも派手に爆発させまくるので、主人公に危ない爆弾魔のような雰囲気がなくもない。

 

 クライマックスはラスボスとの直接対決だ。それまでには主人公の絶対に部下を見捨てない姿や、裏切ったと思っていた元仲間が体を張って皆を守る姿があったりして、否が応でも盛り上がる展開となっている。

 

 前作のいまいち焦点が定まらなかったプロットとは違い、今回は王道の分かりやすさがある。なによりも、ただ収容所からこっそり脱走するのではなく、散々自分たちを痛めつけてきた者たちを全員叩き潰そうとするのがいい。カタルシスがあって楽しめた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ランス・フール

 

製作 メナハム・ゴーラン/ヨーラン・グローバス

 

出演 チャック・ノリス/スーン=テック・オー/スティーヴン・ウィリアムズ/プロフェッサー・トオル・タナカ/リック・セグレト/ミーシャ・ハウザーマン

 

音楽 ブライアン・メイ

 

チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2 - Wikipedia

 

 

関連する作品

前作

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次作

 

 

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「恋は光」 2022

恋は光

★★★★☆

 

あらすじ

 恋する女性が光って見える能力を持つも恋愛には無縁だった青年は、大学の一風変わった女性に興味を持ち、幼馴染の女性を介して交換日記を申し込む。

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感想

 恋愛に無縁だった男子学生が主人公だ。恋する女性が光って見える能力を持つだけでなく、何かと分析をしたがる面倒くさい性格をしている。そんな男がある女性に関心を持ち、交換日記を始めたことから物語が始まる。

 

 彼女が置き忘れたノートに気付いたことをきっかけに二人は出会うのだが、主人公がそのノートを開いた途端に校閲を始めたのには引いてしまった。何が書いてあるのかなとちょっと読んでみたら気になってしまい、我慢できずについ、なら分かるが、いきなりだった。他人のノートに躊躇なく書き込みするとはさすがに怖い。

 

 それに対して怒りもせず、しかも交換日記なんかを一緒に始めてしまう彼女もまた変わり者で、恋について二人で議論し合う関係となる。両者とも独自の世界を持っており、恋に不器用で生真面目なだけなのだが、外からだと相当なひねくれ者の二人に見える。普通ならあまり親近感を持てないが、彼らには謙虚さがあるので温かく見守れる。きっとこれくらい特殊な設定でないと、印象に残るような恋愛映画は作れないのかもしれない。

 

 この二人に加えて、主人公をずっと想い続ける幼馴染の女性と、他人の男をすぐに略奪したくなる女性も登場し、あわせて四人による恋愛模様が描かれていく。主人公は恋愛に関心を持った途端にモテすぎだろ、と思わなくもないが、キャラの立った三人の女性たちそれぞれとのやりとりが面白い。

 

 なかでも第三の女で、ヒールであるはずの馬場ふみか演じる女性がいいキャラクターだ。恋愛経験がほぼゼロで、フワフワして地に足が付いていない他の三人に、恋愛のリアルを突き付ける。彼らにとっては怖い存在なのに、「宿木嬢」とか呼ばれちゃう感じもなんだか良くて、憎めない。それに一人の男を取り合う状況にもかかわらず、三人の女性たちに友情らしきものが芽生えているのも微笑ましかった。

 

 

 恋愛映画特有の気恥ずかしさのあるシーンではそれを回避するような展開を作り、ツッコみたくなるシーンにはちゃんとフォローを入れて、やりっぱなしにしない演出には好感が持てる。序盤の引いてしまったシーンにも、後で言い訳が用意されていた。終盤の美術館のシーンでは、館内での主人公の大声が気になったが、きっと回収してくれるはず、という信頼感があった。

 

 恋愛にはいろんな形があり、どれを重視するかは人それぞれだ。

 

 ラブストーリーは、ベタなことを全力でやるのが醍醐味、と考える人には物足りないかもしれないが、そうでない人にとってはちょうど良い力の抜き加減で、無理せず楽しめる恋愛映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小林啓一

 

原作 恋は光 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


出演 神尾楓珠/西野七瀬/平祐奈/馬場ふみか/伊東蒼/宮下咲

 

撮影 野村昌平

 

恋は光

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「モッド・スクワッド」 1999

モッド・スクワッド (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 刑務所に入る代わりに潜入捜査官になった三人の若者は、ボスが殺された事件の真相を追う。

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 テレビドラマ「モッズ特捜隊」のリメイク作品。

 

感想

 潜入捜査官となった元犯罪者の若者三人が主人公だ。だが彼らの素性や立場が全然わからない。彼らがどのように潜入捜査官となったのか、どのような権限があるのか、仕事に対する情熱はどれほどあるのか等がまったく説明されないままに物語が始まってしまった。元々テレビドラマだったのでそれに甘えてしまったのかもしれないが、せめて最小限の説明は欲しかった。

ニキータ (字幕版)

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 前提知識を与えられないまま見ると、メインの三人はただのいけ好かない若者たちでしかない。態度は悪くて上司の言うことも聞かず、仕事中でも異性とじゃれ合ったりしている。仕事への情熱が全く感じられず、刑務所にいるよりはましかと仕方なくやっているだけのように見える。当然、他の警官たちの反感を買って衝突もしているのだが、正直なところ、主人公たちよりも他の警官たちの肩を持ちたくなってしまう。全然彼らに共感できない。

 

 任務中に彼らの直属のボスが何者かに殺されてしまい、主人公らはその真相を追うことになる。ただ、彼らとボスの関係性が全く描かれていないので、その死がどういう意味を持つのかがよく分からない。信頼していたボスを殺されて怒りに燃えているのか、特になんとも思っていないのか。彼らの気持ちが見えてこないままにズルズルと捜査が行われていく。

 

 

 その捜査も行き当たりばったりだ。まるで無分別で思慮のない若者の刑事ごっこを見ているかのような気分になる。しかも三人がバラバラな動きをしているのでスクワッド感もなく、白けた気分で捜査の行方をただ眺めるしかなかった。中でも、ただの情緒不安定な若者にしか見えない金持ち家庭出身の男には、イライラさせられっぱなしだった。

 

 終始何をやっているのか分からない、と言うか、何をやっているのかは分かるのだが何をモチベーションにやっているのかがよく分からない映画だった。カッコよく見せるシーンも、笑わせるシーンもすべからくスベっているのもキツい。

 

 クールで小粋な佇まいをしながらも、完全なる見掛け倒しになってしまっている。良かった所は、音楽とクレア・デインズの美貌くらいだった。 

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 スコット・シルヴァー

 

出演 クレア・デインズ/オマー・エップス/ジョヴァンニ・リビシ/デニス・ファリナ/ジョシュ・ブローリン/スティーヴ・ハリス/リチャード・ジェンキンス/ラリー・ブランデンバーグ/ライオネル・マーク・スミス/デイ・ヤング

 

音楽 B・C・スミス

 

 

 

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「ブルーベルベット」 1986

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★★★☆☆

 

あらすじ

 父親の入院をきっかけに故郷に戻ってきた大学生の男は、見舞いの帰り道で切断された耳を発見する。

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感想

 主人公が切断された耳を発見し、好奇心から事件に首を突っ込んだことから、異常な世界に引き込まれていく物語だ。

 

 ただ主人公にも最初からおかしなところがあった。野原で切断された片耳が落ちているのを発見したら、普通は警察に通報するだけだが、彼はそれを拾って袋に入れ、わざわざ警察に持っていく。虫が群がる人間の断片を素手で触るなんて気色が悪くて自分にはとても無理だが、主人公は平気でそれが出来てしまうわけだから、元々彼は異常な世界との親和性が高かったと言える。

 

 

 それに、事件に対する好奇心とはいえ、法を犯してまでグイグイと勝手な捜査にのめり込んでいく姿も常軌を逸していた。事件との関係が疑われる女の家に忍び込み、その生活を覗き見る。

 

 ここまでは主人公の好奇心が暴走しているだけの印象だったが、女にその存在がバレて、脅されて関係を迫られるようになってからはその様相が変わる。ここからは逆に異常な世界に飲み込まれていく。

 

 この異常な世界を代表するのが、犯人と思しき男だ。この男を演じるデニス・ホッパーの存在感が凄かった。目はギラつき、支離滅裂な言動で、危険な雰囲気をプンプンと漂わせている。彼の出演する映画はいくつか見てきたはずだが、こんなに凄みがあったっけ?と思ってしまうほどの怪演だった。

 

 後半は、デビッド・リンチ監督らしい妖しくも分かりづらい演出が増えてくる。だがよく分からないなりにも、その奇妙な世界観を楽しめた。中でもロイ・オービソンの「In Dreams」の口パクをするシーンはグッと来る。奇妙で惹きつけられるシーンだ。

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 事件を解決して主人公が日常を取り戻し、エンディングを迎える。しかしこれまでと違うのは、何気ない日常と異常な世界は正反対のものではなく、隣りあわせのものだと理解していることだろう。隣りあわせというよりは同居していると言った方がより正確かもしれない。平和で心和む芝生の庭も、よく目を凝らせば醜く虫が蠢いているし、愛の象徴であるコマドリだって不気味な昆虫を食べている。ラストで、眉を顰める家族とは対照的に、そんなコマドリを穏やかに眺める主人公と恋人の姿が心に残った。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 デヴィッド・リンチ

 

出演 カイル・マクラクラン/イザベラ・ロッセリーニ/デニス・ホッパー/ローラ・ダーン/ジョージ・ディッカーソン/ディーン・ストックウェル/ホープ・ラング

 

音楽 アンジェロ・バダラメンティ

 

ブルーベルベット

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